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かつて青葉台などを走っていた呼び出せるバス「東急コーチ」って、どんなバス?

ココがキニナル!

かつて、市が尾や青葉台を走っていた「東急コーチ」、どんな路線バスだった?(紀洲の哲ちゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

東急コーチは、利用者が発信機で呼び出したり自由に降車出来るなどの機能を備えた路線バスで、1975年~2001年まで5路線で運行されていた。

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ライター:橘 アリー

東急コーチが登場した経緯は?



東京や横浜などの都市では、昭和40年代以降、車も増え道路が混雑するようになっていた。
自家用車が普及するにつれ、路線バスが定時に到着しないという事態も増え、バスの利用者が減少していった。
そんなバス事業の活性化を図るために、それまでの路線バスとは違った特徴を備えた「東急コーチ」が導入されるようになった。

「東急コーチ」は、基本ルートのほかに「デマンド区間」と呼ばれる迂回ルートが設けられている路線バスであった。
お客さんが、デマンド区間に設置されているコールボックスと呼ばれる発信機でバスを呼び出せるという、路線バスにちょっとしたタクシーのような特徴が備えられていたようである。
つまり、普段はあまり乗降客がいない「デマンド区間」は通らずに時間短縮を図りつつ、呼び出されれば迎えにいくというような感じだったらしい。
 


東急コーチの説明板
 

東急コーチに乗り込む様子(展示より)

 
続いて、東急コーチの路線について。



全部で5路線あった!
 


東急コーチの1号車の路線は、展示車両が運行していた東京都の自由ヶ丘線(自由ヶ丘駅~駒沢の間の3.9km)で、1975(昭和50)年12月24日に運行が開始された。
デマンド区間は2ヶ所。

東急コーチは、デマンド区間があるため、営業の認可上は、乗合ではなく貸切バス扱いであったようだ。全国でも初めてのバスだったので、とても話題を呼んだという。開業当初、1日の運行本数は平日で100本、休日で91本もあったそうだ。

料金は、路線バスが70円だった当時120円と割高であったが、通常の路線バスに比べると乗り降りする場所をある程度選ぶことができると好評であったようだ。
 


デマンド区間に設置されていたコールボックス
 

赤いボタンを押すと、東急コーチを呼び出せる

 
自由ヶ丘線が好評であったため、続いて2号車が1979(昭和54)年9月30日に鷺沼線(鷺沼駅~宮崎台駅間4.8km)で開設された。

この路線は元々は路線バスの計画だった区間だが、坂道が多く住宅地を通るという地域性により、東急コーチの路線となった。
この路線のデマンド区間は「神木~グリーンハイツ東~宮平前ショッピングセンター」と「宮崎台小学校前~日本電気研究所~宮崎第四公園」の二区間で、コールボックスは「グリーンハイツ東」「日本電気研究所」2ヶ所に設置されていた。当初の運行本数は41本。
 


 

鷺沼線の運行系統図。濃い緑色がデマンド区間

 
その次に開設されたのが、キニナル投稿にある青葉台線(青葉台駅~藤が丘駅間3km)で、1981(昭和56)年9月30日の開始で、デマンド区間2ヶ所(資料がないため場所は不明)、運行本数は1日に80本。
この路線から、コールボックスに音声による案内サービスが取り入れられた。

続いて1987(昭和62)年3月27日に東急コーチ美術館線(現在の二子玉川駅~世田谷美術館間4.6km)が開業、運行回数は1日に24回。
コールボックスは、「玉川病院」「NHK技術研究所」「大蔵病院」の3ヶ所に設置された。
 


出入口の様子

 
この路線の車両には鳥がデザインされて1両ごとに鳥の名前が付けられていたようだ。
そして、車内では小学生の絵を展示したり、通院している人が座りやすいシートや、雨の日用の貸傘まで用意するなど、いろいろな新しい試みが行われていた。
そして1989(平成元年)4月1日には、世田谷美術館から用賀駅まで延長された。

最後に開業したのが、キニナル投稿にある路線の一つの、市が尾線で、市が尾駅~泉田向を経由して市が尾駅に戻る3.56kmの循環ルートであった。
デマンド区間は1ヶ所であったが、運転手さんに申し出ればバス停でなくても自由に降りられる「フリー降車区間」を1.3kmも設けたそうだ。
 


市が尾線の東急コーチの様子(『東急バス10年の歩み』より)

 
このように、自由ヶ丘線から5路線あった東急コーチは、1975(昭和50)年の開業から平成の始めころまでは、地域密着型バスとして定着して使われていたが、デマンド区間を利用するお客さんが増えたことで迂回する率が高くなり、通常の路線を利用するお客さんにとっては逆に不便になっていった。また、一般路線バスの車両の質が良くなったこともあり、1998(平成10)年以降は、デマンドバスの価値が薄れていったそうだ。
 


車両の質が良くなったことに関する展示資料


そして、2000(平成12)年10月2日、自由ヶ丘線が一般路線となり、続いて2001(平成13)年3月1日にはほかの4路線も一般路線化されて、東急コーチは役目を終え廃止となった。

最後に東急コーチ車両の中の様子について。



車内はどうなっているの!?


 


展示車両に入っていくと車内は落ち着いた雰囲気である
 

後部座席からの眺め
 

運転席横からの眺め
 

シートは小型だが座り心地が良い!

 
座面は程よい柔らかさで、背もたれは首の部分もしっかりとしていて、体にフィットする心地よさがある。
 


窓の様子
 

運転席裏の行先の案内板
 

運転席の様子
 

冷暖房やラジオなどのコントロールパネル


東急コーチは、デマンド区間があるほかにも、冷暖房完備でラジオも設置されていて、当時としては、一般の路線バスとは一味違った便利さと高級感があった路線のバスであったようだ。



取材を終えて



子供のころ、たくさんの人を乗せて街中を走るバスをみて、“あんな風にバスを運転してみたい!”と思ったことはありませんか?
 


東急コーチの展示車両は、運転シュミレーションもできるので・・・


体験してみてはいかがでしょうか。



―終わり―

この記事どうだった?

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  • 1997~1998年に宮崎台に居住していましたが、宮崎台駅前のロータリーに東急コーチバスが停車していました。懐かしいなあ。1998~2001年は青葉台駅が最寄り駅だったので、確かに青葉台駅付近でも目撃した記憶あります。でも、乗車したことはなかったので、どんなバスなんかな?とは思っていて、この記事で学習できました。

  • 湘南京急バス 船50系統 大船駅〜桔梗山もデマンドバスですよ。デマンド区間は1箇所で、やはり急坂区間だったと思います

  • 東急コーチは今もちゃんと走っています。

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