美容院激戦区といわれる鶴見駅にあるスケールの大きさがハンパない美容院「世界」とは!?
ココがキニナル!
鶴見駅の美容院『世界』(ジャパン店)。店名のスケールの大きさがハンパない。オーナーの想いや過去の歴史が詰まっている?鶴見駅周辺は美容院容院激戦区なので競争状況も気になる!(親父の海さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鶴見駅周辺は半径500m圏内に約60軒の美容院が密集する激戦区。世界一への思いを込めて「世界」と名付けた社長はパワフルに美容界を生きる女性!
ライター:大和田 敏子
美容院「世界」とは?
美容院「世界」ジャパン店外観。確かにすごいインパクトだ
株式会社 世界の社長、平山雅代さんにお話をうかがうことができた。
現在70歳の平山雅代さん。今も現役の美容師として仕事を続けている彼女の颯爽とした姿に、まず圧倒される。
平山雅代さん(写真提供:東京新聞)
まずは投稿で「スケールの大きさがハンパない」と言われた店名について伺った。
「世界」と名付けたのは、“自分は世界一の美容師”になると信念を持っていたから。「店も従業員も全てトータルで世界一にしたいと考えている」と平山さんは言う。
平山さんの過去を振り返る
平山さんが美容師を目指したきっかけは、彼女が18歳の時、建築会社を経営していた父が亡くなり、将来のことを真剣に考えた時だった。
当時女性が就ける職業は限られた選択肢しかなく、女性の職としては、美容師や学校の先生、看護師などが多かったそう。
そのなかで、いかに独立し、将来を見通した職業かを考えたところ、美容に関心があったこともあり、また将来的に店を出せるということで美容師を選択。
「とにかく早く自立したい」という気持ちが強かった平山さんは、当時、美容界を代表する巨匠、「ハリウッド化粧品」ブランドで知られるハリウッド株式会社の会長メイ牛山に面会を求め、自分の生涯をかけるべく、ハリウッド美容専門学校に入学する。
だが、学校生活をはじめてわずか数ヶ月、腕を見込まれてから直々に声がかかり、彼女のもと六本木のサロンで働くようになる。サロンの客は一流、スタッフのレベルも高く、みな英語が堪能で外国からのお客様にも対応ができた。
そのなかで平山さんは、誰よりも早く出勤し、掃除や先輩たちの道具の準備などをしていたという。苦労というよりも、学ばせていただけていることへの感謝の気持ちが強かったと平山さん。
そういう日々の積み重ねで人の心をつかみ、努力を重ね通常の人が10年かけて積み上げるトータル美容のプロとしての技術や接客のプロセスをほんの2、3年で習得をしたという。
オープン当時の「ビューティーサロン ヒラヤマ」
店を持ち自立したいと考えていた平山さんは、1967(昭和42)年、24歳の時に、横浜市鶴見に「ビューティーサロン ヒラヤマ」をオープンした(1977<昭和52>年から「トータル美容ショップ 世界」)。
当時は師匠のサロンの近くで店を持つことはタブー。東京から離れた横浜を選んだ。鶴見には父の建てたビルがあり、縁のある土地だった。
しかし店を持って間もなく、ほかのスタッフに店を任せ、美容界の先端だったフランスに渡り、世界のトップに立つため、有名サロンに入店するオーディションを受けていた平山さん。
寝る間もないハードな生活を送りながら腕を磨いてきたが、やがて身体を壊してしまい、治療のため日本に戻ることを余儀なくされた。病気からは回復したが、27歳だった彼女は国外での挑戦を断念し、日本の地で「世界一になる」と決めて、ヒラヤマ改め「世界」として日本でオープン。
当時の本店(アメリカ店)
自ら店をオープンして48年。現在、株式会社世界の従業員は国内で約70名。鶴見駅西口に本店(アメリカ店)とジャパン店、イタリー店(鶴見区本町通)、ラリュール(鶴見東口)の4店舗、東京には雅店(目黒)、ラリュール銀座(銀座)、合わせて6店舗がある。
鶴見に4店舗ある理由は、「世界」をオープンさせた当時、鶴見区は工場などが集まる発展途上の街で、「これから鶴見は発展していく可能性を秘めている街なので、ここに住む人たちをターゲットにして街に根差していこう」という考えがあったという。
ちなみにこの地区で4店舗も出している店はない。
価格はカット&ブロー3150円~、SEKAIパーマ8925円~(シャンプー&カット&ブロー付)。トータル美容を目指し、ヘアサロンだけでなく、エスティックサロン、ブティックまで手掛け、食の大切さを意識したレストランも経営している。
ジャパン店は、日本の支店という意味ではなく、国外には店舗がなかった。
現在の本店(アメリカ店)内観
店名に国名をつけた理由については、『世界』という美容院なので、世界の国々の名前をつけたいとを考えたという。本店を「アメリカ」と名付けた理由は、アメリカに平山さんの叔父がいたこともあり、馴染みがある国だったから。
ジャパン店と名付けたのは、年配の方をターゲットにという思いから、この名前にしたらしい。年配の方は外国よりやはり親しみのある日本が一番落ち着き、なじみがあるかなという思いがあったという。
現在、美容院が若い人をターゲットにしがちなので、年配の方が喜んできてくれる店にしたいという思いが強くある、と平山さんは言う。
最近は国名に飽きてきて、少し趣向を変えているという。
鶴見東口駅前と銀座の店は「ラリュール(フランス語で、豊か、満ち足りたといった意味)」にしたが、かつてはフランス店という名前だった。
オープン当時の雅店(目黒)
「目黒店の名前<雅・みやび>は、店内の雰囲気などからくる雅やかなイメージと、私の名前の一文字を重ねて名づけました」。
ほかの国に店舗があるわけではなかったのだ。ジャパン店は、やや年配のお客様が多いものの、客層は若年層から年配の方まで幅広いという。
クリスマスを前にはかわいらしい装飾も(ジャパン店)
現在、平山さんは、トータルでできる(ヘア、メイク、エステ、着付けといった美容全般ができることに加え、接客や知識の面でもレベルの高い)美容師を養成したいと、週3日は、お店で若い子に自分の技術を教えている。
365日休みなし。楽をしたいとは思わない、生きている間に人のためになることをしたいと言う平山さんは、パワーにあふれている。
ジャパン店2階サロン エステのスペースも
本社(アメリカ店)2階にある平山さんのお客様専用のVIPサロン
店のコンセプトについて平山さんは、「“トータル美容”を意識し、お客様の頭の先からつま先まで美しくして、心から喜んでもらえる“おもてなし”を第一に考えています。ヘアースタイルをどんなにキレイにしても眉がボサボサだったり、肌が荒れていたりしてはせっかくのデザインも台無し。
ですから、眉カットや簡単なエステ、また、待ち時間にできるハンドやフットのマッサージなどをスタッフ全員ができるように指導します。
大きな意味での“トータル美容”は、外側の美だけでなく、内側からの美も重要視すべきですし、“健康=美”。0歳から100歳までが当社のキャッチフレーズですので、すべての年代の方が笑顔になってくださるような店にしたいと考えています。」
ジャパン店1階サロン
今後新店出店の予定について伺うと、2年前、68歳で銀座に店を出し、直営店はこれで最後だと思っているので、今後はフランチャイズ展開をしていく予定とのこと。
最後に、鶴見区が激戦区かどうか伺った。
「確かに美容院は多いと思います。その中で、生き残るというような考え方はしていなく、お客様が納得しないような店なら潰れてもいいと思っている。お客様が安心して喜んできてくださる店であることが大事、お客様の喜ぶ顔が見たい」と話された。
当時、店名に「世界」と名付けた時の気持ちは変わらず、いまでも従業員と「世界一」を目指しているという。
取材を終えて
今回の取材では、とにかく、株式会社世界の社長、平山雅代さんのパワーに圧倒された。70歳という年齢を感じさせないのは、外見だけではない。「世界」という大胆な名前を自らの店につけた彼女は、その名前にふさわしい生き方をしてきたのだと感じる。
美容師として世界のトップに立てなくても、生涯を美容界に賭けてきたその情熱は、誰にも引けをとらないに違いない。
―終わり―
美容院「世界」(ジャパン店)
住所/横浜市鶴見区豊岡町8-28
電話/045-573-6661
営業時間/9:00~20:00
kazam1205さん
2014年01月17日 03時48分
最後の「焼け跡世代」でしょうか…。この年代の方は、本当にパワフルなんですよね。