横浜の古き良きバーを調査して欲しい!
ココがキニナル!
横浜には古き良きバーがたくさあると聞きます。スターダストとか。でも自分には未知数の場所。調査願います。(ドラくんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
スターダストをはじめ、横浜の古き良きバーはノーチャージ。イメージするほど敷居は高くない。
ライター:吉川 ゆこ
バー発祥の地・横浜
店内の様子もわからないまま、重厚な扉を開けてバーに入る。通いなれていない人にとっては勇気のいることだ。カクテル1杯いくらなのか、マスターは怖くないか、常連さんばかりで居心地が悪いんじゃないか・・・不安要素はいっぱいある。
しかし調査を進めてみると、横浜のバーは、そんなバー初心者が抱く不安要素の少ないバーが多いということがわかった。
今から150年以上も前の1860年。中区山下町70番地に日本で初めてのホテル「ヨコハマ・ホテル」が開業する。オランダ船の船長であったC.J.フフナーゲルが経営者で、ホテルの中には客室のほかに、レストラン、理容室、そしてビリヤードができるバーがあった。そのバーこそが日本初の洋式バーであると考えられている。つまり横浜はバー発祥の地といえるのだ。
横浜ホテルがあったとされる場所を訪ねると、ティーラウンジ「横浜かをり」があった。
モダンな佇まいの「横浜かをり」
店の横にはホテル発祥の地を記す記念碑が建っている。
シーボルトやワーグマンなども宿泊した
港町横浜には、外国人相手のホテルや店が次々にオープンしていく。そのなかで横浜ならではのカクテルも誕生した。日本初のカクテル「バンブー」。竹という名のとおり、日本をイメージして作られたという。ジンベースの「ミリオンダラー」も横浜生まれのカクテルだ。
大正時代に入った1920(大正9)年、横浜で現存する最古のバー「パリ」がオープンする。創業者は日本バーテンダー協会横浜支部長であった田尾多三郎氏で、田尾氏も「チェリーブロッサム」というカクテルを生み出している。
撮影にも多く使われた「スターダスト」
ホテルの中にあるホテルバーだけでなく、米軍関係者や船員たちを相手にするバーが街のあちらこちらに誕生した。
街角のバーの流儀はキャッシュオンデリバリー。外国人のお客が多かったため、海外のバーのスタイルをそのまま取り入れたのだ。1杯いくらの現金払い。チャージはつかない。
キニナルを投稿いただいた‘ドラくん’さんが挙げていた「スターダスト」もキャッシュオンデリバリーを守る、横浜の正統派バーである。
まるで映画のセットのように絵になる「スターダスト」
「スターダスト」は1954(昭和29)年に誕生した。東神奈川駅からひたすら真っ直ぐ、海の方に向かって歩くと「スターダスト」のネオンが見えた。瑞穂橋を渡れば、在日米軍の港湾施設。目の前には海が広がっている。
マスターの林さんに聞くと、以前は近隣に7件ほどバーがあったという。しかし賑やかだったころの面影はもうない。朝鮮戦争が終わった頃から、徐々に横浜に着く船が減っていった。当然船員も減る。
林さんはお父様から店を受け継いだ
そのなかでなぜ「スターダスト」だけが残ったのだろう。
「親子代々に渡って来てくれるお客さんもいるし、うちはドラマの撮影でも使われたから、ドラマのファンの方が遠くから来てくれるんだよね。結局お客さんがいてくれたから残ったんだと思うけど」と林さん。
カウンターとテーブル席。店内はゆったりだ
「スターダスト」の名が有名になったのは柴田恭兵、舘ひろしらが出演した『あぶない刑事』の撮影に使われたからというのも大きいだろう。ほかにも『西部警察』などの撮影に使われた。ここではお見せできないが、撮影当時の写真が店内には飾られている。
ほかにもサザンオールスターズの写真や、イラストレーターのわたせせいぞうが同店を描いたイラストが大切に飾られている。「スターダスト」を訪れた有名人は数知れず。そんな話を聞きながら一杯飲んでいるだけで十分楽しい。
うっふんなお姉さんたちが描かれた壁絵が素敵
とにかく雰囲気のある店だが、林さんをはじめスタッフの方々はとても気さくだ。常連率は半分程度という。「バーなんだし、気楽に来ればいいんだよ」と林さんがおっしゃる通り、本当に気楽に訪れることができる店だ。看板猫のにゃんにゃんも待っている。
ジュークボックスは現役
Yokohama(900円)