「うんこ」を商標登録

「もともとね、問屋業に魅力を感じていなかったんですよ。入ってきたものを渡すだけ。箱に入っているものを売るだけって感じがして。それで小売店を出したかったんだけど、まぁ、うまくいかなかった」

このころ、商売とは関係なく「遊び心」で作っていたうんこマークのついたＴシャツ。取引先や仲間に「クスッ」と笑ってもらうのが嬉しくて、タダで配っていたそうだ。

仕事の関係上、商標登録することには慣れていた。なんとなく「取っちゃおうか？」という流れで日本初となる「うんこ」の商標登録も申請したそうだ。

　

商標登録証（コピー）。まずは「うんこマーク」を取った
　

ネットショップは出したいけど出せない。悩んだ野畑社長はまたまた閃く。
「そうか！　うんこを売ったら、誰にも怒られないんじゃね？」と、手始めに大手のネットショップに出品してみた。だが、全く売れなかったそうだ。

　

上は全く売れなかった茶色うんこの初代Ｔシャツ。下は一番人気のピンクうんこ
　

「こうなったら自分で売っちゃおうか」と思いだしたころに、休眠会社と化していた「ばのばの」の存在を思い出し「そうだ！　社名変更しちゃおう！」と決めた。「株式会社うんこ」の誕生である。（ちなみに「ばのばの」から「うんこ」に名前を変更する際に、融資を受けている銀行の方に相談したところ"ふざけているんですか"と、ここでもやっぱり怒られている）

　

「株式会社うんこ」として「うんこ」を商標登録（ややこしい）
　

こうして2017年1月に設立された「株式会社うんこ」。

ダイレクトに命名しすぎじゃ？　と思ったライターおともは素直に聞いてみた。「会社名がうんこで困ったことはありませんか？」

「ありますあります。とにかく電話が恥ずかしい」と苦笑いする野畑社長。あまりにも恥ずかしいから「うんこで～す」とおちゃらけて出るか、逆に物凄く真面目に出るかしかないのだという （アポ取りの時は真面目バージョンだから怖く感じたんですね）

今のところ、うんこ宛の電話を受けるのは野畑社長と「のばのば」の経理をしている奥様だけで、2人でパソコンの影に隠れながらこそこそと電話に出ているらしい。

　

うんこを語ると自然にうんこマークに触れてしまう野畑社長
　

続けて、社名がうんこで良かったことも聞いてみると「社名を絶対に覚えてくれること」と即答。「営業はまず覚えられてなんぼです。僕も含め、『のばのば』の社員には普通の名刺とインパクト重視の名刺の2種類を持たせています」と、名刺を見せてくれた。

　

文字は渡すときに隠れるので白紙を渡すような格好になる。「あぶり出し？」と聞かれたことも
　

若い時の名刺でもいいですか？　と言って渡すらしい
　

ちょっと字のバランス悪いんですけど・・・と渡すのだとか
　

よくこんなの思いつくなぁと感心した1枚
　

カルタ読みで渡すのだそう
　

この名刺たちを見て、社名をうんこにしたことにも妙に納得してしまった。確かに、絶対に覚えます。
続いて、ホームページ上で展開しているネットショップ「うんこショップ」での売れ筋商品を教えていただく。

　

1本100円（税抜き、以下同）のうんこシリコンバンド
　

めっちゃ可愛い！うんこパーカー（4980円）
　

撥水加工されたうんこスリッポン（1980円）
　

社長一押しのうんこＴシャツ（1980円）「マルアール」マークが本気の証！　　　　　　
　

このほかにも、うんこリストバンド、うんこハンドタオル、うんこスニーカーなどなど。思わず「可愛い！」と声が出てしまうものから、「いや、それはちょっと・・・無理です」と言いたくなるものまで、うんこオンリーです。

　

野畑社長のおみ足です
　

うんこスリッポンを手に取りながら野畑社長はこう言う。「文字の入った方（写真右）は絶対売れないし、初心者向きじゃないと周囲から猛反対をくらっちゃって」
だが実際に売り出してみるとほとんどの方が文字入りを買われるのだとか。買う方もうんこのプロなのか。8月には黒バージョンも発売予定らしい。乞うご期待！



うんこに対する熱い想い

「うんこは世界共通なんですよ」

野畑社長は、お洒落なイメージのある東京都港区青山の路上で、スケッチブックを片手に道行く外国人に「うんこの絵を描いてください」と片っ端から声を掛けまくったという。
10人に1人ほどしか描いてはくれなかったが、ほぼ全員が笑い、ほぼ全員が「巻いているうんこ」を描いてくれた（ＨＰ内のブログ【各国のうんこ】で確認できます）ことで確信した。

「うんこは英語より世界共通で、誰しもを笑わせる」と。続けて野畑社長はこう語る「僕は芸人さんみたいにはなれないからドカンとウケるようなことはできないけど、『クスッ』ならできる。『クスッ』で世の中を楽しくしたい。　　　

　

"真面目な名刺"の裏面
　

名刺の英語表記が「unko」ではなく「unco」（商標登録済み）なのは、文字全体に丸みを持たせ平和なイメージにしたかったそう。

「株式会社うんこ」の目下の夢はリアル店舗を出すことだという。しかし趣味の延長、採算度外視の激安設定で始めてしまったことが、その資金を生み出せない一番の悩みの種になっているのだとか。
そんな悩みに頭を抱えつつ、現在は世界進出のための地盤固めをしながら可能性を模索している真っ最中。

果たして「うんこ」は世界を明るく平和にするのだろうか。

　

取材後、はまれぽステッカーを手に最高の笑顔をいただきました！
　

取材を終えて

帰り際に「これあげる」と、1番人気のＴシャツ（白地にピンクうんこ）をいただいた。ジーンズに合わせるにはピッタリそうだった。「やばい！　可愛い」とは思ったが、外を着て歩くには恥ずかしいと思ってしまった。何故だろう？　笑われるかもしれないからだ。「クスッ」と。

・・・はっ！　本当だ！　頭で想像しただけでも見知らぬ誰かが「クスッ」と笑っている。これを笑わせているととるか、笑われているととるかは置いといて確かに「クスッ」は生まれそうだ。
世界平和に貢献すべく、今月中に近所のコンビニに着ていく決意をしたライターおとも46歳独身（女）なのであった。


―終わり―
　

住所／横浜市瀬谷区卸本町9279-40
電話／070-4188-8000
HP　http://unco.co.jp
うんこショップ　http://www.unco.shop