あのころのリキシャルーム

ハリー・コルベット氏、かよ子さん夫妻（かよ子さん20歳のころ）　（C）Ricksha Room
　

リキシャルーム旧店舗終盤のころの青いネオン　（C）Ricksha Room
　

2階の壁にも人力車が描かれていた　（C）Ricksha Room
　

1962(昭和37)年ころのカウンター　（C）Ricksha Room

2002（平成14）年に旧店舗は取り壊され一旦閉店したが、翌年、以前とほぼ同じ場所に新築されたマンションの半地下に新店舗を開店した。
　

新リキシャルーム

新リキシャルームの店中には、旧リキシャルームの写真やハリーさんとかよ子さんの写真などを飾り、昔を懐かしんでもらえるようにしたという。テラスのある明るい店にはなったものの、カウンターには、ハリーさんが好きだったブルーのライトを残した。
　

リキシャルームの青いネオンはそのままだった（写真提供：浜田信郎）
　

カウンターには旧店舗と同じブルーのライトが残された（写真提供：浜田信郎）

上の3枚の写真を提供してくださった会社員の浜田信郎さんは、自身のブログで新リキシャルームを紹介している。
2006年、「本牧のアメリカ閉店へ」との見出しで新聞記事が載った。かよ子さんが高齢を理由に同年8月末をもって閉店するという内容だ。長い歴史のあるリキシャルームを懐かしみ、閉店を惜しむ声が絶えなかったという。
　

飯田かよ子さんがカウンターに佇む様子を伝える当時の新聞

閉店から半年ほど経ったころ、多くのお客様からの希望もあり、かよ子さんは娘さん達の助けを借りながらその年の12月に再オープン。以前より時間を短縮しながらも店を継続したが、やはり年齢的な衰えを感じるようになり、2009（平成21）年には閉店したという。

すでに客足は遠のき、一時代を築いた“本牧”は終わりを告げていた。

その後、リキシャルームの店舗は、別の飲食店に代わったが、今は空き店舗となっている。

「リキシャルームのコンセプトはおもしろいと思うし、レシピも残っているので、引き継いでくださる方がいればやってほしいと思っています」とメリーさん、エヴリンさんは、リキシャルームの今後に期待を寄せる。
　

リキシャルーム跡地の現在
　

リキシャルームの新店舗が入っていたマンション

1982（昭和57）年の接収解除後、米軍住宅跡地には複合商業施設マイカル本牧が建設されたが、バブル崩壊後の不景気や交通の便の悪さを背景に解体され、今ではマンションが建ち並んでいる。
　

米軍住宅の跡地に今、その面影はない
　

現在、60～70年代伝説の本牧通りをのぞむ

全く違う街に変貌し、今や穏やかな住宅街となった本牧を“伝説”の時代を知る人たちはどんな気持ちで眺めるのだろう。

取材を終えて

当時の面影を残す数少ない店「ゴールデンカップ」

―終わり―

　　
参考文献
季刊誌「横濱」12号:2006年春号「伝説の町 本牧」（神奈川新聞社）
朝日新聞（夕刊）2006年8月29日
「ブルーライトヨコハマ」3amigos family studio著（徳間文庫）
「横浜タイムトリップガイド」横浜タイムトリップガイド制作委員会・編（講談社）
ハマの暮らしの年代記「横浜クロニクル」（横浜信用金庫）