住民の方々に聞き込み、困る？　困らない？

大口駅東口バス停からバスに揺られ4分。
　

「久保下」で下車すると、すぐ目の前には・・・


アクロスプラザ東神奈川

平日の午後5時すぎ、いなげや前の駐車場は満車。空くのを待つ車の姿も見られ、まさしく夕方のラッシュタイムといったところ。
店舗前に行くと・・・
　

閉店ムード

さらに、いなげやの店舗入り口や施設内に設置されている掲示板には閉店のお知らせが張り出されている。
　

やはり、閉店は本当だったようだ

同店で買い物をした様子の60代女性に「閉店についてどう思うか」と聞いてみたところ、「困る！」と力強く即答された。奥様はアクロスプラザのすぐ裏に住んでおり、横濱屋松見町店やLIFEも利用するとのこと。毎日２回、歩いて買い物をし、自宅から最も近いいなげやの利用頻度が特に多いそう。
　

今日は暑いのでアイスを購入。たしかに、こういう買い物は遠いと困る

仕事帰りに車で立ち寄るという男性50代は「品数が少ないなと思っていたら、閉店するんですか？　仕事帰りに寄りやすかったので、困りますね」という返答だった。

また、ショッピングバックにネギが入った40代の主婦は「すごく困る！　家から近いので、週3回以上利用しています。外出した時はよそで買い物することもあるけど、大抵いなげやに行きます」とお話を聞かせてくださった。近くのマンションにお住まいとのこと。
　

同施設より徒歩30秒。本当に近いのでとても重宝しているよう

ほかにも、バイク利用の仕事帰りのおじさんや、歩いて買い物にきたという20代前半の若者にも声をかけてみたが、そろって「困る」という反応だった。

大口駅前にはたくさんのスーパーマーケットがあるため、いなげや周辺であっても「ほかのスーパーマーケットがあるから困らないという人が半分くらいはいるだろう」と予測していたが、実際は違うようだ。

そのほか近隣のスーパー利用者はどうなのだろうか？　最寄り駅のJR線大口駅に向かいつつ、周辺のスーパーマーケット利用者に聞き込みをしてみることに。

同施設からは一番近い、生活雑貨に食品、薬も扱うFit Care MART（フィットケアマート）西寺尾店で買い物をした40代女性に話を伺った。
　

アクロスプラザ前の通り沿いに店を構えるフィットケアマート

普段利用するスーパーマーケットについて聞くと「いなげや、横濱屋、フィットケア」との回答。いなげやの利用頻度は週1回くらいだそうだ。フィットケアマートから歩いてすぐのところに住んでおり、いなげや閉店に関しては、特に困らないとの回答だった。

続いて横濱屋に向かう道中、食材の入ったビニール袋をもった70代の奥様にも話を伺うと、困らないとの回答。お住いは横濱屋から徒歩3分ほど横浜線沿いをいなげや方面にいったところ。「1人で歩いて行く時は横濱屋、主人が車を出してくれる時はLIFEやピアゴに行く」という。
　

足が悪いそうで、線路を超えてまでいなげや方面へは行かないそうだ

横濱屋の店舗前でもいなげや閉店について伺ってみた。

仕事帰りに自転車で立ち寄ったという40代女性は、いなげやは家から近くて横濱屋は仕事場から近く、どちらも半々くらい利用しているとのこと。「困りはしないが選べたほうがいいのであってほしい」と話してくれた。
そのほか、50代女性（自転車利用）の方にも質問してみたが、困らないとの回答だった。

駐車場は隣の「お酒の横濱屋」と共有で7〜8台くらいのスペースで、ほとんどの買い物客は自転車や歩きでの利用者が多かった。
　

県道111号線沿いだが車の通りはあまりないように感じた

さらにアクロスプラザ東神奈川から離れ、大口駅東口バス停の目の前にあるピアゴと道路を挟んで15秒ほどの場所に店をかまえるLIFEの周辺でも7人の方にお話を伺ったが、困ると答えた人は0人、1人だけあったほうがいいと答えた40代主婦の方がいた。

駅周辺で話を聞くと、いなげや周辺よりも「閉店が困る」と答える人が激減。「いなげや」の存在を知らない人もいた。

以上、さまざまな意見を伺ったが、きっと、いなげや利用者は主に車で来店しているのだろう。大口駅を下車し、帰宅ついでに買い物をする人には閉店の影響がなさそうだ。

事実、アクロスプラザ前の道路はきれいに舗装されおり車の通りが多く、自転車や歩いて通るための道幅が狭い。車の利用者が便利な環境だと思った。人の通りもほとんどなかった。
　

電柱があると白線内に入らざるをえない

また大口駅東口バス停の時刻表を確認したところ、平日6本、土日休日は2時間おきの5本とあまり多くない。
　

平日の最終は午後4時40分。午後5時が定時のお仕事でも間に合わない

駅前にはピアゴにLIFEと駐車場が整備されている規模の大きなスーパーマーケットが2軒もあり、いなげやまで行く必要はないのかもしれない。

閉店の理由は？　跡地はどうなる？

では、いなげや撤退の理由の真相は何だろう。株式会社いなげやに問い合わせたところ、広報担当の奥田さんが丁寧に対応してくださった。

「契約期間の満了というタイミングもあり、営業の都合上閉店することになりました。」と、答えてくださった。閉店セールについては、「水曜日と土曜日のチラシで他店とは違う内容の単独特売セールのお知らせをしています」とのこと。
　

こちらは取材時の店前掲示板に貼られていたチラシ（表）

そのほか、いなげやは、消防訓練や社会科見学、職場体験なども積極的に行い近隣の住民の方との交流もしていた。閉店が決まった後は、小さいお子さんから、「ありがとう」の手紙をもらったりしたそうだ。

最後に、「ご愛顧いただいたお客様には申し訳ない」ととても寂しそうに語る奥田さんの声が印象的だった。

なお、跡地については、同施設の運営元である大和情報サービス株式会社のカギツカさんに伺ったところ、『オーケー株式会社と契約が先日締結し、「オーケーストア」が入ることになりました。オープンの予定日は2016年12月上旬を予定しています』とのことだ。

取材を終えて

新しい街に住む時、スーパーマーケットの有無を必須条件に入れる人も少なくないだろう。

アクロスプラザの周辺にはいくつもスーパーマーケットがあり、閉店してもさほど困らないかと思っていたが、利用者によっては少しの期間でもなくなるということは少なからず生活に影響してくるだろう。

いなげやの回答では「オーケーストア」のオープン日時は「予定」とのことだったので、遅れることなく完成してほしいと思った。

　
ー終わりー