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川崎市中原区にある常楽寺が別名「まんが寺」と呼ばれている由縁は?

ココがキニナル!

等々力緑地の近くに「まんが寺」っていう変な名前のお寺があるって聞きました。「マンガ喫茶」みたいなお寺なんですかね?

はまれぽ調査結果!

別名「まんが寺」と呼ばれる常楽寺。その内部は時代を写した風刺漫画が本堂を埋め尽くす異質な空間だった。

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ライター:はまれぽ編集部

「まんが寺」誕生のいきさつとは?



まんが寺の様相は何となく把握できた。そこで、より詳細な話を聞こうと住職にインタビューを試みるも「特に話すことはないので、これ見て書いて」と寺の由緒が記された資料を渡される。
 


常楽寺の長い歴史が記されている


頂戴した資料によると、常楽寺の創建は今から1000年ほど前とかなり古く、現在の本堂は江戸時代中期、元禄頃に建てられたとある。1967(昭和42年2月には本堂の解体修復工事が行われ、1968(昭和43)年8月に竣工したと記されている。

この解体修復工事の際、大の漫画好きだった当時の住職・土岐秀宥(ときしゅうゆう)さんのために、交流の深かった漫画家たちが自分の描いた作品を持参。最終的には400人を超える漫画家から2000点以上が集まった。このことに喜んだ住職がお寺に「まんが寺」という愛称を付けたのだという。
 


故・土岐秀宥住職の銅像


中には故・手塚治虫氏や日本漫画の始祖と呼ばれる北沢楽天の作品もあるというから、先代住職の人脈がいかほどだったか想像もつきやすい。
 


漫画家から送られた年賀状が襖一面に
 

お笑いマンガ道場で有名な富永一朗氏の作品も
 

「のらくろ」の作者、田河水泡氏からの直筆書


先ほどはインタビューを断られてしまったが、現住職に「年間どれくらいの方がお見えになるのですか?」と再度聞いてみると「正確な数はわからないね。昔はツアー客も来てたみたいだけど」との答えが。その後もぽつりぽつりではあるが、質問に答えてくれた。
 


少しではあるが話を聞かせてくれた現住職


先代の住職が亡くなったのは今から15年前。現住職は宗派が同じお寺から10年ほど前にここへ移ってきたのだという。

「先代がどのような意図でこういったお寺を作り上げたかはわからない。漫画を目的に訪問する方を拒むつもりはないが、私の仕事はあくまでも住職として寺本来の業務にあたること」と住職。先ほど詳しい話をすることを断ったのも「常楽寺」ではなく「まんが寺」に対しては自分の意思がまったく介在していないからとのこと。

取材の終わり際、「大事に大事に今の状態を守っていくというつもりはない。ただ先代が残した今の『まんが寺』を粗末にするつもりも毛頭ありません」と、その複雑な胸の内を明かしてくれた。



取材を終えて



実はこの常楽寺。川崎市で唯一「市重要史跡」にも指定されている由緒正しきお寺。
 


常楽寺薬師堂


当然檀家の数も多く、様々な行事のため住職が寺を空けることも多いという。そのため見学したい場合には必ず事前の予約が必要とのこと。「見たいという人がいれば拒む理由はありません」と住職。

歴史的価値のある作品も多数あり、確かにマニアにはたまらないスポットだろう。見学の際には是非ルールを守りながら、その歴史に触れてみてほしい。


―終わり―


住所/神奈川県川崎市中原区宮内4丁目12−14
電話/044-766-5068
 

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