権太坂の坂道に突如現れる謎のモノレールの正体は?
ココがキニナル!
国道一号線、権太坂上付近の坂道に小さなケーブルカー(?)が動いていますが、あれは何でしょうか?調べてください。(boyoさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
坂の上に建つ病院などの利用者のためのモノレール。一般の人の利用も歓迎している。また現在さまざまな施設でモノレールを設置する事例が増えている。
ライター:小方 サダオ
モノレールに乗車!
次にモノレールへと向かい、運転手の山上勇(やまがみ・いさむ)さんに話を伺うことにした。
運転手の山上さん
モノレールについて伺うと「坂の下と上に2ヶ所駅がありますが、常に下の駅で待機しています。上の駅に使用者がいる場合はボタンを押していただくと、自動的に上の駅まで上って行きます。そのため、上で呼ばれたときに中にいないといけないので、基本的に車内で待機しています」
駅に設置されたモノレールの呼び出しボタン
「運転は全自動ですが、緊急停止ボタンも含め、手動で動かすこともできます」
手動で動かすためのボタン
「運行には雨や雪は影響ありませんが、風の強い日は休止します。毎月のメンテナンスで、不具合などに気づいたら報告しますが、あまり問題は起こりません。20年以上前の車両なのに感心しています」
モノレールの車内
「スピードに関しては、時速4kmほどで、歩くより遅いです。老人の利用者が多いため、危険性のないように、スピードを制限しています。しかしお子さんが乗られる時は一様に喜んでいますね」
「これ以上レールの距離が長くなると、運転免許も必要になり、陸運局への届け出が必要になります」と答えてくれた。
レールの長さによっては陸運局への届け出が必要だという
そこで実際に乗車させてもらった。
乗車する利用者
「発車します」のアナウンスとともに動き始める
乗り心地は「ゆったりのんびり」といった感じで、遅めのスピードと微妙な横揺れが心地いい。
春の日差しで車内は暖かい
社内の様子【動画】
上の駅へ到着【動画】
窓を開けると、春の日差しとともに車内に入ってくる風が気持ちいい。車内から手の届く距離にある木々が車体をかすめて過ぎてゆく様子も印象的だった。
手の届く距離に木々【動画】
モノレールを追いかける【動画】
ゆったり走るモノレールの姿にも癒される
歩いた方が早いのは確かだが、ゆったりと走るモノレールに乗ると、忙しい心がほぐれる気分になる。このモノレールが与えてくれる癒しの時間と言えよう。
1400年以上前に建設されたお寺にあるモノレール
山下さんから、現在も個人向けモノレールを設置する施設が少なくない、と伺った。
そこでインターネットで調べると、比較的最近設置されたモノレールを、東京都台東区の浅草に見つけた。
浅草寺の子院であり、595(推古天皇3)年、地中から忽然(こつぜん)と湧き出た霊山と伝えられる山の上に鎮座する「待乳山本龍院(まつちやまほんりゅういん)」だ。
山の上に建つ待乳山本龍院
参拝者でにぎわう境内
そこで総務の深谷昌広(ふかや・しょうこう)さんに話を伺うと「当山の『さくらレール』の経緯については、10年ほど前より、お年を召したお参りの方から、参道の階段が大変だとのお話が多くなってきました。そのため当山の平田真純(ひらた・しんじゅん)住職は、待乳山のバリアフリー化を考えましたが、エレベーターは山の一部を削らなければならないことと、建屋が必要となり工事費用が大きくなることが問題でした」
待乳山本龍院の本堂
「またエスカレーターは屋外のためメンテナンスや事故などの心配があり、参道も狭くなるという問題もありました。そこで別な方法を探してましたが、たまたまインターネットで福岡県の嘉穂(かほ)製作所が個人向けにモノレールを扱っているのを知り、すぐにお話をお伺いしました」
「モノレールの利点として、レールを一本引くだけなので、比較的境内の景観を壊さずに済むことや、エスカレーターと違い車いすやベビーカーなども安全に昇降が可能なことがありました」
バリアフリー化の手段としてモノレールの利点が多かった
花壇で飾られた駅の入り口
「何より、当山の対岸の向島に東京スカイツリーが完成し、ちょうどモノレールの予定する位置からよく見え、大人も子どもも楽しんで乗ってもらえることがありました。そして2012(平成24)年9月30日に落慶し、公募により『さくらレール』と名づけられました」
「テレビや雑誌などにも『東京で1地番低い山の、東京で一番短いモノレール』としてご紹介いただき、浅草の隠れた名所となっております」と答えてくれた。
さくらレールの発車の様子【動画】
上の乗り場から下へ【動画】
エレベーターやエスカレーターと比べて、モノレールの方が土地に合わせて設置できる点などで利便性が高いようだ。
取材を終えて
エレベーターなどの利便性を重視したものではなく、施設内にモノレールのような乗り物を設置するというのは、運営者の遊び心も感じられ、また愛称をつけてもらえるマスコット的な存在になるなど、施設全体の雰囲気作りにも貢献するように感じた。
マスコット的存在と言える施設内のモノレール
―終わり―
取材協力
育生会横浜病院 モノレールページ
http://ikuseikai-yokohama.com/guide/monorail.html
さいとうさんさん
2016年07月18日 17時31分
南区井土ケ谷上町の、南の丘メモリアルパークにもありますよ。こちらは墓参の人用で、自由に乗れるかどうかはわかりませんが。
myuuchan2さん
2016年05月15日 16時40分
保土ヶ谷区上星川の上星川教会のある丘にも、ゴンドラみたいな乗り物があります。山坂階段の多い横浜市でも屈指の急坂地区の保土ヶ谷区(特に相鉄沿い)ですが、市内のこういう半公共的モノレール&ゴンドラ的乗り物のレポートをお待ちしています!
ホトリコさん
2016年04月18日 12時11分
テレビで見たときは「灯台もと暗し」と悔しがりましたが、その番組も先月で終了。さすがに自称健脚のケチなプライドが邪魔をして、乗ったことはありませんが、爺になったら利用してみます。