1兆8300億円の骨格予算! 神奈川県はどう使う?
ココがキニナル!
各自治体の新年度予算案、どんな内容?~神奈川県編~
はまれぽ調査結果!
今回は4月に知事選を控える神奈川県の、2兆円近い当初予算の内容を調査!
ライター:はまれぽ編集部
これまで新年度予算案を紹介してきた横浜市や川崎市などの自治体が含まれる、神奈川県にも予算がある。
市町村が生活に密着した事業を行う一方、県はより広範な取り組みや、県内各自治体の支援などを担当しているのだ。
耐震化工事が進む神奈川県庁舎
そんな神奈川県の2019年度一般会計予算案は、1兆8299億1200万円。市町村の予算とは文字通り桁が違う規模だが、前年度に比べると約30億円少なく、微減している。これは、4月の統一地方選を控えていることが要因。
4月の統一地方選で、知事選が行われる神奈川県。現職の黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ)知事が立候補を表明しているが、そのまま続投となるかは選挙結果次第。そんなわけで、今回の予算案はだれが知事になっても必要な事業を中心とした「骨格予算」だ。
選挙後に、当選した知事が改めて補正予算を組む予定(画像は過去記事より)
そんな中でも、これまで黒岩知事の取り組んできた「未病改善による健康長寿の取組み」や、子ども・子育てへの支援など、実績を強調しておきたいポイントはしっかりと予算化している。
肝いりの「未病改善」への取り組みと、やまゆり園の再生
これまでも黒岩知事がもっとも力を入れてきた分野の一つが、「未病改善」に関する事業。2019年度も全体で6億1800万円を計上した。
これは、病気になる以前にそれを予防するという考え方が基本にあり、子どもの体力・運動能力の向上や認知症にならないためのシンポジウムの開催のほか、市町村が行う健康診断(特定健診)の結果メタボになるリスクが高い人に注意喚起する事業を実施。
健康診断が未病改善の大きな鍵だ
病気になることを防ぐ「未病」について、科学的な裏付けを確立するための「未病エビデンス構築事業」にも取り組む予定だ。
また、県としてしっかり対応しなければならない事業が、障害者施設「津久井やまゆり園」の再生に向けた取り組みだ。
事件当時、報道陣が集まる相模原市のやまゆり園(画像は過去記事より)
やまゆり園で2016(平成28)年に起きた殺傷事件は、施設に侵入した元施設職員の男が入所者19人を刺殺し、職員を含む26人が重軽傷を負うという大惨事になった。
障害を持つ人への差別意識が根底にあると言われるこの事件を繰り返さないためにも、津久井やまゆり園の再生と再発防止の取り組みは県にとって大きな課題だ。
県では、やまゆり園の二つの園舎の再整備や、再発防止に向けた取り組みを行う。
黒岩知事は二度とこのような事件が起きないように取り組むことを誓った(画像は過去記事より)
事件が起きた相模原市緑区の「津久井やまゆり園千木良園舎」では、新園舎の実施設計と建て替え工事、改修工事に3億9600万円を計上。
また、現在入居者が暮らす横浜市港南区の「芹が谷園舎」は、事件が起きてから入居者が安心して暮らすことができるように設けられた仮住居。
こちらの芹が谷園舎では民間の力を借りた建て替え工事を行い、生活の場所を確保するために、4268万円を計上した。
現在の芹が谷園舎は、移転した「県立ひばりが丘学園」の施設を利用している
こうした施設整備に加えて、県内各地域でのイベントや普及啓発活動を通して、誰もが共に生きる社会を定めた「かながわ憲章」の理念を広く浸透させることを目指す方針だ。
激動の時代を乗り越えるための事業も
未来に向けた取り組みも、一部は予算措置が図られている。
先端技術の分野では「ロボット共生社会推進事業費」として3363万円を計上。身近な場所でロボット技術の活用を進めることでロボットとの共生社会実現を目指すのが目的で、具体的には江の島でのセーリング世界大会に向けて、自動運転バスの実証に取り組むことが挙げられている。
既に実証実験はスタートしており、さらなる実用化に向けて動き出す(神奈川県HPより)
技術を支えるエネルギー分野では、再生可能エネルギーの導入加速のために1億5859万円を盛り込む。また、太陽光発電の余剰電力買取制度が終了する2019年11月以降を見据え、電力活用のための相談窓口を設置するなどの対策も行う予定だ。
横浜市などの行政が取り組む太陽光発電にも課題が残されている
観光分野では、現在の国際観光地である横浜・鎌倉・箱根に次ぐ観光地を創出するとして、「城ヶ島」「三崎地域」「大山地域及び大磯地域」の活性化を図る。地域が主体となった取り組みに対し、県として支援を行うとともに、3地域と連携したプロモーションを実施していく方針だ。
地域の努力を支えるのが行政の役割だ(MISAKIぐるぐる春まつりの様子)