宙づりで3回転? 川崎の「スタントマン養成所」で体験レポート!
ココがキニナル!
生田駅近く「スタントマン養成所」の看板を掲げたHERO ACTION CLUBなる秘密結社のような組織が存在。日頃どのような訓練をしてる?われわれの知らない所で地球の平和を守ってるの?(ほっけさん)
はまれぽ調査結果!
カースタント、爆発、火だるま、ダイビング、ワイヤーアクションなど、スタントを企画から行なうスタントマン事務所。養成所ではその訓練を行なう
ライター:紀あさ
秘密結社のような組織を探しに
今回のキニナルは、秘密結社か・・・。
カメラを持って潜入したら、捕えられて、スタントマンにされちゃうとか、そういう話だったら、怖いような、楽しいような・・・と妄想を抱きながら、降り立った川崎市多摩区の小田急線生田駅。
必ずや、生きてここに戻る!
駅を出て少し歩くと、川沿いに「スタントマン養成所」の看板を発見。
学習塾の階下というポジション、もしや地球の子どもたちを守っている?
「スタントマン養成所」の文字の上には、投稿にあった「HERO ACTION CLUB(ヒーローアクションクラブ)」でなく、「WILD STUNTS(ワイルドスタント)」とあるが・・・
よく見ると、向かって右に「HAC」、「HERO ACTION CLUB」の文字もある
ここか。
スタントマン養成所に、いざ潜入
出迎えてくださったのは、強面の男性ではなく、人当たりのよさそうな女性だった。
小島憲子(こじま・のりこ)さん
早速だが、「HERO ACTION CLUB」とは、どんな組織なのかと尋ねると、「HACというのは映画のロケに作ったものの名残で、ここは『WILD STUNTS』という事務所です」という。
同事務所は2014(平成26)年公開の映画『イン・ザ・ヒーロー』で、唐沢寿明さん演じるブルース・リーにあこがれる主役の事務所として使われた。同作では、スタントチームが助演男優賞を受賞した。
世界のキタノから表彰!
スタントマン養成所と書かれていること自体は事実で「WILD STUNTS」(ワイルドスタント)は正しい名前、登記上は「株式会社オフィスワイルド」という。まさかの株式会社!
この株式会社がどんな組織かというと・・・
燃えても
濡れても
爆発しても
格闘しても
ものともしない
あらゆるスタントのスペシャリスト集団 WILD STUNTS (同社HPより)
WILD STUNTSこと株式会社オフィス・ワイルドは、代表取締役である柴原孝典(しばはら・たかのり)さん(55歳)が1988(昭和63)年に設立。ご多忙の柴原さんに代わって話をしてくださっている小島さんは柴原さんの妻で、取締役にあたる。
かつて柴原さんは、映画「大脱走」でのスティーブ・マックイーンを見て、この世にスタントマンがいると知った。
「柴原は最初、スタントマンさんという人名かと思って探したそうです」
「スタントマン」が職業名であると知り、1976(昭和51)年、15歳で高校を中退し、ジャパンアクションクラブ(JAC:現在はジャパンアクションエンタープライズ)というスタントマン養成所の門を叩いた。
体操をやっていたので、最初から動きが良く、すぐにヒーローものに抜擢。1979(昭和54)年の『バトルフィーバーJ』に始まり、1980 (昭和55) 年『電子戦隊デンジマン』、1981 (昭和56) 年『太陽戦隊サンバルカン』、1982(昭和57)年『大戦隊ゴーグルファイブ』などで次々と活躍。事務所には、当時の撮影で実際に使った仮面が今も並んでいる。
左から、デンジグリーン、バルシャーク、ゴーグルブルー
「バルシャークが一番人気かな」
そういう小島さんも、ジャパンアクションクラブの出身。1984(昭和60)年の『宇宙刑事シャイダー』では柴原さんがシャイダー役、小島さんがギャル軍団役で共演した。
これもしかして共演写真?
柴原さんは1986(昭和62)年、10年目にして独立。自身をリーダーとして男性5人ほどで「ワイルドスタントチーム」を立ち上げ、自分たちのめざすところをやりたいと、1988(昭和63)年に株式会社化した。
戦隊モノ漬けだったが、映画のスタントもやりたい!
しかし世は昭和天皇のご崩御で粛清ムード。仕事がなく、いくばくかの蓄えも底をつき、大変な滑り出しだったが、財産は人だ、と現場からスタントを育成し続けた。そうして創立29年目となった株式会社オフィスワイルド。
「実は昨年・・・」
「創立以来、初めてのボーナスを出したんです」
スタントマンでボーナスとは!