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ここって本当に公園!? 腰掛けが3つあるだけの「上大岡第三公園」の経緯に迫る!

ココがキニナル!

上大岡西3丁目14に「上大岡第三公園」という公園がありますが、とてつもなく小さい石造りの腰掛けが3つあるだけの、公園とは言いがたい場所です。何故このような公園ができたのか?(YAM-3さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「上大岡第三公園」は、車道や坂といった周辺の生活事情によってできた。腰掛けはここで休憩する人のため必要なもので、面積的に3つが限界だった!

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ライター:濱屋 亘

「上大岡第三公園」ができた経緯とは?


 


まず、公園がつくられるまでの経緯についてお話を伺った


「あそこは元々、地形的にちょっと複雑な場所だったんです」と仲田さん。「現場に関わった方がすでに事務所にいないため、調べた資料で分かることだけになりますが」と言いながら、仲田さんたちはさらに当時のことについて話してくれた。

話を要約すると、こうだ。

事の発端は1946(昭和21)年12月のこと。公園用地周辺が「旧住宅営団が施工した土地区画整理事業により、公園として換地処分された」のが始まり。しかし、当初あった土地は現在のような形ではなく、図1のように、隣接する土地と一部噛み合った状態だったのだと言う。
 


(図1)緑色の部分が当初の公園用地の形


土地整備を進めるにあたって、1989(平成元)年6月には図2の「土地A」と「土地B」を交換、ここで現在の公園の敷地となる場所が決定し、土地をならす作業が始まったのが1990(平成2)年2月。腰掛けや植栽などを整備して完成したのが1991(平成3)年3月。そして同年3月には一般公開となった。
 


(図2)(A)の部分と(B)の部分を交換し、いまの公園の元地を成形した


これは今回の場所とは違う場所での作業風景だが、実際の流れはだいたいこんな感じ。
 


まず基礎を整える
 

遊具などを設置する
 

周辺も整え、一般市民に開放する


また、この場所が公園として整備されたのには、この場所ならではの理由があった。

まず最初に、この公園周辺の道路事情。実はこの公園、その敷地の一部に歩道を含んでいる。それは公園周辺の横断歩道に歩行者が立ち止まれるようなスペースがなかったためで、公園がこの不足を補う形となっている。

さらに、近くにはバス停もあり、周辺にはバスも通る。歩行者としては車道ギリギリを歩きたくないところだが、植え込みに守られた公園内を通り抜ければ、ヨチヨチ歩きの子どもと一緒の母親でも安全に越すことができ、夏には木陰でバスを待つこともできる。
 

 
公園すぐ脇にあるバス停


さらに、公園周辺の地形の事情。図3を見てもらえばわかるように、公園を越えた後、山側の住宅街へ至る道はずっと続く上り坂となっていて、この公園を越してしばらくは休めそうな場所もない。買い物や駅への行き返りで坂を往復する人にとっては、坂下にちょっと足を休める場所があることは便利といえる。
 


(図3)公園の出入り口も三方向に開いていて、通り抜けもスムーズ


「そもそもこの場所は空地で、そのままにしておくとゴミを捨てられるなどの問題があったため、公園として整備して欲しいとの近隣住民の要請もあったかと思いますが、ここが公園という選択肢になったのはなにより、周辺住民の生活に必要だったからだと思います」と仲田さんは言う。

なるほど。この場所が小さくても公園でなければならなかったのは、周辺住民の暮らしにこそ、その理由があったのか。しかし、ここにきてまだ疑問が残る。それは、公園内に置かれた腰掛けだ。
 
 
 

なぜ「そんな腰掛けが3つ」あるのか!?


 
上大岡第三公園の中には「とてつもなく小さい石造りの腰掛け」が「3つ」置かれている。なぜ、ここにそんなサイズの腰掛けなのか、しかもよりによって3つなのだろうか。
 


設計当時の資料。レンガで舗装された植え込みと、腰掛けが3つあるのがわかる


仲田さんにこれについても質問してみると、腰掛けが置かれたのはやはり、そこで休憩することを考えたから。置かれたのが横長のベンチなどではなく一人用の腰掛けだったのは、設置する面積に限界があったからで、ベンチだと一人が座ってしまうとほかの人が座りにくくなるから。数が3つしかないのは、3つ以上あると通行の妨げとなるからと説明してくれた。また、石の置き物として考えると石の配置は奇数であることが多く、偶数というのはあまりないのだという。
 


ただ置いたというのではなく、配置を微妙にずらすなど工夫がされている


ちなみに、公園内で使われているおしゃれなレンガは「ハマレンガ」といい、生産の都合もあって今はもう作られていないレアなもの。これと同じものは、磯子区の「杉田商店街」にも使われている。

最後に、公園って、希望すれば遊具を増やしてもらったりできるのか聞いてみたところ、基本的には町内会や公園愛護会からの要望についてはなるべく答えるようにしているので、十分あり得ますとのこと。
 
「ただ・・・、この上大岡第三公園については難しいでしょうね」 
あ、うん。ですよね・・・(笑)
 
 
 

取材を終えて


 
取材の帰り道、もう一度上大岡第三公園に寄ってみた。すると公園には、腰掛けに座って一服するおばあちゃんの姿が。

「お休みですか?」と声をかけると「ああ、買い物の帰りでね」と答えが。「どっからきたの?」と逆に聞かれたので、地元の住民ではないことを話すと「あんた知らんでしょ、ここから先はずっときつい坂があるの。この年だと足腰にはつらくって。でもここで休んでいくとちょっとはましだから」と話してくれた。見ると、傍らには荷物で膨れたショッピングカートが一台。私でも、引くのは重そうだ。

「桜も終わったねえ」と見上げた視線の先には、芽吹き始めた若葉の緑が。
 


若葉が芽吹き始めていた


夏になれば、ここには涼しい木陰ができるのだろう。何気ないことだけど、この公園、ちゃんと頑張ってる。面積こそ小さいものの、周辺に暮らす人のためを思って作られたこの小さなスペースには、住民との見えない「対話」が、ちゃんと息づいているような気がした。
 
 
―終わり―
 

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  • 近所に住んでいてよく通ります。なんでこんなに狭いんだろうと不思議に思っていましたが、経緯がわかってすっきりしました(^_^) 腰掛の配置にも配慮がなされているのですね~。お年寄りやお子さん連れの方には便利だし、見た目にも和むので、大事に使っていきたいですね。。

  • 公園の認識が変わりました。まぁ、こういう公園もありですね。

  • ここ、よく通っています。それこそ、スーパーへ行くのに。オマケについ20分前にも。原付でパァ~~ッと通過してしまうので、こんな公園があったなんて。確かにこの坂道、長くてダラダラしているんですよね。私も原付だから行けるものの、買い物したものを持ってこの坂は登れないです…今度、ここの前を通る時には誰か休憩しているのか?見てみようと思いました。楽しい話題でした。

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