単独全国初制覇! 横浜市青葉区の桐蔭学園ラグビーの強さの秘訣とは?
ココがキニナル!
昨年のラグビーワールドカップ開催でラグビー人気が盛り上がる中、1月7日に横浜の桐蔭学園が全国高校ラグビー大会で初の単独優勝を飾った。その強さの秘訣はなに?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
スローガン「一心」のもと、あらゆる状況を想定して準備し、基本プレーをより厳しいレベルで徹底したことが、桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密だった。
ライター:星野 憲由
連覇を目指す今年のチーム作りに新しく取り組みたいこと
――実際、今は新チーム作りの時期ですが、どういったことを行っているのでしょうか?
組織作りを見直していきます。各選手の役割を見直し、より明確にチームとしての役割を考えていきます。この時期は、新たにリーダーシップを取り始める選手も出てきます。ですが冬から春のトレーニングを越えて、夏になると体格が変わって、選手としても変わってきます。そこから本当のチーム作りが始まります。リーダーシップを取る選手は1人ではありません。リーダーが増えれば増えるほどチームは強くなります。もちろんリーダーがケガなどでフィールドに立てなくても、別のリーダーがいればチームはまとまります。リーダーが多くて、リーダー同士がぶつかることもあるでしょう。でもチームは仲良しクラブではないので、ぶつかり合うくらいでないとチームは成長しません。
――その中で、レギュラーになっていく選手とは、どんな選手なんでしょうか?
最終的にレギュラーを勝ち取る選手は、選手同士の信頼感が厚い選手です。うまい選手はいくらでもいます。それ以上に超越したもの、チームのために身体を張れる選手、献身的に働ける選手が自然とレギュラーになるのです。
――今回のチームでは、伊藤大祐(いとう・だいすけ)主将がメディアの注目を浴びています。伊藤主将はどんな選手でしょうか?
伊藤主将は、素晴らしい選手です。記憶に残る選手だと思いますし、日本代表を目指すべき選手だと思います。彼は1年生から素質がありました。そうでなければ1年生のときから試合には出られませんよ。
優勝の賞状を受け取る伊藤主将
――最後に新たに取り組んでいきたいと思うことはありますか?
例えば、応援してくださる皆さんに、どう感謝していくかなど。もう少し地域との連携も取り組んでいきたいと思っています。特に花園で優勝して、改めて地域の皆さんや企業の方のご支援あってこそだな実感しました。その恩返しはぜひともさせていただきたいと思っています。実際、昨年あたりから、小学生とのふれあいなどを実施しています。そういったことを通じてみなさんの思い出になったり、同時にラグビーファンやラグビー人口を広げていければと思います。プロ野球の横浜DeNAベイスターズのように地域密着の取り組みからファン層を拡大し、そのファンの応援がチームを強くした例もあります。そういった形も大切なんだと思います。
優勝カップを抱く藤原監督
優勝の原動力となった主力選手にアンケート
続いて、実際に試合を戦った選手たちに直接話を伺いたかったが、実現叶わなかった。しかし、アンケートいう形で主力選手に協力いただき、桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密や今大会を振り返ってもらった。その内容を独占公開しよう。
協力してくれた選手は、3年生(2020年3月卒業)の伊藤主将、同じく3年生の床田淳貴(とこだ・じゅんき)副主将、そして2年生(2020年4月から3年生)で、この春からの新チームを率いる佐藤健次(さとう・けんじ)新主将の3人だ。特に伊藤主将は、年代別日本代表の招集もあって忙しい中、協力してくれたもので、3選手に感謝したい。
1列目中央が伊藤主将、右隣が床田副主将、後列でカップを持つのが佐藤新主将
まずは、伊藤主将(ポジション/SOスタンドオフ:司令塔)の回答から。
――今大会を振り返って
今大会の決勝の御所実戦は、ある意味、プラン通りにできた想定内と言える試合でした。もっとも予想以上にミスが出てしまいましたが、後半、きちんと修正できた点が良かったですね。準決勝の東福岡戦は、相手のAT(アタック:攻撃)をDF(ディフェンス:守備)がしっかり止められたので、楽な試合展開になったと思います。
――桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密とは?
とにかく基礎を大切にしているので、ゲームでしんどくなった時に、その基礎技術が自然と出せます。それが強みだと思います。またミーティングなどでも決める事をしっかり決めて、不安や迷いをなくしてから試合にのぞむ点も強さのポイントだと思います。
そういったチームであるため、選手個々に自主性があると思います。自分のことは自分でやる。基礎や大切なことは、自分で率先してやり、それを貫けるチームだと思います。
――将来の目標は?
ラグビーワールドカップに出場して勝利をつかむことです。
続いて、床田副主将(ポジション/PR プロップ:スクラムを支える最前列ポシジョン)の回答。
――今大会を振り返って
印象的な試合は、大阪桐蔭戦です。それと決勝の御所実戦の前日に、コーチから相手チームの戦術などをプレゼンテーションしてもらったことが、しっかりハマったことも記憶に残っています。
――桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密とは?
練習でも試合中でも、自分たちで考えることができる点が強みだと思います。その上で、ミーティングで深くまで分析することが、確かな力になっていると思います。
――将来の目標は?
プロのラグビー選手として活躍することです。
そして、最後に佐藤新主将(ポジション/No.8 ナンバーエイト:攻守の中心、FL フランカー:走力で機動力、突破力を求められる)の回答をご紹介。
――今大会を振り返って
印象的な試合は、大阪桐蔭戦です。それと大会中の朝6時から大阪城ランをしたことも記憶に残っていますね。
――桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密とは?
試合前の準備を全員が全力でやり抜く点だと思います。その準備が試合のあらゆる状況に対応できて、結果、大会期間中に成長していくチームです。
――将来の目標は?
ラグビー日本代表に選出されることです。
高校スポーツの覇者というと、高度な技術の練習をしているのかと思いきや、徹底した基礎を浸透させることが、その強さの根底にあることがわかった。桐蔭学園ラグビー部のスローガン「一心(いっしん)」。それは基礎を突き詰めたことで生まれる練習や試合のワンプレー、ワンプレーに心を込め、チーム全員の心を一つにするという考えに通じるものだとも感じられた。
取材を終えて
基礎の徹底があるからこそ、試合のさまざまな瞬間に安定した力を常に発揮できるのだろう。それに加えリスクマネージメントをすることで、慌てず、的確な対応に磨きがかかる。
これは単にラグビーに限らず、試験勉強や社会で活躍する上でも共通する武器になるはず。今更ながら、桐蔭学園ラグビー部のスピリッツに、社会で勝ち抜くヒントを見た気がした。
-終わり-
ポカパマズさん
2020年04月08日 14時07分
素晴らしい。でも高校野球での活躍を聞かなくなって久しい。