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江戸の人気スポットだった「松寿弁財天」、その秘密は?

ココがキニナル!

江戸の大人気スポットだったらしい「松寿弁財天」が気になります/新年2013年は巳年。干支のヘビ関連の神様をお祭りしている神社レポートをお願いします(tamaさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

多摩川の大洪水から村人を助けた、松にかかった白い布。それが白いヘビになったという言い伝えが後に数々の伝説を生み、人気の観光地となった

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ライター:河野 哲弥

人気の裏には、とあるガイドブックの存在が



向かったのは、JR南武線の登戸駅。だいたいの場所は伺っていたが、個人宅なので迷いに迷ってしまい、最終的には先生のご家族の方に、近くまで迎えに来ていただいた。
 


先祖は多摩川で渡し船をしていたという、角田益信先生


1929(昭和4)年生まれの角田先生は、かつて、東京芝浦電気(現、東芝)に勤めるサラリーマンだったそうだ。しかし、昔の川崎の姿を知る「生き字引」として各方面から相談などを受けるうちに、「いつの間にか、自分が郷土史にはまってしまった」と話す。
 


著作の一部、今も現役で執筆中なのだとか


先生によれば、「綱下げ松」には、合計3回のブームがあったそうだ。最初の流行は江戸時代の天保年間で、「宿河原綱下ヶ松八景図」という一種のガイドブックが、火付け役となったようだ。
 


同書で紹介された、「綱下げ松」挿絵(資料提供・角田益信先生、以下略)


このガイドブックと共に、「お参りした人が大金持ちになった」という話や、「その人が寄付をして新しい祠を建てたところ、作業員が熱を出して急死した」などのまことしやかなウワサが、江戸中に広まっていったそうだ。また、こうした言い伝えは、瓦版などでさらに尾ひれが付き、さまざまなバリエーションを生んでいったようである。
こうなると、居ても立ってもいられないのが、江戸っ子である。「綱下げ松」は、一目見ようと押し寄せた観光客で連日のようににぎわい、一時は84軒もの茶店が建ち並んだという。
 


松はやがて枯れてしまったが、「枯れ松さま」として信仰された


その後「綱下げ松」は、同じ天保年間に、ついに枯れてしまったそうだ。それまでよく見かけられていたという白いヘビも姿を消し、「江の島に引っ越したのではないか」などという臆測が、江戸っ子の口に乗って広まっていったらしい。
しかしあるとき、病息平癒を願って「綱下げ松」にお参りした人が茶店で休憩中、近くの多摩川川底で光る石を発見した。そこで、その石を持ち帰り祭ってみると、病気がピタリと治ったそうである。以来、「枯れ松さま」として、再び信仰を集めることになったようだ。

最後のブームは、明治時代に入ってからのもの。当時養蚕業(ようさんぎょう)が盛んだったこの地では、蚕のネズミよけとして、白ヘビの絵馬を好んで飾っていたそうである。
あるとき、信仰深かった養蚕家が火事に見舞われたのだが、ボヤ程度で済んだそうだ。やがて、天井裏から黒焦げになった白ヘビが落ちてきたので、身代わりになって火を消してくれたのだろうと話していたところ、絵馬に描かれていたはずの白ヘビの姿がどこにもなかったという。
こうして弁財天は、水難や金運、さらには火防のご利益あらたかとして、さらなる人気を集めることになった。



伝説は、今でも残っているのか



そんな数々の伝説を残した「綱下げ松」だが、角田先生によると、直接手を触れると「たたりがある」と信じられていたそうだ。そのため保護しようという動きも現れず、1887(明治20)年ごろまでは残っていたものの、今では見ることができなくなってしまったらしい。
 


では、この松の若木は関係ないのか


念のため、現地の松の写真を先生に見ていただいたところ、「地元の方たちによって、何回か植え替えられたという話を聞いている、おそらくそのときのものではないか」という。
また、毎年旧正月前後の「巳の日」には、常照寺を中心に弁財天護摩供養が行われているらしい。今年は、2月20日(水)に予定されているとのこと。今でも伝説は、脈々と受け継がれているようだ。

観光スポットとしての「綱下げ松」、伝説のシンボルとして具体的な信仰の対象になった「白ヘビ」、これらの拠り所となる「松寿弁財天」の絵図と祠。この三者が関連を持ちながら、それぞれ独自の機能を果たしていたというところが、この伝説のユニークな部分ではないだろうか。
巳年にあたる今年、4回目のブームが訪れることに期待したい。


―終わり―
 

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  • 60年前には弁才天の周辺で地元の人々が集まり櫓を立て華やかな祭りと、境内でゴマ焚きをしていたものです。下綱(さげつな)村と呼ばれた麓の家々はこの宮を守っていたのでしょうね。

  • 『「お参りした人が大金持ちになった」という話や、「その人が寄付をして新しい祠を建てたところ、作業員が熱を出して急死した」などのまことしやかなウワサ』←なんという恩を仇で返すような話w 新しい祠というのは別の祭神で、それに嫉妬したって話なんだろうか?よくわからない。「天井裏から黒焦げになった白ヘビが落ちてきた」←グレーゾーンだな。黒白はっきりしてほしい!まるで首なし美女の死体みたいな話だ。

  • 伝説別バージョンとして…… (多摩川の洪水〜村人が助かるところまでは同じ)布につかまって助かった最後の老婆が欲張って布を持ち去ろうとしたところ、白布は白蛇と化し、老婆を飲み込もうとした。詫びた老婆は許され、松の下に弁財天をまつった、というお話が「川崎の民間信仰」(川崎市民ミュージアム)本で紹介されてます

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