今でも激安「こわれ商品」がある!? 横浜発の駄菓子、「ミルクせんべい」の歴史について教えて!
ココがキニナル!
保土ヶ谷区の佐藤製菓は、「ミルクせんべい」を初めて作ったと聞いたことが。35年位前の話ですが割れせんべいも販売してくれました。今でいうアウトレット品ですよね。今でもやっている?(ヤングさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「ミルクせんべい」の元祖である佐藤製菓では、今でも「割れせんべい」を販売中。同社は約20年前に兄弟で分社化、その一方である花丸本舗に取材した
ライター:河野 哲弥
伝統と革新のマリアージュを目指して
佐藤さんは1988(昭和63)年生まれというから、ほぼ平成の年号が現在の年齢ということになる。
苦労してきた両親の姿を小さいころから見つめ続け、大学生のときには、配達などの仕事を自然と手伝うようになっていったそうだ。
パッケージごとに枚数をそろえるには、「雨どい」のパイプがジャストフィット
その後、卒業を控えて就職活動を始めてみたものの、「一度家を出てしまうと、帰って来ないかもしれない。社会に出るなら、家業を勉強してからでも遅くないはず」と、実家を手伝う決意をした。もちろん母親の栄子(えいこ)さんは大反対したが、「持って半年」と軽く考えていたこともあり、最終的には娘の意思を尊重。ここから、佐藤さんのチャレンジは始まった。
約200度の鉄板がむき出しの工場内、夏でも外の方が涼しい
製造を学んでみて驚いたのは、材料の水加減や機械の温度に対する「父親の勘」だった。品質を一定にするには、その日の気温や湿度のような「数字」に表されるものだけでなく、その先にある「何か」が必要とのこと。「これだけはいまだに会得できていません、長年の経験がないと、とてもとても」と話す。
では、自分にしかできないことは何だろう。そう考えた佐藤さんは、卸問屋へ精力的に顔を出し、コミュニケーションを図ろうとした。同社では直接販売を行っていないため、ユーザーの声が届きにくかったからである。そうして得られたヒントのひとつが、「もっと、目にとまるような工夫」。
絵付けをした商品の一例
そこで、天然色素を用いた絵付けを試みたところ、人工色素に比べ色落ちが激しいなどの欠点が露見した。また、他社のパッケージに提供することも始めたが、同封するソースやジャム類のなかには、防腐剤などを混入しているものがあった。
「ウチの良さは、添加物などを一切使用していないことなんです。メーカーのこだわりとして、そこだけは絶対に譲れないところ」
他社ブランドとの連携例、「ミルクせんべい」の文字はどこにもない
そこで、見た目ではなく、「ソース味」や「もんじゃ味」など、せんべい自体の風味を変えてみたそうだ。ところが、自信を持って送り出した「イカスミ味」に対し、現場からは「歯が黒くなるので女の子が買わない」と大不評の声が。まさに八方ふさがりで困っていたところに聞こえてきたのが、医療関係者からのこんな声だった。
「『ミルクせんべい』は、油を使っていないのでヘルシー。カロリー調整が必要な患者さんに最適な食品なんです」
無理に方向性を変える必要はない。そのことに気付いた佐藤さんは、卸問屋ともに、あらたな販路の開拓へ矛先を向けた。その熱意に耳を傾けたのが、東急ハンズ横浜店。6階にある横浜の菓子類を集めたコーナーで、常設できることになった。
同社が直接手がける「プライベートブランド」、中身はすべて「ミルクせんべい」
また、これにヒントを得たのが、「横浜のお菓子」であることを打ち出した戦略。そこで、急きょ開発したのが「横浜トリエンナーレ」とコラボした商品「横濱シルクせんべい」。美容と健康に効果があるとされるシルクパウダーを配合した、試験的な野心作といえるだろう。
11月3日(祝)まで販売された「横濱シルクせんべい」
「ふと立ち寄った飲食店では、『ミルクせんべい』がソフトクリームの下に敷いてあったことも。こうしたアイデアは非常に参考になります。これからもいろいろなことにチャレンジしていきたいです」と、佐藤さんは話していた。
新しいアイデアを考えてみる
お菓子に限定せずとも、ポタージュスープでクルトンの代わりにしてみる、タコス風に野菜を挟んでみるなど、さまざまな食べ方ができそうだ。
もちろんそれはそれでいいのだが、ここでは、あえて食品以外の活用法を考えてみよう。思いつきで、こんなことをやってみた。
クラフト素材として利用してみる、題して「ミルクの城」
楽しんだ後は、野菜スープに突っ込み
「八戸せんべい汁」のようにして、いただきました
「ミルクせんべい」のコクが野菜の甘さをまとめ上げた逸品。
ほかにも、我が家では「ミルクせんべい」をこんな風にして楽しんでいるというご意見があったら、ぜひ投稿願いたい。横浜がほこる発祥の味を、みんなの手で盛り上げてみては。
なお、忘れるところだったが、「割れせんべい」の件をたずねてみた。すると、花丸本舗では販売していないのだという。
破損した商品は、近所のこどもたちに分けてあげることも
一方、「佐藤製菓」に電話で問い合わせてみたところ、「今でも販売している」とのこと。値段は1袋50円。数について聞いてみたら「かなりありますよ」との回答。レシピを思いついたら、割れせんでお試ししてみてはいかがだろうか。
◆株式会社花丸本舗
http://www.hanamaru-honpo.com/
◆有限会社佐藤製菓
http://www.satoh-seika.com/
ヤングさん
2014年11月20日 19時33分
調査ありがとうございます!このサイト http://kimihatsu.com/project/sato/ でも佐藤さんの頑張りを知り感動しました。これからも昔ながらの味を残していってください。そして横浜のお菓子と言うことが浸透するよう影ながら応援しています。
はまっこ61号さん
2014年11月20日 18時06分
食べ物をおもちゃにするのはやめましょう。
カトコさん
2014年11月20日 14時05分
私、50歳なんですがいまでもよくミルクせんべいを食べています。以前、商品にならない割れせんべいのことを聞いていて工場まで行って運がよければ入手できると聞きいていました。運がよくなくても入手できるのであれば早速、訪ねてみたいと思います。レポートありがとうございました。