上大岡店最後の営業日の様子。惜しまれつつ閉店を迎えた

　
地域に愛された横浜市港南区のイトーヨーカドー上大岡店が2017（平成29）年3月に43年の歴史に幕を下ろしてから9ヶ月が経過した。
いま、現地の様子はどうなっているのか。はまれぽ編集部は現場に急行した。
　
　
　
解体工事が始まり、周囲は寂しげな雰囲気
　
京急線上大岡駅から、徒歩5分。イトーヨーカドー跡地は2017年9月に解体工事が始まり、周囲はフェンスに覆われていた。
　

解体工事が始まっている旧・イトーヨーカドー

　
平日の夕方に訪れたが、周辺の公園や保育所から子どもの声が響くほかは、人通りも少なく閑静な印象。道行く人に閉店の影響を聞いた。

近所に住む女性は、「閉店で人通りは少なくなりました。住む者としてはありがたいけど、活気がなくなったようで少し寂しい」と地域の変化を教えてくれた。
イトーヨーカドーは、専門店で手土産を買うことができて重宝していたといい、「近所にはほかのスーパーもあるけれど、そういうちょっとしたお菓子などは取り扱っていないので、やっぱり不便」という感想だ。
　

買い物客が多くなる時間だが、人通りは少ない

　
「子ども用のおむつなどを買いに来ていたので、閉店は残念」と話してくれたのは、小さな女の子を連れた女性。子育て中でも、家から近い場所で買い物ができることは大きなメリットだったという。

「跡地でも、育児用品などを扱うお店ができてほしい」と希望を教えてもらった。

隣接する広場にも人の影はまばら。向かいの公園では子どもたちが遊んでいた

　
上大岡にはいくつかのスーパーがあり、イトーヨーカドー跡地から3分程度の場所にも大型の食料品店がある。にもかかわらず、道行く人は「閉店で不便になった」と口をそろえる。

孫を連れた女性は「医薬品の品ぞろえが豊富で、ちょっとした買い足しなどによく利用していた。閉店は寂しい」と惜しんだ。いまは徒歩20分ほどの距離にあるイトーヨーカドー横浜別所店まで行く必要があるという。
　

解体は内部から進んでいるようだ

　
　
　

跡地の南側は住宅に

　
キニナルのは、そんなイトーヨーカドーの跡地活用。すでに用途が決まっているのか、跡地の解体工事を管轄する東急不動産に話を聞いた。

同社広報室の担当者は「東急不動産では跡地の南側を共同住宅とすることが決まっています」と教えてくれた。2020年1月末に完成予定で、地上7階建て、177戸が入居できる住宅となるようだ。
　

現地には建築計画を伝える看板が設置されている

約1万6000平方メートルの跡地に対し、東急不動産が開発するのは約6800平方メートル。残りの敷地の用途は決まっているのだろうか。

地域の人にお話を聞くと「近所の人からは小さなスーパーができると聞きました」との声もある。真相をセブン＆アイ・ホールディングスに問い合わせた。
　
　
　

北側の活用方法は未定。再びスーパーになる事例も

　
セブン＆アイ・ホールディングス広報部によれば、「活用方法はまだ決まっておらず、現時点で話せる段階にない」との返答。

同社は2015（平成27）年以降、不採算店舗の閉店を進めている。一方で、跡地に新たなスーパーが開店する事例は確かにあるといい、「いずれにしても地域の皆様の理解を得ていきたい」との方針だ。

　

跡地の青写真はまだ見えない
　
　
　

取材を終えて

　
イトーヨーカドー上大岡店の閉店は、地域の人々の生活や周辺のにぎわいに確かな影響を与えていた。そして、新たに整備される住宅と残された跡地の活用は、上大岡の雰囲気を再び変えることなる。

惜しまれつつ閉店した前店舗を受け継ぐ場所となることを願い、今後も推移を見守っていきたい。
　
　
－終わり－