横浜税関の麻薬探知犬、その活動内容とは?
ココがキニナル!
横浜税関には麻薬探知犬がいるそうですが、どんな活動をしていますか?
はまれぽ調査結果!
麻薬探知犬は海外から送られてきた荷物や郵便物、船自体に麻薬が隠されていないかチェックし、検査以外の時は、ハンドラーと訓練を行っています!
ライター:吉澤 由美子
厳しさと遊びのメリハリ
(続き)
犬にとって検査は楽しい遊び。
普段は厳しく接し、訓練や検査の時には自由にというメリハリが、検査(遊び)に期待を集中させる。
こういったノウハウは、30年以上前にアメリカの税関で学んできたのが最初。
そこから日本の麻薬探知犬の歴史がはじまった。
そのため、「Find it!」「Good boy!」「Stay(待て)」「Down(伏せ)」「Sit(お座り)」「No(ダメ)」といった指示語は英語。
ハンドラーが持つダミーはなによりのご褒美。ダミーもアメリカ式
出動する犬は、車の後部にあるケージに入って移動。
保税蔵置場の貨物や外国貿易船の船内などを検査する。
ラブラドール・レトリバーもいる
麻薬が入っている物や場所を発見すると、すぐに通報するのが基本だ。
麻薬探知犬はアタック(攻撃)の訓練は受けていない。そして、「お手」も教えられていない。
麻薬探知に「お手」は必要ないけれど、意外で面白い。
麻薬探知犬が任務を行うのは、だいたい7年間。リタイア後は関係者に引き取られ、普通の飼い犬として過ごす。
その時はじめて「お手」を覚える犬も多い。
先輩に誘われてハンドラーになった菊地さんは、パートナーだった犬がリタイアした時、自宅に引き取り、それからは家族として過ごした。税関でほかの仕事についた時期もあったが、リタイアした犬が自宅にいたため、その間も寂しくなかったそう。
菊地さんは現在、インストラクターとしてハンドラーを指導する立場だ。
信頼の現れたまっすぐな瞳
犬は驚くような場所から対象を見つけ出す。
ハンドラー時代、検査時には犬を自由にさせ、自分は注意深く見守ることを菊池さんは心掛けていたそう。
市耒さんは、「ブルーンはヤキモチ焼きなので、ほかの犬を見ているとうるさいです」と笑う。
確かな絆が育っているのがわかる。
待ち遠しいご飯タイムももうすぐ
ハンドラーになりたい方にアドバイスをうかがうと、市耒さんは「とにかく体力が必要です」と答えてくれた。
仙台空港で被災した麻薬探知犬
実は、横浜税関の管轄は神奈川だけでなく、宮城、福島、栃木、茨城、千葉も含まれる。
東日本大震災で地震に加え津波にも襲われた仙台空港も横浜税関の管轄だ。
地震発生時、仙台空港では、カカ号、ボビー号、ピース号という3頭の麻薬探知犬が検査を行っていた。
津波の報に、犬たちも空港ビルの上階に避難する。
別の場所の犬舎にはかなりの高さまで水が来たので、空港にいたのは幸いだった。
検査から帰ってきたカカ号。ハンドラーは女性
しかし、津波に運ばれてきた重油や倒壊家屋の匂いや物音、人間たちのただならぬ様子、割れた窓から入ってくる寒風の中、犬たちはわけもわからないままつらい時間を過ごした。
お座りをしてくれたボビー号
2日後にようやく仙台空港から仙台市内の宿舎に脱出。ドッグフードも用意できたが、犬たちのストレスは深かった。
ピース号は横浜税関『麻薬探知犬管理センター』出身
このままでは犬がもたない。横浜税関でも被災した犬たちを助ける方法を必死に模索していた。
そのかいあって、仙台の犬たちがようやく大黒ふ頭へと到着したのは震災からしばらく経った日の夜。
当初は落ち着かない様子の犬もいたが、今では3頭共、横浜で元気に任務を果たし、仙台空港の本格的な運用が再開して東北に戻る日を待っている。
取材を終えて
麻薬探知犬の活躍は、人の濃い愛情による節度を持った接し方から生まれたもの。
遊び好きな性格が伝わってくるリラックスした表情
社会性が高く、3万年も前から人類の祖先と共に暮らしてきた犬。協力して狩りを行う長い歴史の中で、忠実で愛情深い性質を持つ犬は、人類にとって大切なパートナーになっていった。
犬と人間が互いの気持ちを汲み取りながら、犬の卓越した能力を使って共同で仕事をする。
パートナーシップの究極のかたちのひとつが、麻薬探知犬とハンドラーだ。
熱狂的な猫好きの私は、普段「猫のワガママなところが一番かわいい」と信じて疑わないが、麻薬探知犬とハンドラーの絆を目の当たりにし、たくさんの税関職員の愛情に支えられて横浜にやってきた仙台の犬たちの姿を見て、犬の魅力が素直に心の奥に染み透ってきた。
なにより、強い絆のもとに、世の中に役立つ仕事をする犬と人の姿は、とても美しかった。
―終わり―
横浜税関 公式サイト
麻薬探知犬 紹介ページ
http://www.customs.go.jp/yokohama/gallery/clip_snap_004.html
上のページで紹介されている9頭に、9月からラブラドール・レトリバーのアスベル号が加わっている。
夏兒さん
2014年08月04日 11時52分
船便や航空便をよく使ってます。私の荷物もくんくんしてるんだろな~。本ばっかの荷物ですが。