関内に南極料理人のお店があるって本当?
ココがキニナル!
先日砕氷船「しらせ」が横浜港に寄港しましたが、関内駅近くに南極料理人のシェフのお店があるそうです。是非取材してください。キニナル!(tokuさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
オーロラをこの目で見たい、その夢を実現するために南極料理人の道を選んだ篠原洋一さんの店「Mirai」には、未来と味蕾(みらい)の意味が込められていた
ライター:河野 哲弥
第一印象は「ただの雲」
食材の予算は1人1日2190円と決まっていて、全隊員28人の1年3ヶ月分の食糧と予備食などを含めると、その仕入れ額は数千万円にもおよぶのだとか。この中から、朝昼夜の食事に加え、飲み物やアルコール、お菓子やおつまみにいたるまで、口に入るものすべてをまかなう。
「食材の中で何かが足りなくなってくると、なぜかメンバーは、それを我先に食べようとするんです。そういった不安感からくるストレスを減らすためにも、まんべんなく仕入れることが大切」だという。
別名「南極アヒージョ(900円)」、体が温まる熱々メニューは夏バテ予防に効果アリ
こうした食材は、月ごとにおおよその目安を立て、その残量をコントロールしていくのだとか。しかし、相手は生身の人間、何を食べたいと言い出すか分からない。そんなとき篠原さんは、あえて余っている食材を、「ああ、コレが少なくなってきたなぁ」などとつぶやくそうだ。すると、先ほどの法則が見事に功を奏し、ねらった食材の在庫が減っていくのだとか。
また、隊員のモチベーションを高めるために、「脳に食わす」ということも実践してきたそうだ。例えばカニなら、ズワイガニやタラバガニをさまざまな料理にふんだんに使った「カニづくし」の夕食。フグなら、大皿いっぱいの刺身に、白子のみそ仕立て、唐揚などがそろった「フグコース」といった具合。物足りなさをみじんも感じさせない、まさに脳に食べさせる食事という訳だ。
そうした工夫もあり、20年以上たった今でも、「第33次のメシは良かった」と隊員間で語り草になっているのだとか。
ランチに提供している「ドライカレー」800円、ウィンナーのトッピングはプラス50円
さて、念願かなったオーロラの第一印象について伺ってみたところ、「最初に見たのは、ボヤっとした白い雲のようなオーロラで、オレはこんなものを見にわざわざここまで来たのかとガックリした」そうだ。
しかし、その後の5月、空一面がさまざまに変化する「オーロラ爆発」に遭遇する。
緑以外の色が写真に写るのは、大変珍しいことなのだとか
「美しいとか感動とかよりも、むしろ怖いといった感じでしたね」。篠原さんは、そのときの様子を振り返る。やがてオーロラは、爆発という名前のとおり、一瞬にして消え去ってしまったそうだ。
興味深い話はまだまだ続いたのだが、そろそろこのお店のことにも触れなくてはならない。以下、同店オープンまでの経緯を簡単にまとめてみる。
自分の店を開くなら、大さん橋のある横浜で
南極から帰国した篠原さんは、1993(平成5)年から日本郵船が保有する豪華客船「飛鳥」「飛鳥Ⅱ」に乗船し、和食の責任者を務めることになった。
店内の壁に飾られる世界地図
さまざまな客船の現在位置が、毎日手作業で更新される
その後の14年間でざっと70ヶ国200都市あまりを巡ったそうだが、「もう一度オーロラを見たい」と2008(平成20)年、第50次南極地域観測隊に再び参加。再帰国した2010(平成22)年には、客船をすぐ近くに見ることができる横浜を選び、「BAR de 南極料理人Mirai」をオープンした。
この「Mirai」には、努力すれば夢がかなうという「未来」と、その手段となった料理にちなむ「味蕾(みらい、舌にある味覚を感知する器官)」という意味が込められているそうだ。
店内の一角には、世界中のガイドブックなどのコーナーも
各テーブルには世界地図があり、旅のプランニングにも便利
同店では、「南極よもやま話」やゲストを迎えた「旅のトークショー」など独自の催しを、不定期に月2回ほど行っている。また、篠原さんご自身も、「夢の実現」や「南極」をテーマにした講演を各所で行っているそうだ。
「自分が南極に行ったのも、清水先生のお話がきっかけ。それと同じことで、多くの人に夢を与え、その夢は自分次第で実現できるということを知ってもらいたい」と篠原さんは話す。
南極料理が食べられるのではなく、南極料理人がいるお店
「南極料理って、ペンギンとかが食べられるんですか?」と訪ねられることが多いらしいが、南極料理というのは特になく、もちろんペンギンも提供していない。
同店は、南極地域観測隊や豪華客船などで腕を振るったシェフの料理が味わえる、「南極、旅、船好きが集まるBAR」。メニューは、和食をベースとした多国籍料理がメーンで、世界中のお酒も楽しむことができる。
看板には、「クルーズ、トラベル、コミュニケーション」とある
また、旅の相談なども気軽に受け付けている。70ヶ国200都市、さらには南極を知り尽くした「旅のプロ」に、新婚旅行のアドバイスを求めに来店するカップルもいるのだとか。
あえて言うなら、自分に何ができるのかという素材を集め、「未来」という一皿を作りあげていくのが、篠原流の南極料理。ぜひ、舌だけでなく、マインドで味わってほしい。
―終わり―
◆「BAR de 南極料理人Mirai」
住所/横浜市中区吉田町2-7 VALS吉田町B1F
Tel/045-326-6475
営業時間/17:00~24:00(平日のみ11:30~14:00ランチタイム)
定休日/不定休
http://www.travelbar-mirai.com/
角さん
2013年05月19日 22時14分
良い情報をいただきました。是非、行ってみようと思います。 南極越冬隊か~。憧れたな~。 確か小堺一機の親父さんも料理人として南極に行ってましたね。
naochangさん
2013年05月19日 19時12分
レポートありがとうございました。今度、足を運んでみたいと思います。