横浜市と川崎市の境界、線路が街中を無尽に走る街。はま旅Vol.78 「矢向編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第78回は矢向駅。川崎市と横浜市の境界にある駅の周辺には昔ながらの住宅街と工場地帯が広がっていた。
ライター:吉川 ゆこ
線路が街中を無尽に走る
散策を続けようと歩き始めた。すると至る所で踏み切りに出くわす。
南武線と並行するように横須賀線が走っているのは地図を見て知っていた。しかし、それだけじゃない。
貨物車だ!
住宅のすぐ脇を貨物車がびゅんびゅん走り抜けていく。どうやらお隣の尻手駅から支線が延びていて、貨物線として使われているようだ。
かなりの至近距離で建物と建物の間から、貨物車がひょっこり顔を出す光景は、見慣れていないと一瞬驚くだろう。
鉄道好きな方には楽しい町かもしれない。現に私は電車を見ながら散策できて楽しい。しかしほとんど人に出くわさない。駅の周辺は少し賑わっていたけれど、一歩住宅街に入ると静かだ。私は「はま旅」の際に好んでランドマークのない、比較的小さな駅周辺を歩くことにしているが、それでもあまり人とすれ違うことのない今回は少々寂しい。時折聞えてくるカンカンカンという踏切の閉まる音と、電車の走行音。それを道連れに歩いた。
支線はやがて横須賀線に合流
しばらく歩くと横須賀線にぶつかったので、歩道橋を使って線路を乗り越えたらその先に!
稲!
横須賀線の脇に建つ新鶴見小学校の体験学習園だそうだ。野菜や花と一緒に米が育てられている。そして黄金色に輝く稲の向こうには電車。
本当に電車をよく見る旅である
小さな雀たちが網で覆われた稲の上でちゅんちゅん飛び跳ねている。横浜市で稲を見るとは思わなかった。新鶴見小学校の生徒さんたちがもうすぐ収穫するのかな?おいしく育っているといいな。
東電、そして工場地帯
突如、度肝を抜かれるくらい大きな建物が見えてきた。比較的高い建物がない地域にあって、極めて目立つ。東京電力の建物だ。
威圧感があるくらい高い
東京電力の研究所が入っている建物のようだ。その敷地内には電気の資料館があるが昨年の大震災以降、休館している。
電気の資料館横の公園から眺めても静まり返っている
自粛なのだろうけれど、これだけ立派な施設が役に立っていないというのもどうかと思う。なんだか複雑な気持ちで通り過ぎると、その先に無数の町工場が見えてきた。
江ヶ崎の一角を中心に工場地帯が広がっている
こうした小さな町工場が世界レベルの技術を持っていて、私たちの知らないところで活躍しているというニュースをよく耳にする。
町工場が立ち並ぶ風景は、鶴見区らしい風景といえるのではないか。もちろん観光に行くスポットではないけれど、こうした風景に出会うとその地域の特徴が見えてきておもしろい。その地域でどんな生産活動が行われているのかを知ることで地域への愛着も湧いてくるから、地場産業は本当に興味深い。
工場地帯を抜ければ鶴見川