グルメだけじゃない!横浜中華街で中国武術事情を探る・その1
ココがキニナル!
中国柔拳の雄・太極拳師範(タイチー・マスター)でもあるライター結城が、横浜中華街に突撃!中国武術用品取扱店へと足を運ぶ。武術達人に会えるかも?(ライター・結城靖博のキニナル)
はまれぽ調査結果!
美食と観光の街・横浜中華街の武術用品取扱店を経巡ると、武術系「気」が確かにあった。次回は更にその深奥を目指す
ライター:結城靖博
武術書と一緒にミッフィーちゃんも・・・「中国貿易公司中華街一号店」
さらに中華街大通りを奥へ進むと、左手に中華街らしい店構えのお店を発見。
いかにもな店構えの中国貿易公司(ちゅうごくぼうえきこうし)中華街一号店
場所はこちら。老維新からさほど遠くない
この店の前にもやっぱり子ども用のブルース・リー・トラックスーツが吊るされていた。またカンフーシューズも店先に並べられ、入口横には「太極拳」とプリントされたTシャツも。
カラフルなチャイナシューズの隣りにカンフーシューズ
入口の横に吊るされた「太極拳」Tシャツ
この様子から察するに、ここではかなりの中国武術用品を扱っているのではないかと期待しつつ、店内へ入る。すると・・・
店舗1階はこんな感じ
ありとあらゆる中国雑貨に満たされていた。ちょっと高級そうな装飾品もあれば中国服もお手軽な小物雑貨もあり、店内の所々に、武術関係の用品も点在していた。
太極拳ウェアと一緒になぜか帽子やバッグが
さまざまな装飾品のそばに本格的なヌンチャクや剣が
この店内でひときわ特徴的な一角は、入って左奥にある書棚だろう。この光景は、ちょっとほかの雑貨店ではお目にかかれない。
さまざまなジャンルの中国語の書籍がずらっと並ぶ
棚をよく見れば武術関係のコーナーもある。これは、武術研究者にとってはさぞや魅力的な景色に違いない。
しかし・・・武術関係の書籍の下にはミッフィーちゃんの絵本も
軽やかなものと重厚なもの、それが混然と陳列されたこのお店に不思議な魅力を感じつつ、人生経験豊かそうな女性店長、張三妹(ちょう・さんまい)さんにお話を伺うことになった。
2階に上がると、そこは美術館(のよう)だった
落ち着いて取材に応じるべく、店舗2階へ招かれる。そして2階スペースに足を踏み入れた瞬間、老維新の時と同じように階下とはまったく違う世界が視野に飛び込んできた。1階と2階で雰囲気をがらっと変えるというのは、中華街では一種のお約束事なのだろうか?
そこはもはや美術館・・・
そこに陳列されている品々は本格的な美術工芸品ばかりだった。
なかでも目を引くのは、いわゆる文房四宝と呼ばれる書道用品の充実ぶりだ。ショーウィンドウに鎮座した硯(すずり)の一つに目を近づけると、81の次に0が4つ並ぶ値札が付いていた。
えっ?硯が81万円!?
張店長によれば、これはまだ安い方で、100万を超える硯がちょうどいま品切れなのだそう。その後しばし貴重な高級硯のお話を拝聴する。タイチー・マスター兼アートマニアでもある結城にはそそられる話題だったが、取材の矛先をただすことにした。
81万円の硯
中国貿易公司の武術用品事情は?
このお店の武術用品に対するスタンスをあらためて店長に伺う。だがそれを理解するには、この店の成り立ちを知る必要があった。
創業者は、現在もご存命の店長の旦那さま。50年ほど前に創業してまもなく迎えた日中国交回復を機に、母国のさまざまな文化を日本に紹介することを使命のように感じてお店を展開してきたようだ。美術工芸品や書籍にこだわる理由もそこにある。
武術用品を扱うのもその一環だ。中国文化を紹介するからには当然武術関係も含まれる。とはいえそれをとりわけ突出して扱う必要もない。
ちなみに美術工芸品や書籍のほかにこの店で特徴的なのが切手。これも創業当初から扱っていて、そういう店はほかにはないそうだ。
ところで、武術用品の売れ筋は太極拳ウェアかと思いきや、むしろカンフーシューズだという。どうりで店先に置かれているわけだ。店長いわく「消耗品だからでしょうネ」とのこと。
最後に武術そのものの情報を尋ねてみた。すると「武術というよりは太極拳」との答え。そしてやっている場所として、やはり媽祖廟と廣東會館の名が挙がった。
とはいえ、実は店長のご主人もカンフーをやっていたという。でも、カンフーをやる人たちは、一人だけで公園で稽古をしていたそうだ。
かっこいい・・・早朝の中華街の公園の一隅で、群れずに鍛錬する孤高のカンフーの使い手の姿が、ふと脳裏に浮かんだ。
孤高の武術家を思い山下町公園・會芳亭(かいほうてい)で一人鍛錬。ちょっと周囲の視線が痛い
取材を終えて
美食を求めて各地から人々が集まる中華街。でも、ちょっと視点を変えれば、中華街のさらなる多様さを垣間見ることができる。
タイチー・マスター結城は、中国武術グッズを扱う店々から、武術系中華街の「気」を察した。とはいえ、今回は中華街大通りを歩いただけだ。ディープ中華街の裾野は広い。まだまだほかに武術臭のする店があるはずだ。
というわけで、横浜中華街中国武術事情を解明すべく、武術用品取扱店を経巡る取材を続行したいと思う。乞うご期待!
―終わり―
取材協力
老維新
住所/横浜市中区山下町145
電話/045-681-6811
営業時間/午前10時30分~午後8時45分(土・祝日前は午後9時45分まで)
定休日/無休
公式サイト/http://www.rouishin.com
中国貿易公司中華街一号店
住所/横浜市中区山下町149
電話/045-641-5915
営業時間/午前10時30分~午後9時30分
定休日/第2火曜日
公式サイト/http://www.ctrading.co.jp/ichigouten.htm
ホトリコさん
2019年01月18日 12時26分
さすがに木人(中華な木製サンドバッグ)はありませんか?
こうたろべぇさん
2019年01月18日 00時57分
むかーし、サンデーで掲載していた、拳児を読んで、中華街にほんとにあの物語が存在しているんじゃないかと思っていました。実は、公にはなってないけど、今も物語がつながっているとかしたら凄いですよね!