関内で澄んだ音色に酔える? トリニダード・トバゴ出身の世界的「スティールパン」奏者、トニー・グッピーさんに直撃!
ココがキニナル!
「スティールパン」という楽器がキニナル。演奏していたのは、トニー・グッピーさん。スティールパン奏者の第一人者である、トニー・グッピーさんとスティールパンの魅力について取材を!(ころすけさん)
はまれぽ調査結果!
トニー・グッピーさんはナショナル・スティールパン・ソロスキル・コンテスト優勝の世界的なアーティスト。スティールパンは多彩な音色が魅力!
ライター:ムラクシサヨコ
2オクターブ半の音が出る!
ところで、スティールパンって、どうやって音を出すのだろうか。丸い大きな金属を叩いて2オクターブ半も出せるとは驚きだ。
グッピーさんは、iPadのスティールパンのアプリを見せながら説明してくれた。(そんなアプリがあるとは!)
iPadで説明してくれたグッピーさん
円形の金属からなるスティールパンは、内側に、小さな円形の凹みがたくさんあり、場所によって出る音が変わる。
なるほど! こうなっていたのか!
アプリでは、音名がアルファベットで描かれているが、実際の楽器には描いていない。どの場所がどの音か、覚えるのが大変そうだ。「最初は楽器にシールを貼ったりするのかな」と思ったら「それはしません」と即答されてしまった。そういうことはしないほうが早く覚えるのだとか。
2本のスティックで叩いて音を出す
トニーさんの楽器は、著名なスティールパン製作者であるお兄さんがつくったもの
-ところで、グッピーさんは教室もやっているのですよね。
横浜市内を中心に教えています。初心者から上級者まで、どんなレベルでもOKですよ! 今のところ、自分の楽器を持っている人が対象ですが、楽器を買いたいという人には相談にも乗ります。レッスンは日本語で指導するので、言葉が不安だと躊躇している方もご安心ください。スティールパンに関することなら、自信を持って指導・お答えします。
では、スティールパンについて知った後は実際に音色に触れてみなければ! ということで、スティールパンのライブに潜入!
スティールパンのライブを聴きに
グッピーさんは普段は関内や鎌倉、都内などでライブを行っている。
これまで、関内では「barbarbar」「Kamome live matters」などでライブに出演。直近での関内のライブは12月11日の「Kamome live matters」で開催される予定。
今回は、東京都新宿区のライブハウス「SOMEDAY」のジャズライブにグッピーさんがリーダーのライブがあると聞き、お邪魔することにした。
演奏前のグッピーさん
胸元のネックレスはスティールパン!
この日の出演者はTONY SUGGS (ピアノ)、中村健吾(ベース)、小泉高之(ドラムス)。ゲストに島裕介(トランペット)という顔ぶれ。彼らは今をときめくトップミュージシャンだ。
筆者はジャズのライブにはよく出かけるが、スティールパンの音楽を聴くのは初めて。ジャズとスティールパンって合うんだろうか・・・。
新宿SOMEDAYでのライブ
演奏が始まると、5人のそれぞれの楽器が溶け合い「スティールパンが入っているから」といって、違和感がない。迫力ある演奏にぐいぐい引き込まれる。
スティールパンのソロ部分では、美しい独特の音色を堪能。明るいような哀しいような、趣のある音がふわりと漂う。グッピーさんが2011(平成23)年の東日本大震災の後、余震で揺れる中作ったというオリジナル曲『Crying Skies』は迫力満点の激しい演奏で「スティールパン=カリブの明るい音楽を演奏する」というイメージが一気に吹き飛んでしまった。
『キャラバン』『柳よないておくれ』などのスタンダード、ゲスト島裕介さんのオリジナル曲などを演奏し、あっという間にライブが終わってしまった。
演奏中のグッピーさん
ところで、共演のミュージシャンの方々は、スティールパンについてどう考えているのだろうか。演奏後、お話を伺った。
ベースの中村健吾さん(左)、トランペットの島裕介さん
ピアノのTONY SUGGSさん(左)とドラムの小泉高之さん
グッピーさんとの共演が今回で2回目というドラムの小泉高之さんは「グッピーさんはスティールパンでどんな速い曲でも演奏するからキツイときもありますね(笑)。スティールパンが入ると、スペーシーな感じがうまれる。それがいいですね」。
たしかに、スティールパンは、空間の広がりを感じさせる音がする。緊張感がある曲でも、どこか広がりを感じるので、演奏を聴いていて、とても深みを感じる。
ベースの中村健吾さんは、「トロピカルな音で、聴いていて気持ちがあたたかくなりますね。曲によって静かだったり、強弱もいろいろで、いろんな音色があるのが魅力ですね」。
休憩時間中に楽器の説明をしてくださったグッピーさん
トランペットの島裕介さんは、「スティールパンはお好きですか」と聞くと「嫌いだったら共演してないよ!」とのこと。「スティールパンは明るい音色だけど、名手は哀しい音を出しますね。いろんな音楽にフィットする楽器だし、トニーさんはその曲に合う音を追求している。グッピーさんのそういうところに共感しますね」と言葉を継ぐ。
トランペットは明るく開放的な音のする楽器だが、名人のジャズトランペッターは哀しい音を奏でる。2つの楽器、共通するものがあるのかもしれない。グッピーさんとは今回が初めての共演だが、ほかのスティールパン奏者との共演はしたことがあるという。
演奏の後で、ポーズ!
グッピーさんは「ジャズもやるけれど、どんな音楽でも演奏する。自分がやりたいものが自分の音楽」と語る。もっといろいろな演奏を聴いてみたい! みなさまもぜひ。
グッピーさんの演奏はコチラ
※動画サイトにリンクしています※
グッピーさんは、グラミー賞受賞ベーシストのマーカス・ミラーとブルーノート東京公演で共演、高橋ゲタ夫(ベーシスト)、カルロス菅野、村上“ポンタ”秀一、チャー(ギター)など、ビッグアーティストとの共演も多いミュージシャン。
そんなスゴイ方なのに、気さくに取材に応じていただいて、感激しながら、ライブハウスをあとにした。
取材を終えて
インタビューは音楽の話で3時間以上。「スティールパンは特別な楽器じゃない!」「カリブのフェスティバルのためだけの楽器じゃない!」と何度も言っていたグッピーさん。迫力あるジャズの演奏を聴いて、その言葉に納得です。またライブに行きたいなぁ。
―終わり―
にしくみんさん
2015年11月18日 16時45分
スティールパンは透明な美しい音色ですね。ニューヨークにいた時いつもストリートのスティールパンの曲が遠い世界を奏でているように感じていました。
三日坊主さん
2015年11月18日 14時09分
実は習ってみたいと思っていました。でも、スチールパンを手に入れてから ですね。