世界遺産候補である鎌倉の永福寺跡は、どこまで復元されるの?
ココがキニナル!
国の史跡で世界遺産候補になっている永福寺跡は、誰が所有管理しているの?国有地なんでしょうか?キニナル。再建計画の有無なども併せて取材してください。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
永福寺跡周辺は国の指定史跡。45年かけ8割強まで鎌倉市が土地を買取り、国・県・市の出資で、来年には礎石復元、3年半後には池も復元される。
ライター:吉岡 まちこ
復元計画が始動! 来春にはお堂のスケールを実感
その永福寺跡地に動きが出てきたのは、4年ほど前から。長年温めてきた復元計画が動き出したのだ。
土の下から掘り起こされた姿を披露する説明会が行われるようになり、筆者も参加したのが下の写真。
2008年3月の発掘説明会で、すでに荻は刈り込まれていた
出土した漆椀のかけら(左)と、鎌倉の中でも最大級の大きさの瓦(右)
何度か説明会が重ねられ、今回かなり整備が進んだと聞いて、現地へ。
整備工事を担当する鎌倉市教育委員会文化財課の志賀野さんと、同じく文化財課で遺跡調査研究員をされている福田さんから今後の復元予定、さらにその先の展開についてお話を伺ってきた。
鎌倉市教育委員会文化財部 文化財担当の志賀野勝さん
文化財課・市内遺跡調査研究員の福田誠さん
現地では、昨秋からゲートと遊歩道の整備が行われ、今年3月には中に入って復元工事の様子を眺められるようになった。
2012(平成24)年度内には、まずお堂の柱の礎石等の復元が完成。
2016(平成28)年4月には、池が復元され史跡公園としてオープンする予定だという。
復元整備にかかる費用は、2015(平成27)年度末までに6億1600万円。うち半分は国の補助、6分の1が県、残り3分の1を鎌倉市が負担する。
テニスコートより瑞泉寺寄りに3つの臨時ゲートが
ゲートを入ると奥に山があり、そのふもとで工事が行われているのが見渡せた。
あの荻の原っぱに遊歩道ができていた!
遊歩道でお堂跡地に近づけるのは、今年度中はここまで
今年度中の復元計画では、三つのお堂のあった場所に土を盛り、礎石を埋め込む。礎石とは建造物の柱等を支える土台石のこと。「鎌倉時代の礎石はそのまま土の中に残し、その上に本物そっくりの石を並べ往時の姿をよみがえらせます」と志賀野さん。
完成予定図(写真提供/鎌倉市教育委員会文化財部)
当時の石は箱根のもの。でも現在神奈川県下では採石が禁止されているため、復元には似た青っぽい安山岩を全国で探し回り、鬼怒川のものに決まったそうだ。
置いてあるのは復元用の礎石
特別に柵の中に入らせてもらった。柱を乗せるための柱座という加工も復元
赤土と黒土を8層に重ねた盛り土に、復元用の礎石を埋める(10月上旬撮影)