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農業生産法人「吉野家ファーム神奈川」の取り組みとは?

ココがキニナル!

牛丼の吉野家が「吉野家ファーム神奈川」という会社を立ち上げ、横浜市内の農家と共同で食材の自社生産を行っているらしいです、キニナル(だいさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

安くて安全な食材の確保はもちろん、耕作放棄地の有効活用や農家の販路開拓、循環型ビジネス、社会貢献など、さまざまなねらいが込められていた

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ライター:河野 哲弥

牛丼に適したお米を求めて

次は、丼物の基本となるお米の話。
ちょうどこの時期、田植えが行われているというので、その様子を見学させていただくことに。
 


横浜市立鉄(くろがね)小学校近くの某所
 

左から、日高さんと、生産販売部の辛島(からしま)部長

 
一見、簡単そうに見えるこの作業。辛島さんによると、一直線に植えるのは、思っているより難しいらしい。また、自分の出口を封じないように、かつ効率的にコースを決めなくてはならず、いわく「頭脳労働」の要素があるそうだ。
 


こちらは、「寺家ふるさとの森」内で同社が借りている田んぼ

 
なお、同社が栽培しているのは、牛丼の食感に適している品種のひとつ「ミツヒカリ」。収穫時には大人の男性ほどの高さに育つため、苗の間隔をわざと空けているそうだ。
 


苗の間隔が広いことが分かるだろうか

 
ちなみに、米作を採算ベースに乗せるには、少なくとも10ヘクタールの広さが必要らしい。これに対して、「寺家ふるさとの森」内の田んぼは20アール。では、近隣も含めて、この50倍の田んぼを確保すればいいかというと、そうでもないらしい。

「トラクターを移動する時間がありますからね、10ヘクタールは、まとまった耕作地を前提にした場合の数字です」とのこと。また、企業に先祖代々の土地を乗っ取られないかと、疑いの目を向ける農家もあり、農地の確保自体が難しい状況にあるという。
 


手を付けられていない田んぼは各所に残っている

 
吉野家というビッグブランドが、逆に警戒心を持たせてしまう結果となっているのだろう。こうした動きに対し日高さんらは、数年ごとの短期借地契約を繰り返しながら、理解に努めていると話す。農業の法人化が抱える意外な側面が、垣間見えたような気がする。

また、農家を社員として迎えることは、「あそこの家がやっているんだったら、大丈夫だろう」という安心材料にもつながる。技術指導だけではなく、農家が持つネットワークに期待大というわけだ。



循環型農業で、地球に優しい「牛丼」を?



農家への説得材料は、何も誠意だけではない。
例えば、米の収穫後に残ったわらは、ナシなどの苗木を育てる際に敷き詰めると、保温効果が望める。また、廃棄された食品は、肥料として再使用することができる。つまり、参画することによるメリットは、販路以外にもあるのだ。
 


今度は、サラダなどに使われるキャベツの畑へ移動
 

外側の使わない葉も、肥料として生まれ変わる

 
こうした個人では難しい循環型農業のビジネスモデルを構築できることが、法人ならではの利点といえるだろう。今後、多くのパートナーが集まり、企業としてのスケールメリットを発揮できるようになれば、牛丼は、牛丼という存在を越えた何かになりそうな気がする。農家が見る目も、違ってくるのではないだろうか。
 


現在、作付けが行われている作物の種類とその時期(同社サイトより)

 
なお、同社による主な作物の年間収穫高は、タマネギ約40トン、キャベツ・白菜それぞれ約15トン、お米約10トン(玄米ベース)といったところ。仮にこの「お米10トン」を、1日約3000人の利用客を誇る売上ナンバーワンの店「吉野家有楽町店」だけで使用したとしよう。来店者全員が「並盛(生米120グラム計算)」を注文したとして、約1ヶ月も要しない。だいたいの生産量がイメージいただけただろうか。

このように「吉野家ファーム」とは、これからの時代に求められるさまざまなチャレンジを詰め込んだ、新しい事業形態であることがわかった。



すでに食べているかも知れない同社の食材



この時点で、時刻はちょうどお昼となった。
「では、最後にシメということで」と、246号線荏田店へ。
 


自然の緑をイメージし、配色を変えた最近の吉野家
 

並盛り(300円)、同社のタマネギは含まれているのだろうか

 
ああ牛丼、これぞ牛丼。
タマネギに「吉野家ファーム」と書いてあったら分かるのに、それはかなわぬ架空の話。今は無理でも、「神奈川県の吉野家って、地産地消だからひと味違うんだぜ」と言える日が来れば、その必要はなくなる。

農林水産省の調べによれば、神奈川県の食物自給率は、2011(平成23)年度の段階でわずか2パーセント。食の安全とは、利用客が求める高いクオリティに応えるのは当然のこととして、それが当たり前に供給される「システム」全体を指すのだろう。

ブランディングの定義とは、「いつ誰がそのブランドを思い起こしても同じイメージを持つこと、また、それが損なわれないよう守り続けること」と聞いたことがある。そんなことに気付かされた、今回の取材だった。


―終わり―

◆吉野家ファーム(吉野家サイト内)
http://www.yoshinoya.com/about/farm/


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  • せっかくの取り組みに水を差すような意見もなんだけど、吉野家レベルの規模の食材調達には焼け石に水程度の農業をこんな神奈川の近郊で、周辺農家に遠慮しいしいやるより、もっと適地で大規模にやるべきでは?という疑問しかわかなかった。SOFT ON DEMANDをリタイアした高橋がなり氏も、同様に「なんたらファーム」を立ち上げたような事も思い出すが、あちらはピンポイントに地産地消のとりくみだったと思うので。

  • 私達百姓には刺激的ですね。うちは黒毛和牛の繁殖農家ですから、自分たちの仲間の肥育農家が育てた牛を、食べる機会もあります。たま~に、とっても贅沢な吉野家風牛丼を作ってみます。当然自分の野菜や、ご近所の大先輩農家が、直販する野菜を入れてますよ。多分大変な原価になっちゃったかしら?ちなみに私が子牛を出荷したときに、和牛の切り落としを市場で買って来ると、500グラム1000円です。

  • ただの提灯記事を載せてどーすんだ?

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