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緑豊かな瀬上市民の森近く、小さな川にかかる打ち捨てられた謎の二重の橋の正体は?

ココがキニナル!

栄区上郷町の県立栄高校裏手の小さな川に架かる橋ですが、なぜ二重になって打ち捨てられているのかキニナル。こうなったわけを調査してください。(浜っ子さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

背後の山の土地の所有者のための生活道路と公道とを結ぶ、川に架かる橋であった。二重については鉄筋の上に鉄板を載せていた。

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ライター:小方 サダオ

地主の方に話を伺う



再び現地に戻り、この橋について事情を知る人を探した。

そして近くの民家の方に伺うと「この上に住むAさんが、自分の子どもが通うのに便利だからと自ら架けた橋です」と答えてくれた。

橋のある川の反対側に住む人が架けた橋のようだ。
 


川の反対側は山になっている


そこで県立横浜栄高校の裏の道を進み、山の上を目指すと、そこには住宅地が広がっていた。

そしてAさんのお宅を探すと、ほどなくして発見できた。

住宅から出てきた男性に橋に関して伺うと、いっしょに現場に案内してくれながら説明をしてくれた。
「60年ほど前に、私の父親が顔なじみの人たちから買ってきた牛を運ぶために架けたものだよ。月に5~6頭は買ってきて、山の中腹の牧場の牛舎まで運んでいたんだ。数人で山道を大きな牛を引っ張っていくんだから、大変だったようだよ」と答えてくれた。
 


買ってきた牛を運ぶための橋であったという


親切に現地で説明をしてくれたAさんにお別れをし、住宅街を外れて、山の方に向かうと、さらに(同じ苗字の)Aさんのお宅があった。どうやらこちらが橋を使用していた本家(先ほどの男性の兄の家)のようだ。

Aさん夫人に話を伺うと「この山の大部分は私たちの土地です。しかし以前は山から下に下りる道はなく、まわり道しかなく不便だったため、川に橋を架けてこの家までの最短距離の道を作ったのです。ここは私たちの生活道路でした。そのため以前は橋の近くに、わが家のポストを置いたりしていました」
 


以前はAさんのポストが橋の近くに置かれていたという


「主人の父は、終戦後まもなく山の上のこの地に来て、原野を耕して牧場を作り、搾乳などを始めました。70年ほど前のことになります。牛は宮城県の仙台からJR大船駅まで、列車で運ばれてきて、駅からここまで、車の少ない夜明け時に牛を引いて牧場まで運んだりしていたそうです」
 


橋の下を流れる川
 

土嚢(どのう)を積み安定させた上に、鉄筋が渡されている
 

瀬谷区にある、1965(昭和40)年設立の
相澤良牧場の牛


「初めはそのために作ったものですが、牧場をやめた後は、現在31才の一番下の子どもが上郷中学に通うためなどの目的で使うようになりました。しかしその後は放置することにしました。それはその橋を渡って私たちの私道に他人が勝手に入ってきて通り抜けたり、ゴミを捨てていったりする人たちが出てきたからです。そのため橋と山道の周りの草を刈らないことで、道と橋を見えにくくしました」

「この中腹には以前は数件の家があり、その人たちのためにも橋は便利だったのです。しかし引っ越していったこともあり、今では私たちだけしか残っておらず、橋を使う人が少なくなったことも放置させた理由です」と答えてくれた。

 


橋の下の様子

投稿にある「二重になっている」ということに関して伺うと「鉄筋を渡した上にトラックの荷台の部分が載っているからではないでしょうか?」と答えてくれた。
 


鉄筋の上にトラックの荷台部分が載っている


またこの橋を撤去する予定があるかについて伺うと「今はその予定はありません」と答えてくれた。

ここでご主人が戻ってきた。
さらに詳しい話を伺うと「以前は中腹にあるこの家から、まず山を上って公道に出てから下へと下る道しかなくて、遠回りでした。そのため山の草を刈って、この家からふもとに向かう最短距離の道を切り開いたのです」
 


鉄筋の骨組みの上に木の板を載せて、その上に鉄板が載せられている


「父はこの地を開拓する際に、山を耕す時に切り出した材木やドロなどを、ふもとまでレールを敷きトロッコの上に載せて運んでいたのですが、その使わなくなったレールを使って、橋を架けました。その後、トラックのボディーの鉄板を上に載せたりして使いやすいようにしたのです」
 


トラックのボディーに使われた鉄板だという
 

この鉄筋がトロッコのレールなのだろうか


「その後、牛を運ぶ必要がなくなった後は、私たちの生活道路として使っていました。この山は草を刈らないとマムシが出るため、月に2回は草刈をしていました。しかし16~17年前からは、他人が入り込んでゴミを捨てたりすることが増えたので、草を刈るのをやめたところ、橋が雑草で分からなくなって人が来なくなったので、そのまま放置するようにしました」


戦後に作られた、Aさんの生活を支えた、手作りの橋であったのだ。
Aさん夫妻に感謝を述べて、素晴らしい景観の広がる上郷町の山を後にした。



取材を終えて



上郷町には、豊かな自然が残っている。Aさんの生活のために重要な役割を果たしていたこの橋は今は草木に覆われ、このまま橋が自然の一部となって溶け込んでいくような気がした。
 


使われなくなり緑に覆われた橋

―終わり―
 


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  • かつて陣ヶ下渓谷近く市沢町にかかっていた橋を思い出しました。今は環状二号線の下辺りですが、子供の頃はカブトムシ取りに行く途中にあり、夏は特に往復してました。あれも個人のものだったのかも。

  • 今なら橋を勝手にかけるなんてとんでもない、と言う話になるのでしょうが、70年も前の戦後間もない時期では田舎であった地域のインフラ整備なんて期待できなかったでしょうから、必要なことだったのでしょう。正直に色々答えてくれたAさん一家が戦後の混乱期から一生懸命働いてきた記憶が刻まれた橋ですね。

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