黄金町や日ノ出町、寿町・・・縁起の良い名前が集まっているのはなぜ?
ココがキニナル!
黄金町、日ノ出町、寿町、曙町など、やたら縁起の良さそうな地名がかたまっているなーと思っていたのですが偶然でしょうか。気になります(すがひこさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
新開地(埋立地)にふさわしいように、「古いしきたりにこだわってはいけない」という明治政治下の、県庁の指導者の考えで、縁起を祝ってつけられた。
ライター:橘 アリー
縁起を祝った町名
縁起は、悪いよりも良いに越したことはない。
まして、縁起の良さそうなものがかたまっているとなると、かなり気になってくるのは当然のこと。
今回のキニナル投稿の町名の場所は、横浜市中区に多い。
まずは中区を中心に町名を地図で確認して、縁起が良さそうな地名を拾い出してみることに。
縁起の良さそうな町名の地域の地図(Googleマップより)
<クリックで拡大>
縁起の良さそうな町名というと、黄金町・日ノ出町・曙町・福富町(西通、仲通、東通)・蓬莱町・長者町・末広町・万代町・不老町・寿町あたりだろうか。キニナル投稿にあるように、確かにかたまっている。
この地域は、17世紀中頃、吉田勘兵衛によって埋め立てられたてできた吉田新田と呼ばれる場所で、現在はJR根岸線の山側をさす関外地区と呼ばれている(吉田勘兵衛については、過去の記事を参照していただきたい)。
伊勢佐木町7丁目から日枝神社へ続いている「お三の宮通り」には、吉田新田について説明する看板がある。
吉田新田の説明が書かれた看板
縁起の良さそうな名前と、埋立地であるということは何か関係があるのだろうか。
まずは、それぞれの町名の由来について。横浜市内の町名の由来については、横浜市市民局が発行している「横浜の町名」に簡潔に書かれている。
「横浜の町名」
「横浜の町名」をもとに、縁起の良さそうな町名について、その由来を表にまとめてみた。なお、中区の町名の由来は、区役所のホームページにもまとまっているので、ぜひ参照していただきたい。
これらの町名は、その多くが、「縁起を祝って付けた」「佳名(良い名・縁起の良い名前)を採った」「雅名(風流な名前)を採った」というものである。
上記以外にも、
「佳名を採った」・・・千歳町・初音町・花咲町・富士見町・松影町・山吹町・若葉町など
「縁起を祝ってつけられた」・・・扇町(別説あり)・末吉町・三吉町など
「謡曲から採った」・・・翁町(謡曲「翁」から/別説あり)・羽衣町(厳島神社にちなみ天女に関係のある謡曲「羽衣」から)・弥生町(謡曲「春のやよい」)など
・・・といった町名がある。
「羽衣町」の由来に関係する厳島神社
雅名や謡曲から採った名前も、つまりは縁起の良さそうな名前というものであるから、こうなると、埋立地のほとんどが、縁起の良いものや良さそうな名前という理由で付けられたことになる。
では、誰がなぜ、このような名前の付け方をしたのだろうか?
「横浜の町名」を発行している横浜市市民局の、住居表示課の担当者によると、資料が残っていないので、誰がこのような町名の付け方をしたのかは分からないとのこと。
そうすると、あとは資料でたどっていくしかないが、その前に現地の様子を歩いて確認してみることに。