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東京オリンピックで江の島が変わる!? 交通手段の3つの改革とは?【後編】

東京オリンピックで江の島が変わる!? 交通手段の3つの改革とは?【後編】

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江の島のオリンピックに向けての取り組みは?/江の島大橋の拡幅工事で車線が増えたそうです/バリアフリー化に地元の人たちが腰を上げました(ハムエッグさん、八景のカズさん、マッサンさん)

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東京オリンピックを契機に「江の島大橋の車線拡張」「江の島頂上へのバリアフリー化計画」が進行中。改善点はあるものの、安全かつスムーズに多くの人が利用できるよう取り組みが進められている

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ライター:星野 憲由

江の島バリアフリー計画の今を直撃



続いて、江の島のバリアフリー計画について伺うべく、藤沢市役所の観光プロモーション課を訪ねた。

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
藤沢市役所には、江の島でのオリンピック開催を発信するコーナーが設置
 

お話を伺うにあたって、地域の環境整備なのに、なぜ観光プロモーション課の担当になるのだろうと疑問を感じた。
まずは、その疑問を、藤沢市経済部観光シティプロモーション課の木村嘉文(きむら・よしふみ)さんに尋ねることにした。

木村さんは、観光シティプロモーション課が担当することについて、「江の島は特殊な場所で、島が丸ごと県指定史跡および名勝に指定されているほか、県指定文化財や市指定文化財がいたるとこにあり、今の形を維持することが法律で守られています。つまりインフラとして便利になるからと道路工事ひとつするのにも、史跡指定された場所は勝手に工事はできないので、法律の許される範囲で調整しなければなりません。加えて、ほとんどが江島神社の私有地のため、様々な話し合いも必要になってきます。複雑な事情もあり、藤沢市としてどこの部署が担当すべきか検討され、民間との交渉の経験が豊富な観光プロモーション課に白羽の矢が立ったんです」と、江の島が特殊な場所ゆえ担当していると話してくれた。

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
五輪開催を盛り上げるポロシャツ姿の木村さん
 

では、このバリアフリー化計画はいつ頃から始まったのか伺うと、
「かねてよりバリアフリー化を望む声はあったのですが、2015(平成27)年に『江の島バリアフリーを作る会』から要望書が提出されたことと、2016(平成28)年に『障害者差別解消法』の成立で、大きく動き出すことになりました。そして江の島での東京オリンピック開催も大きな後押しになっています」という。

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
江の島は、まさに急な坂道と階段の集合体で身体障害者には厳しい
 

 
 

設備を設置しないバリアフリーを推進



それでも複雑な法規制の中では、現実的にバリアフリー工事をするのは難しいのではないだろうか。そこで、現時点で、どのようなプランが進んでいるのか伺った。

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
江の島を取り巻く法規制
 

「制限が多いので、その中でハードとソフトの両面から取り組みを進めています。ハード面ではロープウェイや車椅子対応の下りエスカーなども検討されました。しかし、ロープウェイは景観等の問題で実施には課題が多く、エスカーも車椅子対応のエスカレーターメーカーが製造を中止しているなどで実施が困難になりました。そこで現在進行している取り組みとして、時期は未定ですが、エスカーがなく階段昇降が険しい、かながわの景勝50選にも選ばれた稚児ヶ淵エリアに、新たにエスカーなどの設置を検討しています」

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
江の島のエスカーとはエスカレーターのこと
 

ソフト面でのバリアフリー化とは、どんな取り組みになるのだろうか。
「それは設備を設置しないバリアフリー化です。設置がなければ、景観を変えないので法規制に縛られる必要はありません。すでに実施しているものとして、社会奉仕活動団体の藤沢湘南ライオンズクラブさんが、年に1回、車椅子利用者を車に乗せて、サービス介助士のボランティアと一緒に江の島山頂のサムエルコッキング苑に招待する『車いす利用者江の島見学会』というイベントを主催しています。市は、このイベントに提携させてもらい、ノウハウの共有などを行っています」

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
サムエルコッキング苑
 

「また新しい取り組みとして、NPO法人湘南ウォーターセーフティ協会による江の島バリアフリー化に向けた『江の島強力(ごうりき)プロジェクト』とも提携を進めています。強力とは、昔、山の頂上へ荷物を運ぶ運び屋のことで、背中に背負子(しょいこ、運搬具)を背負って、荷物を届けた人のことです。これを荷物ではなく、人を背負って、江の島を観光していただこうというものです」

バリアフリーというとハード的なイメージが浮かぶが、この法律に縛られた江の島では、そう簡単に進められるものでもなさそうだ。となればハードでのバリアフリーはじっくりと取り組み、まずはソフト的な取り組みから推進するのは必然だろう。しかし、この「強力」という取り組みは、レトロではあるが、エコロジーでとても興味深い。しかも江の島のレガシーや観光資源になる可能性もあり、全国の観光地のバリアフリー化への新しい提案になりそうだ。
 
 
 

取材を終えて


 
もともと江の島は人気観光地だったが、今回、江の島を訪れてみると、予想以上に訪日外国人が溢れていた。アニメ『スラムダンク』などの聖地として江ノ電に訪日観光客が押し寄せていると聞いていたが、江の島までとは思わなかった。それだけ江の島は海外からも注目されているということだろう。

オリンピックの会場ともなれば、多くの訪日外国人が訪れることになるだろう。それは同時に、国籍も年齢も言語も障害も関係なく様々な人がやってくることになる。それを受け入れるべく、3つの方法で江の島は変わろうとしている。

 
江の島大橋拡張工事とバリアフリー計画
江の島革新の夜明けは近い
 

 
-終わり-


取材協力
神奈川県県土整備局河川下水道部砂防海岸課
電話/045-210-1111(代表)
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/jy2/index.html

藤沢市経済部 観光シティプロモーション課
電話/0466-50-3531
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kankou/

※情報は取材当時のものです

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