みなとみらいで鳴る「モスキート音」は「超音波」? その正体は
ココがキニナル!
みなとみらいの「日産ビルの入口」や「マークイズ」では、「モスキート音」を発生させている?(リョー☆サンさん/がんさん/mameさん/しっちょんさん/おーまんこ!さん/ポートサイド公園は素敵さん)
はまれぽ調査結果!
超音波によってネズミなどを防ぐ装置が取り付けられているようで、モスキート音とは違う音の可能性が大きい。建築物の衛生管理では薬剤以外の方法で防除を行う考えが主流になっている
ライター:はまれぽ編集部
「モスキート音」といえば、子どもにしか聞こえない高周波の音のこと。大人の可聴域では聞こえないが子どもには不快な音として聞こえるので、若者がたむろしないように公園や盛り場に設置されることがある。
いち早く公園でモスキート音を流した東京都足立区。設備の破壊行為に手を焼いていた
キニナル投稿の中には「視覚障害のある人のための音?」「害虫除けの音では」といった内容のものもあった。
「モスキート音」だとすれば、若者にとって不愉快な音を流すものである以上、集客施設に設置するのは不利益しかないはず。ましてや、横浜駅から直結の「日産グローバル本社ギャラリー」や「MARK IS みなとみらい」には子ども連れも多い。本当にモスキート音が流れているのだろうか?
実際に確認してみた
みなとみらい線の地下改札付近を歩いてみる。やはり聞こえない・・・と思ったが、ある場所で不思議な音が頭に響いた!
場所は、ちょうどみなとみらい駅の地下改札から、「MARK IS みなとみらい」へ向かう通路、駅と商業施設の境目の部分だ。
普通に歩いていると何も聞こえないのだが、ここで頭を上に向けてみると「キュンキュンキュンキュン・・・」という、音らしきものを確かに感じる。
たぶんこのあたりから聞こえる
だが、筆者が以前聞いたことのあるモスキート音は、まさに蚊が飛ぶような「キーン」という不快な音だった印象。ここで響いているものとは音が違うような気もする。
夏休みで人通りが増えているみなとみらい駅では、若者が「変な音が聞こえる!」「ここ耳鳴りがする」と話題にしている場面も見掛けた。やはり年齢が若いほど、高周波の音を感じられる人が多いようだ。
はまれぽ編集部でも確認
編集部・小島は「今まで気づかなかったけど、この場所で上を向くと確かに『パチパチ』弾けるような感じがする!」とびっくり。少し離れると聞こえなくなるので、そこまで不快ではないようだ。
一方、若手の編集部・中田は少し離れた位置でも「キュンキュン」という音が聞こえるという。編集部・ツノオリにいたっては改札付近からでも音が気になるようで、終始耳を塞いでいた。
同じくキニナル投稿にあった、横浜駅からデッキで接続している日産グローバル本社の周辺はどうだろう。
「風に乗って音が届いてる!」
こちらは本社ギャラリーの横浜駅方面と、みなとみらい方面のそれぞれの出入口で音が出ているようだ。人によってかなり離れても音が聞こえる場合もあれば、音の出所らしい自動ドアの真下付近まで行かなければ聞こえない場合もある。
左から、「そこそこ」「あんまり」「とても」聞こえる人たち
どうやら通常の音ではない何かが流れているのは間違いなさそうだ。
この音が何なのか、まずは「MARK IS みなとみらい」のお客様窓口に問い合わせると、「ネズミを防ぐための音を流しているとご説明しています」と教えていただけた。
調べてみると、ネズミを防ぐために「超音波」を出す装置がインターネット上でも販売されていた。これは人間の可聴域を超えた音なので、本来は聞き取ることができない。だが、装置によっては同時に人間がかろうじて聞き取れる周波数の音を出している場合があるようで、一部の人には聞き取れてしまうこともあるそうだ。
安いものから高いものまでさまざま(画像はイメージです)
この装置について、さらに詳しい情報をうかがおうとしたが、両施設ともに「取材には応じられない」とのことだった。建物の保全にもかかわる事柄なので、対応が難しいのかもしれない。
とはいえ、実際にネズミなどを避けるための音なのかはキニナルところ。
市内の建設物におけるネズミの防除について、横浜市保健所健康安全部にうかがうことにした。
「特定建築物」ではネズミ防除が責務
横浜市保健所の担当者によれば、「一定以上の床面積を持つビルの場合、建築物衛生法でネズミや害虫の防除を行うよう定められています。保健所としては防除を指導する立場ですが、方法については指定していません」という。
同法では、床面積3000平方メートル以上の店舗や事務所、学校などは、多くの人が使うために「特定建築物」に分類され、衛生管理が義務付けられている。ネズミ・昆虫の防除については、定期的な調査と必要に応じた防止措置が必要となる。
ネズミの防除は管理者の義務だ(クリックして拡大、厚労省HPより)
かつてはネズミや害虫などを防ぐために、広く薬剤を散布するのが一般的だった。だが、近年は環境や人体への影響を鑑(かんが)みて、薬剤の使用は最小限に収めようという考え方が主流になっている。
これはIPM(総合的有害生物管理)と呼ばれる考え方で、厚労省の建築物環境衛生管理基準に関するHPの記述によれば「害虫等による被害が許容できないレベルになることを避けるため、最も経済的な手段によって、人や財産、環境に対する影響が最も少なくなるような方法で、害虫等と環境の情報をうまく調和させて行うこと」。
薬剤の乱用は作業者にとっても建物利用者にとっても好ましくないため、ネズミや害虫の生息場所や侵入経路を調査したうえで、発生防止のための措置を行い、薬事法で定められた薬剤を使うことなどが定められている。
なるべく薬剤を使わないように防除する流れがある(厚労省HPより)
超音波などによるネズミの防除は駆除の前段階の対策として取り入れる事業者が増えているらしい。
一方、実際に超音波による防除効果がどれほどかは判断が分かれる部分のようだ。2002(平成14)年には超音波・電磁波による防除をうたった機器が実際には効果がないとして、公正取引委員会から排除命令を受けた例がある。
超音波による防除はネズミが慣れたり物陰に隠れると影響が薄くなることから、効果はある程度限定されると考えた方がいいのかもしれない。
ネズミ防除機器などの性能調査を行う研究機関もある(日本環境衛生センターHPより)
横浜市は、超音波にどれほどの効果があるかや、音が聞こえてしまう利用者からの声などについては、「現時点で把握していません」とのことだ。
取材を終えて
効果があるとすれば、薬をまく防除方法よりも環境や人間にとっては好ましい方法だが、耳がいい人にとっては非常に悩ましい「音」の問題。
今回、こうした超音波を「コンビニなどでも聞いたことがある」という情報も寄せられた。多くの人にとっては聞こえないこの音は、思いのほか社会に浸透しているのかもしれない。
ー終わりー
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mthikaruさん
2018年08月16日 10時19分
以前テレビで取り上げられていましたが、その場所では害虫やネズミ駆除目的というより、その場にたむろする人間(若者に聞こえやすい周波数なので主に若者)を排除する目的なんて仰っていました。元々海外のコンビニの前にタムロするヤンキーを排除するためだとかで…
むうにぃさん
2018年08月14日 22時42分
私もレポート通りのその場所で、毎回通過する度に超音波のような音を聞いては気持ち悪くなります。なんで聞こえてしまうのかな、防ぐ方法はないのでしょうか。今のところ少し音量を上げて音楽を聴きながらであれば、何とか通れますが、何もない状態で通る時は恐る恐る通っています。家族では、私以外に妹もそうです。若者という年齢ではなくて、2倍は年上なのですが・・・(汗)
リョー☆サンさん
2018年08月14日 18時26分
もう採用はないと思っていましたが、調査していただきありがとうございました。こどもは「またキーンとする!」と耳を塞ぎます。「効果がない」と排除命令を受けたものを使用してるのもそうだし、何より両社の回答が都合悪そうですね。やっぱりネズミより若者がターゲットなのかな?