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横浜ベイサイドマリーナ近く、不規則にならぶ謎の白い建物の正体は?

ココがキニナル!

横浜市金沢区鳥浜町の港近くに芝生に不規則に並んでいる白い建物があります。どうやらホテルらしいですが、部屋の中とか気になります。(jogmanさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

海運コンテナの規格を利用した独創的かつ合理的なホテルは全室マリーナビューで、静かな時間を過ごすにはうってつけ。しかも今後さらなる展開あり

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ライター:永田 ミナミ

これまでの経緯、そしてこれからの驚きの展開



鍵を返して、ベイサイドマリーナホテル横浜の今日までの歩みについて伺った。

開業は2009(平成21)年12月。取材した2014(平成26)年12月はちょうど5周年ということになる。

横浜市港湾局の管轄だった場所に、横浜ベイサイドマリーナと三井アウトレットパークベイサイド店が開業したのが1998(平成10)年9月。その後も現在ホテルがある場所はまだ更地の状態だった。

その土地をベイサイドマリーナホテル横浜がリゾート開発することになったという。開業して5年、現在は週末は早々に満室になるというベイサイドマリーナホテル横浜。都会からすぐにやってこられる別荘として利用している人など、家族やカップルを中心に年間の宿泊者数は5200人ほど。平日はビジネスユースも多い。また、地理的条件と周囲の環境から、撮影や自動車メーカーの試乗会、タモリカップなどで数日から1週間ほど貸切になることも多く、全体としての利用者は1万人ほどだそうだ。
  


エントランス棟の南側にはレストランVoile Blanche(ボアル・ブランシュ)
 

入ってすぐ右手には建物のイメージと統一感のあるバーカウンターも
 

レストランは地図でいうとこの赤い部分である


ちなみに2014(平成26)年9月のタモリカップでタモさんがカレーやバーベキューソースを仕込んだのはこのレストランの厨房だったとのこと。タモさんは朝早くからビールを飲みつつ、楽しく仕込んでいたそうだ。

さて、ホテルの設計は建築家の吉村靖孝(よしむら・やすたか)氏によるもの。海運コンテナと同じ規格の客室の、内装と外装をタイで仕上げ、そのユニットを運び、日本に着いてからそれを縦に重ねて組み合わせる、という方法を採用してつくられている。
 


なるほど、だからこういう外観であり
 

そして、こういう部屋になっているんですね


日本は建築資材を輸入に頼らざるを得ず、輸入した建材を日本で加工し、組み立てる工賃が加算される。この仕組みによって生じる建築コストの問題を解決する方法として考えられた方法であるという。

コンテナと同じ規格ということは、部屋をそのまま船に載せて運べることになり、建材の輸送コストはほぼかかっておらず、圧倒的な低価格化と短工期化を実現したというからナイスアイデアだ。

客室棟の形状についての謎が解け、建築資材における発想の転換に感心しながら、広島さんがさらりと「現在のホテルは開発の第1期で、『カジュアル棟』というコンセプトでつくられたんですよ」と言った言葉を「あ、そうなんですね」と書き留めて、自分で書いた「第1期」という文字を見てハッとした。

そして「第1期、これはまだ第1期なんですか?」という質問への広島さんの答えは、驚きの連続であった。

現在のベイサイドマリーナホテル横浜の南東にある土地に、第2期となる計画が、早ければ2015(平成27)年初頭にも公表される予定だというのだ。
  


地図の赤い点線で囲ったこの広大な土地が予定地


現在、市などと最終調整中の段階のため、どのような建物になるかについてはまだ公表できないが、「人が集い、憩う空間を提供、発信できる施設」を予定しているという。
  


エントランス正面のこのフェンスの向こうにどのような建物ができるのだろう


すべての計画が終了すると、この白帆のベイサイドマリーナ地区には、横浜ベイサイドマリーナ、三井アウトレットパーク横浜ベイサイド店とあわせて、巨大なリゾートエリアが形成されることになる。

いま見てきた客室も含めてまだまだ現在進行形であるベイサイドマリーナホテル横浜。「計画が発表されたらまた取材させてください」とお願いして興奮した気分のままホテルをあとにした。
  


設計について、吉村氏に聞いてみる

さて、興味深い話を伺い、相変わらず興奮したまま乗り込んだ横浜シーサイドラインのなかで、改めて設計やデザインについて考えているうちに、もう少し詳しく知りたくなり、設計者の吉村靖孝氏にもベイサイドマリーナホテル横浜について問い合わせてみることにした。

後日、吉村靖孝建築設計事務所から、多忙ななか質問に答えてくださった吉村靖孝氏の回答が届いた。

まず、コンテナを利用した客室を採用した理由については、建設当時、周辺に類似施設がなかったため、事業性の面で将来的に方向転換もありうると考え、移設可能にしておけばどのような判断が下されても対応できると考えたからだという。
 


なるほど、あらゆる可能性を想定して考え出されたデザインだったのだ


また、建設にあたり「建物の内外装の大部分を国外で生産し船で運ぶ」というミッションがあり、コンテナ規格を採用すれば輸送コストを最小限に抑えることができるというのも採用の大きな理由だったそうだ。

次に、設計にあたりイメージしたことについての質問には「コンテナ規格の採用を決めた時点で建物の形は決まってしまうので、その配置に工夫をしました。波間に浮かぶ船のようにバラバラに配置し、海浜公園への視線の集中も回避しました。陸側に一段高い通路を設け、道路から見えすぎず、しかし海の気配が感じられるようにしました」とのこと。
 


なるほど、波間を浮かぶ船と思って見てみるとリアリティのある配置だ
 

そしてこの通路は道路側からの半遮蔽物の役割を果たしていたのだ


波間を浮かぶ船をイメージした配置に同時に、視線の集中も回避する意匠性と合理性とを併せ持つ見事な設計である。また、植え込みと一段高い通路によって直接は見えない海が、すぐそこにあることを感じながらホテルへと歩いてきたことも確かである。
 


この陸上の建物群は、言ってみれば海と溶け合うように存在しているのだ


最後に、建設時の何か印象に残っている思い出についても伺ってみたところ、ホテルの完成後に「周辺の方から、あの現場はいつ建物が完成するんだと聞かれたことがあります。バラバラの配置が未完成に見えるためでもあり、また、あまりにも工期が短かったための質問でもあったと思います」とのことで、設計の独創性がもたらした面白いエピソードも伺うことができた。



取材を終えて

海辺に不規則にならぶ直方体の白い建物群は、マリーナと一体となって海と陸との中間に碇泊する少し不思議な空間であり、同時に、今後めくるめくダイナミズムとともに現在進行形で変わりゆく空間でもある。

都会の喧騒を離れゆったりとした時間を過ごすのもいいし、マリーナを散歩しながら変化していく様子を眺めるのもいい。ともかく、この空間でこれから起こることからは目が離せないなと思った、師走の午後であった。
 


帰るころには空を厚い雲が覆いはじめていたが
 

振り返ると太陽は青空と曇り空との中間で輝いていた



―終わり―
 

ベイサイドマリーナホテル横浜
住所/横浜市金沢区白帆6-1
電話/045-770-1301
http://www.baysidemarinahotel.jp
 
 

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  • 1階の床がシミになってるような

  • 昔、国鉄が中古のコンテナや貨車をプレハブルームに改造して売るなんてことがあったが、海洋コンテナみたいな頑丈なフレームがあれば、少なくとも個人住宅3階建て程度ならどんな地震が来ても潰れないからいいよな・・・と妄想していたところだ。これは中古の改造ではないんですね。

  • なんか、推理小説のトリックに使えそうな建物群ですね。

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