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ユーモアあふれるイグ・ノーベル賞のミニ展示や、おなじみの企業の社史15000冊の蔵書、科学や経済に関する楽しい本がたくさんある県立川崎図書館がおすすめ! 気軽に楽しくアカデミックなひと時を過ごせます。
ライター:吉澤 由美子
イグ・ノーベル賞のミニ展示は5月9日まで!
アカデミックな世界は、真面目でお堅いだけではない。
ケンブリッジ大学とオックスフォード大学のサークルから生まれた「モンティ・パイソン」という例もあるように、アカデミックな世界とジョークやユーモアは意外になじみがいい。
科学の世界で最もそれを感じさせるのが、「イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)」
展示は2F。階段を登ったすぐ目の前にある
受賞するのは「人を笑わせ、考えさせた研究」。日本人の受賞者も多く、2011年に田島幸信さんが化学賞を受賞したことで日本でも注目が集まっている。
授賞式で片手を上げる田島さん※画像提供:香りマーケティング協会
この賞は、1991年にアメリカで創設された。本家のノーベル賞受賞者も選考に加わる世界的な賞。本家のノーベル賞とイグ・ノーベル賞を両方もらった科学者もいる。
授賞式会場の雰囲気も独特で、スピーチの制限時間を伝えるのは無機的なベルではなく、かわいい女の子が隣に来て「飽きたからもうやめて」と言い続けるシステムなのだとか。
格式ある受賞会場も楽しい雰囲気※画像提供:香りマーケティング協会
そんな楽しいイグ・ノーベル賞のミニ展示が、この図書館の2Fで5月9日(水)まで開催されている。
日本人受賞者を中心に紹介された会場には、受賞理由や研究の内容をわかりやすく解説したボード、「バウリンガル」などの関連商品、それぞれの研究の論文といったものが展示されている。
懐かしい「たまごっち」と解説ボード。関連書籍もある
中でも、去年受賞した田島幸信さんの展示は充実。
田島さんの賞状の画像もあった※画像提供:香りマーケティング協会
田島さんは、共同研究を経てワサビの香りで聴覚障がい者に火災を知らせる装置を商品化したことでイグ・ノーベル賞を受賞した。
実際の警報器ももちろんある
田島さんは、28日(土)に県立川崎図書館で講演会も行った。実は、ミニ展示のはじまった頃にもこの会場を訪れ、その時に書かれた色紙も展示されている。
田島さんがこれまで関わってきた香りに関する多数の商品
シンプルな展示ながら、紹介されている研究はどれも興味深い面白いものばかり。
中でも、足の臭いの原因となる化学物質の解明の研究に対して、1992年に医学賞が与えられた受賞理由にはつい声を出して笑ってしまった。
その受賞理由は、なんと「自分の足がくさいと思っている人の足はくさく、思っていない人の足は臭わない」という秀逸な結論を称えてというもの。
医学賞を受賞した足の臭いの研究は、もとになった論文が隣にある
じっくり読んでいくと、人を笑わせ、考えさせた賞の裏に、科学に裏打ちされた地道な研究があることにも感動する。
ピカソとモネの絵を見分けるハトは心理学賞。これも話題になった
このミニ展示で面白いのは、この図書館で読める関連図書などがいっしょに展示されていること。興味がわいたら、その本を読むことができるというのは、図書館らしい素敵な演出だ。
「粘菌がつくる自己組織的な鉄道網」はSFみたいでカッコいい
世界一の社史コレクション
県立川崎図書館でもうひとつ、見逃せないのが、普通の本屋さんや図書館ではほとんど目にすることができない社史のコレクション。日本中の会社が出した社史15000冊の蔵書は日本一であり、世界にも類がない規模。
社史は、科学技術及び産業関係資料を補完するものとして収集されている
4Fの社史室にはおなじみの企業名が入った社史がずらりと並ぶ。
旧財閥系の三井・三菱・住友など商社の社史
新聞社や出版社、鉄道会社、食品メーカー、見ていくとあらゆる企業のものが揃っている。歴史が古いものでは創業500年という羊羹の「虎屋」など。
社史を書庫で探してパラパラ気軽に読めるのは、この図書館の大きな魅力。
おなじみの会社が次々見つかる
最近のものはビジュアルも充実したわかりやすいものが多く、1冊まるごとカラーページのものもある。
創業者のドラマチックな人生を垣間見られるものもあり、歴史的な出来事が具体的に伝わってきて読み応え抜群。事実は小説より奇なりという言葉を実感できる。
取材を終えて
県立川崎図書館で、気軽に楽しみながら、ちょっとアカデミックに過ごすゴールデンウィーク。
専門誌の森で世界の奥深さを垣間見て、イグ・ノーベル賞でクスっと笑い、社史に触れて歴史に思いを馳せる。
「下町ロケット」の文字が見えるが、小説は推薦図書などが数冊あるだけ
なんとなく近寄りがたいと思っていた県立川崎図書館は、親しみやすく楽しめる場所だった。
― 終わり―
神奈川県立川崎図書館
〒210-0011 川崎市川崎区富士見2-1-4
TEL (代表)044-233-4537
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kawasaki/index.html
開館時間
火~金 9:00~19:00
土・日・祝日、12月28日 9:00~17:00
休館日
月曜日(ただし、祝日にあたるときは開館)
毎月第2木曜日(ただし、祝日にあたるときは翌金曜日)
年末年始・資料総点検期間(4月の上旬)
社史室の開室時間
現在は節電のため午後1時~午後5時まで
午後7時まで開館している火曜~金曜の場合、
5時以降は書庫出納により資料のご利用ができます。
イグ・ノーベル賞 ミニ展示
開催期間:~5月9日
開催場所:2F展示コーナー
大阪府立中之島図書館との共同企画 『みんなで選ぶ社史グランプリ』
投票期間:5月11日(金)~6月13日(水)
内容:開館時間に社史を見ながら投票
フジッコや江戸清といった食品関連、鉄道、百年史、暮らし、文化といった部門ごとの投票
同時に、味の素株式会社・日清食品株式会社の社史や新旧の商品を集めた展示も予定されています。
tarok@hiyoshiさん
2012年04月30日 19時40分
県立川崎図書館を訪問しました。少し古い建物でしたが4階の社史ライブラリは非常に充実しており調べ物が捗りました。国会図書館に並ぶ良いコレクションだと感じます。