140年以上の伝統に支えられた、流行に左右されない職人技と癒し

筆者の場合、カットをお願いする時は、かなり細かいところまで注文をつけるのだが、眞太郎さんの常連さんはどうなのだろう。
　

しっかりと社会貢献もされている

「常連のお客様は、はじめに挨拶を交わすぐらいで、黙って椅子に座られますね。最近の流行を意識したようなリクエストをされることは、一切ないです。だから私も、髪型については何も言わずに仕上げます」と話す眞太郎さん。それは、お客さんが絶大なる信頼を彼によせているからだろう。

普段は、1日10人ほどが利用する。そのほとんどは常連さんだが、1割ほどはご新規さんもやってくる。8割以上は50代より上のお客さんだ。といっても、30代より下の年代も訪れるという。

眞太郎さんは、お店だけではなく、街なかでもいつも人の頭に目がいってしまい、頭の形や髪の質を瞬時に判断して、その人にもっとも相応しい髪型をイメージしてしまうそうだ。「これはもう職業病ですねぇ」と笑いながら教えてくれた。
　

にこやかに話してくれた眞太郎さん

確かな技術に裏付けされた信頼関係がこの店の重要なポイントなのだろう。しかし、どうやらそれだけではないようだ。ともかくお店の中、全体がとてもゆったりしたムードにあふれているのだ。特に凝った内装というわけでもない。
　

ピカピカに磨き上げられた道具たち

よく考えてみると、それは眞太郎さんと幸子さんの人柄から出る雰囲気なのだ。二人とも話し方は静かで、声の質もとても落ち着いている。そんな中で髪を切り、髭を剃ってもらうというのは、最高のリラクゼーションに思える。と思ったらふと、筆者もそんな体験をしてみたくなった。そこで、急きょ、散髪（カット、ネックシェーブ・マッサージ付き：2500円）をしてもらうことに。
　

いきなり恍惚状態の筆者

常連さんの真似をして、一言だけ「短めに」とお願いをして散髪してもらう。

眞太郎さんは何の迷いもなく、ぱっぱとリズミカルに筆者の髪にはさみを入れていく。静かなくつろいだ時間が流れていく。それから幸子さんにバトンタッチして洗髪、そして髭と顔を、それ以上望めないくらいに丁寧に剃ってもらう。
　

髭と顔剃りは、奥様の担当だ

髭剃りクリームの香りが心地よい。理容椅子もほぼ180度倒してもらっていて、これはもう至福の時だ。単に髪の毛を切るのではなく、体も気持ちもゆっくりと解き放たれていくのがわかる。柴垣理容院は、ただ散髪をする場所ではなく心が癒される場でもあることが、実際に理容椅子に座ってつくづくとわかった筆者であった。
　

常連さん気取りで、店主との会話を楽しむ筆者

そこで、こんな素晴らしい体験を、はまれぽの読者のみなさんにもぜひとも味わってほしいと思った筆者は、不躾にも「読者限定のサービスを何か提供していただけませんか」とお願いしてみた。

すると、「わかりました。私としても、ひとりでも多くの方に理容室の素晴らしさを体験していただきたいので」と快諾してもらった（詳細は下記に記載）。ありがとうございます！
　

奥様にカメラを任せ、すっかりリラックスの筆者

頭だけでなく、気分もすっきりさっぱりした筆者はお店のポイントカードをもらって、「よし、ここの常連さんになろう！」と決意して、お店を後にした。
　

ご夫妻のポートレートが店内に飾られている

取材を終えて

お店の構えは、ごく一般的などこにでもある理容店。しかしながら店主の技術は明治時代から継承された匠の技。けれど、そんな事をひけらかすでもなく、静かに髪を切る店主の姿勢に筆者は強く胸を打たれた。本物というのは、とてもシンプルなものなのだ。


―終わり―


柴垣理容院
所在地／横浜市中区初音町1-20
電話／045-231-4212
営業時間／8：30～18：30
定休日／火曜日と第2、3月曜日

【はまれぽ読者限定！10％OFF特典！】
「はまれぽの記事を読みました！」と元気にお店で言っていただくと、初回に限り料金が通常より10％割引となります。男性だけではなく、女性の方もこの機会に理容室の素晴らしさをぜひ体験してください！
なお、特典は2013年7月末までの期間限定となります。