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かつて田んぼだらけだったころの新横浜について教えて!

ココがキニナル!

新幹線が通る前の現在の新横浜駅周辺は人口の少ない湿地帯だったと話には聞きますが、実際にはどうだったのでしょうか?(機野さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

新幹線開通前、新横浜駅周辺は湿地帯で人口も少なかった。駅開発に関しては、湿地帯だったがために起きた政財官を巻き込む汚職事件もあった。

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ライター:三輪 大輔

新横浜に残る湿地帯だった名残とは?(つづき)



実は今回、さらに詳細な情報を入手するため各所に取材を申し込んだが、その先々で言われたことがある。「『新横浜50年の軌跡』に、全て書かれています」と。新横浜駅の開業50周年を記念して作成された『新横浜50年の軌跡』。新横浜町内会が発行した、まさに「新横浜の新横浜による新横浜のための書籍」である。

 

新横浜周辺の情報を網羅した『新横浜50年の軌跡』
 

そこで、とりあえず件の書籍を手にとってみたが、読んでみると新横浜には今も湿地帯だった名残りがいくつかあるようだ。そこで、その場所も併せて回ってみることにした。

まずは「蛇袋(じゃぶくろ)」である。新横浜は以前、湿地帯や沼地だったために付けられた字名(あざな)が多くあったそうだ。勝負田の字名は現在も残っており、実際に使用されているが、それ以外にも例えば、現在の新横浜駅前郵便局の辺りには、「蛇袋(じゃぶくろ)」と呼ばれた地域があった。

その名前の由来には『新編武蔵風土記稿』に出てくる、この地域の言い伝えが関係している。昔、篠原村には人々を困らせる大蛇がいたそうだ。その蛇を退治して岸根村に持っていき、埋没した場所に現在の蛇骨神社を建てたという。

 

蛇袋(じゃぶくろ)と呼ばれた新横浜駅前郵便局付近(港北区新横浜2-5-14)
 

以前はまれぽでも取材した蛇骨神社
 

しかし、悪さをする蛇は川や水路の例えとして使われることがある。そのため、ここに氾濫を繰り返す川があり、なおかつ湿原だったため「蛇袋(じゃぶくろ)」と名付けられた可能性があるとのことだ。また、ジャブクロの「クロ」は畦(あぜ)のことを指す場合もあり、畦を組めないほどの湿地帯という意味から名付けられたことも考えられるという。

なお周辺には「矢袋(やぶくろ)」と呼ばれる地域も点在している。この名前の由来に関しても、地元で伝わる言い伝えがあるそうだ。その昔、辺りは沼地であったため、合戦の時には兵士が足を取られる場所であった。そこで戦いの際に矢を使うようにしたが、水流のため合戦後、矢が集まった場所があったという。こうしたことから、いつしか「矢袋(やぶくろ)」と呼ぶようになったのだそうだ。

 

港北区新横浜2丁目のこの辺りも、以前は矢袋(やぶくろ)と呼ばれていたらしい
 

また現在「新横浜アイススケートセンター」がある場所は、むかし地元の人たちから「流れ」と呼ばれていた湿地帯だ。そこでは養蛙(ようあ)が行われ、六角橋の動物商が始めた養蛙場があった。育てた食用蛙は中華街などに出荷され、養蛙場の経営は順調であったらしい。しかし、1938(昭和13)年の鶴見川の氾濫で、飼育していた蛙が流されてしまったそうだ。

 

以前は養蛙場のあったという新横浜アイススケートセンターのエリア
 

最後に新横浜が湿地帯であった名残りは、駅そのものにも存在している。新横浜駅は、すでに運行していたJR横浜線と交わった先に建設を予定していたが、その当時の横浜線は湿地帯を通るため、路線の地盤が高くされていた。しかし、新幹線は高架上を走るので、交差する横浜線は必然的にその下を通らなければいけなくなる。

そのため、横浜線を新幹線の下に通すための掘り下げ工事が行われた。この時、菊名方面は丘陵地帯になっていたため、600メートル近くも掘り下げたらしい。

 

側面から、かなり深く掘られたことが分かる横浜線の線路
 

新幹線ホームより下を走る横浜線
 



取材を終えて



福岡県出身で東京都在住の私は、飛行機が苦手なため新幹線で地元に帰省することも多くある。博多駅へ向かう際は、新横浜を境に名古屋辺りまで山などの景色が多くなり、里帰りしている感傷に浸ることができる。逆に東京に向かう際は、新横浜から都会的な景色が増え、東京に戻ってきたんだなという実感が湧く。

しかし今回の取材を経験したことで、次回の帰省時は、新横浜の景色がいつもと違って見えそうだ。


―終わり―


参考文献
『新横浜50年の軌跡』(新横浜町内会)
『夢の超特急』(光文社)
『堤義明・闇の帝国』(光文社)
『とうよこ沿線』
http://touyoko-ensen.com/mini%E2%80%90info/cook/ht-txt/131story-15.html
第041回国会 決算委員会 第5号
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/041/0106/04110290106005a.html
 
 

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  • 現在の新横浜駅にはキュービックプラザができて賑わっていますが、私が頻繁に訪れていた1983年頃までの新横浜駅構内には、改札の左側に新幹線乗客の待合室があるのと、普通のキオスクがあるだけで、土産を買うような店もなかったと記憶しています。駅周辺の昔の情報は聞くことがあるのですが、駅構内の様子を聞くことが少なく、覚えている方いらっしゃるでしょうか。

  • 新横浜駅界隈、平成に大きく変わりました。昭和末期の頃の建物状況が最終形態と勝手に思っていたのですが、商業施設が大変に発展しました。

  • 新横浜駅界隈、平成に大きく変わりました。昭和末期の頃の建物状況が最終形態と勝手に思っていたのですが、商業施設が大変に発展しました。

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