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保土ケ谷の焼却炉は停止中なのに、隣のプールや温泉はなぜ温かい?

ココがキニナル!

資源循環局の保土ケ谷工場は今は休炉中ですが、隣にあるプールや温泉施設は稼働しています。熱源はどうしているんですか?(doramucanさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

既存のシステムを使い、購入した白灯油をボイラーで燃焼させ蒸気を作り、プールや温泉にパイプで送っている。事務所の暖房や給湯も自給自足だ。

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ライター:吉岡 まちこ

焼却をやめて3年。今もごみ収集車がひんぱんに来る



1980(昭和55)年から30年以上働き続けてきた保土ケ谷の焼却工場。高い煙突から白煙が消えたのは2010(平成22)年3月。今から約3年前だ。
 


権太坂上のこのトンネルを抜けると、そこは焼却炉だった


これで、横浜市内で現在稼働している焼却工場は、一番多かった頃の6工場から4工場になった。古い順に並べると都筑工場、鶴見工場、旭工場、金沢工場の4つだ。

減量とリサイクルが進み、燃やすごみが減少したことから、栄工場が12年前、港南工場が7年前に操業を停止した。これらは煙突をはじめ焼却炉も解体された。

この保土ケ谷も同じ運命かと思っていたら、取材に向かう朝10時、ごみ収集車が次々と入って行くではないか!
施設としてかなり機能している感じだ。もう焼却していないのになぜ!? 
 


木曜日の朝、かなりの台数がトンネルをくぐっていく


キニナル投稿にもあった隣の温泉施設とは、老人福祉センター「狩場緑風荘」のこと。
焼却炉が稼働していた時代は、余熱利用施設として緑風荘の温泉施設と保土ケ谷プールに温かい湯を提供していたが、ごみを焼却していない今もそれらの施設にはお湯がふんだんに蓄えられている。
言われてみれば不思議でキニナル!

ごみ収集車(正式名パッカー車)が活発に行き交う保土ケ谷工場は、それらの施設と今も関係があるのだろうか? トンネルを抜けて今回の取材場所である、横浜市資源循環局保土ケ谷工場を目指した。
 


資源循環局もプールも緑風荘もトンネルから行く
 

こんな所が入口・・・。プールはトンネルの右手、緑風荘は左手にある




ごみを燃やさず、何を燃やして蒸気を作っている?



取材に応じてくださったのは資源循環局旭工場長の長谷部さんと、保土ケ谷工場の小坂さんのお二人。保土ケ谷工場のボイラー等機械関係は旭工場が管理しているそうだ。
 


資源循環局保土ケ谷工場の小坂さん(左)と、旭工場長の長谷部さん
 

保土ケ谷の煙突は今もまっすぐ空に向かっている


単刀直入に聞いてみよう。保土ケ谷工場は焼却をやめた今も、緑風荘や保土ケ谷プールにお湯を提供しているのだろうか?

「今もしていますよ。市民サービスなのでやめていません」と長谷部さん。
余熱利用のプールや温泉は、焼却工場を建設する際の、地域還元施設として建設された。

港南・栄・保土ケ谷の3プールと、他4工場の余熱利用プールを合わせた税金負担額は年間4億5500万円にのぼる(横浜市総務局のホームページより)。しかし、高齢者を中心に年間84万人に利用されて、施設のニーズは高い。
 


発電している焼却工場では「発電電力」が表示されるが、ここは「受電電力」


休止する前と今とでは、何が変わったのだろうか。

焼却炉が稼働していた時は、ごみを燃やした時に出る高熱を回収(サーマルリサイクル)してボイラーで湯を沸かし、その高圧な水蒸気の力でタービン(羽根車)を高速回転させることによって発電機を動かして、電力を得ていた。工場内の電力をまかなってもなお余った電気は、わずかだが売却もできていた。

高圧蒸気はすべて発電に使われるわけではなく、圧力を下げた後、工場内の給湯や暖房に利用されるほか、隣接の緑風荘の温泉や温水プールのために送られていたという。温水を送っているわけではないらしい。「送っているのは蒸気です。蒸気を送って水を返してもらっている」(長谷部さん)のだそうだ。

蒸気(気体)が凝縮して液体に戻る瞬間に熱を放出するという、中学だかでやった原理を利用しているのだ。保土ケ谷プールや老人福祉センターに熱交換器があって、蒸気の力で冷水を加熱し、お湯を作っているというわけだ。
 


緑風荘につながるパイプは蒸気を送っている(保土ケ谷工場からの眺め)
 

パイプに近づいたら、しっかりそう書いてあった!


休止中の今は、以前からあった補助ボイラーを活用して蒸気を作り、温泉や温水プールのために蒸気を送り続けているそうだ。工場内の給湯・暖房もまかなえるが、低圧蒸気なので発電はとても無理。