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「浜の箱根」と呼ばれた港南区の大久保池跡には、いつまで池があった?

ココがキニナル!

大久保池跡って、いつまで池があったの?(ひろくんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

正式名は「久保池」で江戸時代に灌漑(かんがい)用の溜め池として作られた。戦後その役目を終え、1960(昭和35)年、宅地造成の際に埋められた。

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ライター:橘 アリー

現在の様子は?

「大久保池跡」のバス停から、数メートル坂道を上った所に脇道に入る路地があり、その路地を入った左側が、かつて「久保池」があった場所だという。
 


路地の左側が池だった


路地へ入る少し手前にある「中丸商店」の方が、池があった当時の様子に詳しいとの事で、お話を伺うと、池があった当時の写真を見せていただけた。
 


中丸千珂子(ちかこ)さん
 

座っているのが千珂子さん。お二人とも、とてもモダンである


池の周りはアシが生い茂り、白黒写真だが水や木々の情景の美しさがうかがえる。また、千珂子さんの後ろには、弁天島と呼ばれていた小島が写っている(上写真右)。

長谷川さんの概算では、久保池はおよそ2000平方メートル(サッカーコートの3分の1ほど)の広さと推定され、ザリガニやウシガエル、カメ、エビなど多くの生物がいたそうだ。子どもたちは、ザリガニを釣ったり、池で泳いだりしていたという。
 


ザリガニを採っている子どもたち(出典:港南歴史協議会)
 

池の周辺には桜並木があったそうで、現在もバス通りに数本の桜の木が残っている
 

バス通りから見た池があった場所の様子(フェンスの右側)
 

池があった外れの方には、草が生い茂っている


池から水田までの水路は埋められて、今は歩道になっている。
 


歩道の幅は2mくらいだが、水路だった頃は50cm程度だったそうだ


戦後、宅地として開発される前は、池や桜並木が美しく、周辺は料理店などが多く営業していた。多くの観光客と呼び込もうと、「浜の箱根」というキャッチフレーズがつけられ、大久保地区を観光地化する開発計画も行われていた。

1950(昭和25)年発行の、京浜急行沿線案内パンフレットでは、大久保地区を「大久保温泉郷」として案内していた。実際に温泉があったかは定かでないそうだが、久保池周辺の美しさを「情緒豊かな郷」として案内していたのだ。その頃、横浜出身の作家である大佛(おさらぎ)次郎がこの場所を訪れた、という記録もあるようである。
 


久保橋の柱の上にポールが立てられ、橋をまたいで「浜の箱根」の看板があった


このように久保池は、最初は溜め池として、戦後の一時期は観光の呼び物としての役割を担っていた。土地開発が進められる中で、大久保地区は観光地ではなく住宅地へと変わっていき、溜め池の役目がなくなった久保池も埋められた。

今は、現地に池があった面影はないが、お話を伺いながら歩いてみると、池があった頃の雰囲気がどことなく感じられる。



取材を終えて

久保池の写真は、横浜開港150周年の関連事業として作られた「みんなでつくる横浜写真アルバム」で見ることもできる。

みんなでつくる横浜写真アルバム」には、「見せたい」「残したい」と思う横浜の写真を誰でも投稿することができて、投稿された写真は「みんなでつくる横浜写真アルバム」に記録される。

現在の運営事務局は、NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ内にあり、以前、はまれぽでも取材させていただいた、横浜市民放送局の梅香家聡さんが実務を担当されている。
 


2周年イベントでもお世話になった梅香家聡さん


「記録されないものは、記憶されない」。そんな想いで運営されているとの事。昔から現代の横浜まで、8600枚もの写真がアップされているそうだ。

移り変わって行く横浜の姿が、残されて行くのは嬉しいものである。


―終わり―


 

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  • 大久保池の近くに21年生まれの同級生樋口千恵子さんが住んでいた初恋の人です、いないと思います。

  • 橘 アリー って 切れのある文体で 起承転結 なかなか イイ レポートだね

  • 大久保池跡バス停のちょっと下に別所に抜ける道があるのですが 裏道?でもなく結構主要な道路として通行していますが急角度で分かれているし 途中ぐるるるると回っていたりとなんか変な道筋だいとは思っていたけど そうか池の周りの関係で 昔のなごりかと納得いつか菊名池とか篠原池とか岸根池なんかも消えるのかなあ

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