京急杉田駅近く、道を緑に塗ってアピールしている謎の私道、なぜこんなことになってしまった?
ココがキニナル!
京急杉田駅近くに、道路の半分だけ緑に塗られて「私道」を強調している場所が。ここまで強調しているのは何か理由がある?地権者が路駐しても違反切符は切られない?(イルカさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
中田と苗字を書いているのは地権者へのリスペクト。緑を選んだのは眼に良いから! この道路で違反切符を切られるかどうかは・・・お巡りさん次第!
ライター:人見 静馬
インタビューへ!
アポイントを取り、日を改めてインタビュー。
道路を塗ったM氏は、店舗2階にいらっしゃるらしいとのこと。店舗脇の階段を昇り、過去レンタルスペースをしていたという場所へ赴く。
入口
自作らしき水槽にはメダカが泳ぐ
自作の傘立て
そこで待ち受けてたM氏は、良く言えば実直そう、悪く言えば頑固そうな老人であった。残念ながらご本人の意向によりお名前とお顔を出すことはできないが、中々に精悍な雰囲気を持った方である。ご近所のご意見番――そんな言葉も浮かんでくる。
勧められるままに椅子へ腰をおろし、しばし室内を観察する。現在2階は営業していないとのことで、さまざまな物が置かれたりしていたが、雑然と物置扱いされているといった印象は受けなかった。さまざまな絵が飾られていたり、やはりメダカの泳ぐ水槽が置いてあったりと、M氏の生活スペースの一部として使われているのかもしれない。
色々飾ってある
ご自分で描かれた富士
開始
15分ほどしかお時間をいただけないとのことで、急いでインタビュー開始。
お話によれば、そこは50年ほど前には、道路ではなかったらしい。しかし道もそう多くない時代、通ることができれば近所の小学校への通学路として最適なそこを役所が放っておかなかったということらしい。そうして道として解放されたのだと、そういった経緯だという。道路が中心で二等分されているのも、元々道ではなかったので、中心を境に地権者が違うからなのだ。
確かに学校が近い
もしかしたら、この辺りはそういった話が多いのかもしれない。どうも、元々田んぼが多かった場所に街を作ったために私道が多いらしいのである。納得。
さて、なぜ二等分に塗ってあったのかの理由は分かった。しかし、そもそもどうして道路に色を塗ったのか、その理由が分からない。道が二等分されていようが地権者が違おうが、そこを通る人間には関係のない話である。どうして過度にアピールをしているのか。
それはズバリ!
「元の、アスファルトの色剥き出しの茶色い道路が気に食わなかったから」
緑の理由は!
「緑は眼に良いから」
だそうである。
あまり深い意味はないらしい。
元々M氏は故郷愛媛でペンキ屋を営んでおり、今でも何かを塗るのが好きなのだそうだ。絵や塗装とメダカが趣味なのだという。確かに自作の絵や水槽が多く置いてあった。
そんなM氏は、今度は道をグレーに塗るか煉瓦敷きの道にするという野望を持っているらしい。
杉田商店街の煉瓦敷き。おそらく、こうしたいのだろう
15分、と自ら区切られておきながらも、時間を気にする素振りを見せず必要以上の情報を与えてくれるM氏。最大の疑問も筆者の質問からではなくM氏のおしゃべりから氷解(ひょうかい)した。
中田さんの名前を、中田さんに了承のうえ書いたのは、「地権者に対するリスペクト」からなのだそうだ。お話から、良好な関係を築かれているのが感じ取れた。
だが。
ここで気付くことが。筆者と同行した編集部・山岸、この両名と、M氏の「中田」の呼び方が異なっているのだ。筆者らは「ナカダ」さん。なにせ道路にそう書いているのである。しかしM氏は「ナカタ」さんと呼ぶ。
「ナカダさん?」「ナ、カ、タ」
はて。道路はご自分でペイントされたのでは?
ナカダだよな・・・
ローマ字分かりますか? とは聞けなかった。が、そこもM氏が問わずして答えてくれた。楽は楽だがインタビュアー殺しな方である。
曰く、私道ゆえ、道の舗装は土地を借りている人間がしなければならない。そしてこの道は、M氏ともう一人借り主がいたのだという。当然M氏が舗装したのは、自分が借りている所まで。そこから先は、現在は転居してしまった方が舗装したらしい。
これがその継ぎ目。左側が、M氏が借りている土地
ここもM氏が善意で(善意で・・・)塗ったらしいのだが、実は、その時は中田(NAKATA)と書いたらしいのだ。もう一ヶ所、ご自分が借りている土地にもその表記を。KEEP OUTの黄色テープのように、同じ言葉が連続してプリントされている道を目指したのだろうか。
既に消えかけてしまっている
しかしある時、ガス管か水道管かの工事が入り、1回舗装が壊されてしまったのだという。そして工事終わりに業者が道を復元する際、表記を誤ってしまい、中田(NAKADA)になってしまったらしい。以降、そのままに。
うーん。正直、神経質なのか鷹揚なのか分からない話である・・・。
因みに。
投稿者の「私道について法律上の規則はわからないのですが、地権者が路駐しても違反切符は切られない?」との質問に対しての返答。
「一般交通の用に供するその他の場所」であれば、私道とはいえ道路交通法が適用されるようである(道路交通法第2条、道路法第2条、道路運送法第2条)。つまり、私道でも普段から道路として使われているような所では駐禁が発生するということなのだ。道路交通法なのだから、地権者にも当然有効だろう。
ただし、各私道が「一般交通の用に供するその他の場所」に該当するかどうかの判断は、素人につけられるものではない。今回ご紹介した私道にしても同様である。要するに、駐車違反を取られるかどうかは取り締まるお巡りさん次第ということである。
まぁ、どうあれ路上駐車をしないというのが賢明なのだろう。
取材を終えて
インタビューを終えて外に出ると、編集部・山岸がポツリと言った。
「緑の道は通ってはダメということになっているんですかね?」
どういうことだろう? そんなことM氏は言っていなかったし、常識で考えてそんな主張を、1日100人は通る歩行者に徹底して行ける訳がない。どうして山岸がそんなことを言いだしたのか、意識して観察してみる。
なるほど、である。
そこを通る人は皆、緑の部分を避けるようにして行き来していたのである。これには驚いた。筆者らが観察していたその時の偶々なのだろうか、或いは、緑に塗られたそこが、人間の無意識に何か訴えかけているのだろうか。
気付けば筆者も緑を避けて歩いている・・・
考えてみれば、そこの道は私道だということで勝手に車を停められてばかりいた過去が有るらしい。駐車場を作ってから全くなくなったとM氏は言っていたが、有料の駐車場を幾ら作ったところで、そもそも人の迷惑を顧みないドライバーがそこを使ってくれるものなのだろうか?
話が飛躍するかもしれないが、ペイントに何某かの効果があったとは考えられないだろうか? 気まぐれで塗られたそれは、偶然にも心理的な作用を引き起こすものだった――さすがにトンデモ理論が過ぎるだろうか。
是非、心理学者の意見を聞いてみたいものである。
マルマツさん
2014年09月26日 15時13分
先日は、ありがとうございました。ここの店の者ですが、日頃より道路に色を付けていることによって、不快に感じている方がいらっしゃったら、申し訳ないなと思っておりました。経緯を知っていただく機会をいただきまして、投稿者の方、記者の方に感謝しております。独自の目線での取材と記事に、今後も期待しております。
イルカさん
2014年09月24日 21時43分
調査いただきありがとうございました。場所がわかりづらく申し訳ありません、よく通る場所だったものでつい。緑は目にいい!ようやく緑の理由がわかりました、次回は是非レンガのペイントに挑戦していただきたいです。
伝説の女さん
2014年09月24日 20時45分
私もこのライターさん好きです賛否両論あるけど、個性があっていいじゃないですか♪そんなに目くじらたてるほどではないと思いまーす応援してます