川崎区の小田公園にあった「巨大な山」が姿を消した経緯とは?
ココがキニナル!
川崎市川崎区にある「小田公園」に以前は「山」がありました。50年くらい前に造成された人工の山ですが無くなってしまった経緯などがキニナル!(QZさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1964年に小田公園に設置された「山」が撤去されたのは2011年。その場所は「じゃぶじゃぶ池」に変わった現在も子どもたちでにぎわっている。
ライター:福原 麻実
かつての「山」の姿とは?
秋元さんらによると「山」が造成されたのは、1964(昭和39)年ごろ。大きな人造石研ぎ出し仕上げの滑り台だったそうだ。この「人造石研ぎ出し仕上げの滑り台」というものは、当時流行っていたようで、全国各地で作られていたという。
人造石研ぎ出し仕上げの滑り台(写真はフリー素材より)
ただ、この小田公園の「山」は埋まっている石を上って遊ぶことができたり、植栽が植わっていたり、頂上にはベンチが設置されていたりと、いくつかの設備を兼ねた大きなものだったようだ。
1964(昭和39)年当時の様子を写した写真をいただいたので、ご紹介したい。
大きさと利用者数に驚く
上の写真右側には階段もあるようだが、下の写真を見て分かるように、螺旋状にスロープもあり、誰でも上に行くことができた。当時は周囲に高層の建物が少なく、見晴らしが良かっただろう。
写真中央、ベビーカーを押すエプロン姿の女性の姿がなんともレトロだ
「山」が姿を消した経緯
小田公園のシンボルだったといえる「山」が姿を消したのは、2011(平成23)年。川崎市が主導する「リフレッシュパーク(都市公園の整備)事業」による、小田公園全体のリニューアルに伴ってのことだった。
小田公園には以前はプールがあった。これらは2009(平成21)年より住民の声をヒアリングした結果「プールは夏しか利用できない、年中利用できるものを」という理由で撤去され、現在はそこが広場(筆者が犬を連れた女性に会った場所)に変わっている。
流れるプールと円形のベビープールがあったそう(提供:川崎区役所道路公園センター)
しかし同時に、別の水場の存在を望む声も多くなる。そこで、この意見を取り入れて生まれたのが「じゃぶじゃぶ池」だという。「山」はここでその役目を終えることとなる。
この「じゃぶじゃぶ池」は7~8月には水が張られ、監視員も配置される。それ以外の季節は水が抜かれ、そこで自由に遊ぶことができる。池の底のコンクリートにはウレタンが混ぜられているため、踏むと軟らかいそうだ。
47年もの間、小田公園を見守り続けた「山」は、こういった新しい遊具や設備に、その場所を譲ったのだった。
取材を終えて
新しい設備にその場所を譲った形になった、「山」。設備の新しい公園はなんとなく安心だし、見た目もきれいだし、2016年度で工事が全て終了する小田公園の今後は興味深いものだ。
しかし、個人的には人造石研ぎ出し仕上げの滑り台が姿を消しつつあるのは、少し残念である。無機質なのに温かみがあって好きな素材なのだが、もう古い小学校の手洗い場ぐらいでしか見られないのだろうか。
このノスタルジックな風合いがなんともいえない・・・(写真はフリー素材より)
―終わりー
参考文献
『焦土からの再生―戦災復興はいかに成し得たか』(井上亮著)新潮社
『世界で一番やさしい左官 (エクスナレッジムック 世界で一番やさしい建築シリーズ 26)』(原田宗亮著)エクスナレッジ
hamamamaさん
2017年05月04日 17時33分
小田プールを必要としない「子どもがいない世帯が多くなった」という証ですね。監視員がしっかりいて、持ち込み自由で一日いられるプールはとても貴重で、夏は満員でとても流行っていましたが残念無念でした。公園プールが富士見町含め全て姿を消してしまったため、隣の横浜市の公園プールへ出かける子連れ家族が増えていますね。川崎市民は川崎市内で楽しめなくなりましたか。。。
ゆんたさん
2016年01月24日 06時57分
子供の頃、あの山が大好きでした。山のてっぺんで、近所の駄菓子屋さんで買ったおやつを食べたりして。大好きだった小田プールも無くなり、時の流れを痛感しています。興味深い記事をありがとうございました。
すっしーさん
2016年01月08日 12時27分
川崎区の浜町にも昔、「お山公園」と呼ばれていた、コンクリートの山が存在する公園がありましたね。当時はその山でよく遊んだものですが、よく怪我もしました。つい何年か前にその公園を見たら山はなくなっていました。昨今のことなので、危険とかそういう観点でなくなってしまったのかなと思いましたが、どうなんでしょう。ちなみにお山の跡地はただのさら地で、広々した公園となってました。