神奈川区にある選奨土木遺産「京浜港ドック」に潜入!
ココがキニナル!
土木学会の選奨土木遺産に選ばれた神奈川区の京浜港ドック。一体どんな施設なの?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
防波堤などの基礎となるコンクリートを作り、横浜港の発展を支えた。現在は実証実験施設として活躍中
ライター:はまれぽ編集部
京浜港ドックの内部に潜入!(
つづき)
菅係長によれば、京浜港ドックは防波堤などの基礎となるコンクリートを作るための施設だったという。横浜港を整備するに当たり、波を防ぎ港内を安定させるために、大量の箱型コンクリートブロック「ケーソン」が必要だった。そのコンクリートブロックをドック内で作り、「浮かべて」運んでいたのだ。
コンクリートが水に浮く!?
中が空洞になった箱型のコンクリートは、海水が浸入しないように蓋をすれば水に浮かび、船などでけん引できる。防波堤の建設現場まで運び、砂などを詰めて沈めることで港湾施設を作ってきたのだ。
戦前の京浜港ドックの様子。横浜港の近代化を支えてきた
京浜港ドックは、海水を注入・排出できる「ドライドック」として、国内で最大数のブロックを作成していた。横須賀港、川崎港などのふ頭や防波堤も京浜港ドックのコンクリートで形作られている。
奥に見える水門の向こうは海。ここから無数のブロックが各港に運ばれていった
実験施設として現役稼働中
京浜港ドックでは2009(平成21)年まではコンクリートを作っていたが、2015(平成27)年からはその特徴を生かした実証実験施設として活躍している。ドック内に海水を入れて海中の状況を再現できるため、ソナーや探査ロボットなどの運用実験に重宝されているという。海洋資源であるレアメタルの探索実験などにも役立てられているようだ。
ドックの底には海底の状況が再現されている
1926年に竣工した施設がいまも現役で稼働しているということは驚きだ。明治・大正期に作られた施設の頑強さゆえに、今でもほとんど当時のまま使い続けることができている。「いま、横浜周辺に同様の施設を作るのは難しいでしょう」と菅係長。選奨土木遺産に選ばれたことで「過去90年間と、これからの研究施設としての活躍を知ってもらえれば」と話してくれた。
注水した状態のドック(実証実験時の様子)
取材を終えて
遺産認定を契機に、その価値が改めて認められた京浜港ドック。今回は幸運にもドックの中にまで降りて、そのスケールを感じることができた。
残念ながら、稼働中の実験施設であるために一般見学は受け付けていない。だが、いわば横浜の発展を支えてきた縁の下の力持ち。これからも第一線で活躍してもらいたい。
ー終わりー
ちーぼー11さん
2017年12月08日 15時28分
20年くらい前に鉄筋工をしてた時に、ここでケーソン作ってました。懐かしいです。