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ベイスターズを陰で支える用具係の入来祐作さんに密着!

ココがキニナル!

横浜DeNAベイスターズにはどんなスタッフがいるの?どのようにしてチームの力になっているのですか?選手との関係もキニナル。(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

今回、紹介するのは用具係として選手を支える、元ベイスターズ選手の入来(いりき)祐作さん。選手だったからこそできる愛情のこもった気配りがあった。

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ライター:山口 愛愛

ハマっこの星であり誇りである、我らの横浜DeNAベイスターズ。今年は6年ぶりに勝ち星が60勝に到達し、6位中5位でありながら、観客動員数の伸び率はリーグトップの22.3%(前年度比)とファンの期待は高まるばかりだ。
 


今シーズンは観客が多く、「大入り」が出る試合も15回あった
(画像提供:横浜DeNAベイスターズ)


多くのファンに囲まれ、グラウンドで輝く選手たち。その裏ではスタッフが貴重な戦力となりチームを支えている。そんな裏方さんたちにフォーカスし、ふだんお目にかかれない仕事ぶりや、スタッフだからこそ知る選手のエピソードをご紹介したい。

前回好評だったウグイス嬢に続いて、今回紹介するのは用具係の入来(いりき)祐作さん。現役時代は闘志あふれるピッチングでファンを魅了し、華やかな表舞台で活躍してきた。現在は、用具係として選手を支える日々、どんな思いで仕事をしているのだろうか。選手にも登場いただき、意外な関係をたっぷりとご紹介。



“かっこいい選手”が150%野球を楽しめる環境に



鹿児島県奄美大島で行われている秋季キャンプの直前、秋季練習が行われている横浜DeNAベイスターズ総合練習場(横須賀市長浦町)へ向かった。全体練習が始まる2時間前の午前8時。用具倉庫とグラウンドの間を忙しく往復する入来さんの姿があった。移動しながら、「おはようございます! 元気ぃ?」とスタッフやファンにまで明るく声を掛けている。
 


筋力トレーニングに打ち込んでいる入来さんは格闘家のようなボディ


入来祐作さんといえば、1997(平成9)年にドラフト1位で読売ジャイアンツに入団した花形ピッチャー。中継ぎで活躍し、2001(平成13)年には兄弟でオールスターゲームに出場。

兄の智(さとし)さん(ヤクルトスワローズ)にマウンド上でボールを受け渡した名シーンは野球ファンの心に刻まれている。その後、移籍した北海道日本ハムファイターズから、渡米しメッツ、ブルージェイズと渡り歩き、2008(平成20)年に入団テストを受け横浜ベイスターズへ。しかし、同年に戦力外通告を受け引退。球団スタッフとしての第2の野球人生が始まった。
 


現役時代は今よりも細身で、闘志あふれる投球が魅力だった
(画像提供:横浜DeNAベイスターズ)


選手の練習の準備をする入来さんに密着しながら、用具係になった経緯や役目を伺う。

「戦力外になったけど、野球以外のことは考えられなかったんですよ。球団に何か仕事をやらせてくださいとお願いし、選べる立場ではないですけど、1年目はバッティングピッチャーを任され、用具係は2年目からです。最初は、自分に裏方なんてできるかなぁと不安だったんですが、やってみるとおもしろいんですよ! 現役のときなんか、正直、用具係を雑用のように扱っていて、ボールを大事に管理している人がいることも把握していなかった。用具係になってから反省の日々なんです」と笑う。

用具係の主な仕事は、試合や練習で使う道具の準備と片付け、キャンプでは何も準備されていないグラウンドを、地元の学生アルバイトに仕事を教えながら、一緒に整備することも。
ほかに、選手に渡す帽子やシューズなどの管理、ボールなどの予算組みや発注、ユニフォームメーカー数社とのサイズや色の打ち合わせなど多岐に渡る。
 


力仕事だけなく、専用パソコンの事務作業もあると話す入来さん


練習の日に、球場で最初にやることは練習メニューを把握し、どの場所に何が必要か考え、セッティングすること。
「僕がセッティングしないと始まらないですからね。選手に気持ち良く野球をやってもらうために手助けするのが僕の役目」と入来さん。

手助けというが、入来さんが先輩選手の目線で、アドバイスをすることはないのだろうか。
「選手は裏方の目線で見ています。もう自分は野球ができないので、選手にはプロとして野球ができる喜びを噛みしめてやってほしいし、そのためにもっとがんばってほしいと思って、ヤキモキすることもありますけど(笑)。裏方が口を出して、選手にプレッシャーがかかったり、気分が悪くなったりしたら嫌なので、とにかく150%野球を楽しくやってもらうためにサポートするのみです」。
 


選手たちのやりやすい環境を整えるべくサポート


「あくまでも裏方」を強調し、選手との食事もあえて、あまり行かないようにしているという。「時々は行きますけど、あまりベッタリはしません。そこは僕のケジメとして。プロ野球選手はかっこいい存在だから、生活感が見えすぎないように。裏方として“かっこいい選手”を支えたいので」
 


グラウンドの脇にある倉庫も仕事場のひとつ


しかし、自分が選手だっただけに辛い思いをすることもあるという。
「選手が1軍から2軍に落ちるときに、ハマスタのロッカーを空にして、荷物を出す手伝いをするのがね・・・。例えば、『明日はこの時間に鎌ヶ谷(千葉県にある日本ハム2軍のホーム球場)に行けば大丈夫だ』とか2軍の流れも伝えるんです。自分も経験しているので、選手の気持ちが痛いほどわかります。あれは辛いですね」

選手の気持ちがわかるからこそ、気持ち良くプレイしてもらうための準備にも余念がない。どんな仕事をしているのか、密着してみよう。