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金沢区にある大きな洞窟の正体は?

ココがキニナル!

金沢区釜利谷南に巨大洞窟があります。いつ誰が何のために作られ、中はどうなっているのでしょうか?昔この辺りに兵器庫があったようですが、兵器を隠していたのでしょうか?(うなぎさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

戦時中に兵隊が防空壕として掘った穴だったが、堀削の最中に終戦を迎え、未完のまま。兵器を隠した事実はなく、現在は地主さんが物置として使っている

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ライター:田中 大輔

再び現場へ。核心に迫る


というわけで再び洞窟を目の前に、前を通りがかる人、特に年配の人を中心に片っぱしから声をかけていく。

「あれ、なんだかご存知ですか」の問いに、「防空壕の跡じゃないの?」という人もいれば、「あの大きさは防空壕じゃないわね」という人まで。

 


入口から中を覗いてみた。近所の人も意外と知らないその正体


さまざまな答えは返ってくるが、どの人もハッキリと知っているわけではない。
また、多くの人が、地の人じゃないので、と前置きをつける。どうやら古くからの人が少ない地域でもあるようだ。
そんな折、洞窟から少し離れた場所で声をかけた女性から思いがけず核心に迫る話を聞くことができた。
この辺りに50年以上住むという吉澤さんは、戦後にこの地に越してきたそうだが、町内では古株だそうで地域のことにも詳しいという。
 


町内会の役員も長く務めた吉澤さん。親切にいろいろな話をしてくれた


「あれは防空壕の跡なの」と吉澤さんは優しい口調で話す。
吉澤さん自身は戦争中は県外に疎開していたそうで、あの洞窟、もとい防空壕をリアルタイムで知っているわけではない。しかし、あの穴のある土地の持ち主にそう聞いたことがあるのだと語ってくれた。

つまり、あの穴は防空壕の跡で、掘られている場所は私有地の一部。かつ、その持ち主という人が今でも健在というわけである。
吉澤さんに地主さんの住んでいる場所を教えてもらい、いよいよ話の真相へと迫っていく。

 
 
 

未完の防空壕



教えてもらった住所は防空壕跡からほど近い場所だ。
地主さんを訪ね、まずは事情を説明し記事にすることのお許しを得るべく話を進めたところ、ご本人の希望により名前を伏せることを条件に取材を受けていただけることとなった。

防空壕跡の内部の写真とともに、その内容をお届けしよう。

地主さんは、あれは防空壕ではあるが未完成なのだと話す。掘削の最中に1945年(昭和20)年8月15日を迎えたからだ。
 


というわけで、実は奥行きはそれほどない。恐らく20メートルに足りない程度だ


正確にいつごろから掘られたものかは覚えていないそうだが、作業中に終戦に至ったという経緯を考えるに、戦争の終わった1945(昭和20)年に入ってからか、早くてもその前年くらいではないかと推察される。
 


壁の様子。70年近く前のものとは思えないほどしっかりしている


そのため、実際に防空壕としての機能を果たすことはなかったそうで、当時から今に至るまで未完のままにその姿を留めている。
そんなわけだから、武器庫や横須賀海軍航空隊基地の戦闘機を守るべく作られた野島の掩体(えんたい)壕などとは、まったくの別物。

ちなみに、キニナルにある現在の東急車両製造の辺り一帯にあった「海軍航空技術廠支廠(しょうししょう)」は、航空機などの研究や実験を行っていた施設である。
 


天井に目を向けると大きなヒビも見える


実際に穴を掘ったのは兵隊さんだったそうで、当時は泊まり込みでの作業が続けられたと地主さんは教えてくれた。
 


トタンの中には崖上から落ちてきた草などが放り込まれていた


現在では、なかば物置のように使われているそうで、実際に穴の中には不要となったものが積まれていた。駐車スペースとしても活用しているそうで、近所の人に貸していると地主さんは笑う。



取材を終えて



戦災から人々を守るべく掘られ、しかしその役目を果たすことなく終わったこの穴。
70年近い月日が経った今も、その口は大きく開かれたままだ。
 


穴の中から見る街並み。幸か不幸か、防空壕としての出番は巡ってこなかった


今では学校の先生が生徒を連れてきたりする、と地主さんは話す。
戦争の爪跡を残す、とまでは言いにくいがこれもまた戦争遺産のひとつ。
私が死んだらどうなるか、と地主さんはこぼすが、できることなら市や区でなんらかの保護をしてほしいところだ。
この防空壕のなり損ないは、今日もぽっかりと口を空けて戦争の面影を偲ばせている。


―終わり―
 

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  • 先日こちらに立ち寄ってみたら、既に行政によって埋没されて跡形も無くなっていました…。戦争遺産を躊躇なく簡単に消し去ってしまうなんて物の価値が分かっているのか?と怒りが込み上げてきます。大変残念…。

  • 昭和40年頃、釜利谷に住んでいました。ほら穴におしげさんという白髪に黒髪も混ざったお子さんを亡くしたらしいお婆さん(?)が住んでいて、散歩中その前を通るのが怖くて泣いていたのを幼心に覚えています。ここでしょうか。

  • 金沢区あたりは航空機の部品を作る会社なども密集していて、普通の工場は目立ってしまい空襲のマトになるから、大きな穴を掘って、穴の中で作業したという話もあるようです。埼玉県の吉見百穴に同じような地下軍需工場跡があります。金沢区近辺にちょくちょくある大穴も、そういった類のものかもしれません。

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