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「長津田」は「ながつた」、それとも「ながつだ」?

ココがキニナル!

「長津田」の読みは、「ながつた」「ながつだ」どっちが正しい?駅員や車掌も人によって読み方が違うし、歴史的にはどうなのか・実際に住んでる人や駅利用者はどう思ってるのか気になる(ここからスタート!さん)

はまれぽ調査結果!

1939年以来正式な町名は「ながつた」。さらに北斎作品から江戸時代も「た」だったと判明するも行政や鉄道の受付は「だ」、住民も3割が「だ」と回答

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ライター:永田 ミナミ

しかしDで呼ぶ人は存在する



歴史的に見ると「長津田」はTということになるが、Dで言う人は確実にいる。そこで書を捨てて長津田駅に向かった。ちなみに田園都市線もJR横浜線も車内アナウンスはTだった。
  

JR横浜線、車内アナウンスの「T」がこちら
 

田園都市線の駅係員に「ここの駅名は」と聞いてみると「ながつたー」とTを強調した回答。

JR横浜線の駅係員にも「ここの駅名は」と聞いてみると第一声はDのようにも聞こえたが、再度確認するとTと回答があった。やはり呼び方には揺れがあるようだ。

 


長津田駅前で聞き込む前に、旧大山街道を歩いてみた
 


現地に来るまでは「正しくはTでもDで呼ぶ人が多い」という結果になるのではないかと思っていたが、歩くうちに考えが変わった。
 


アルファベットや仮名はどれもT。この街で暮らすと自然にTになる気がした
 


うっかりDなのはこのバス停くらいで、あとは信号も標識も看板もTだった
 

そして長津田駅前で「長津田を何て読みますか」と21人に聞いてみると、Tは14人でDが7人。やはりTが多かった。とはいえD派も少なからずいる。
 


小学校のとき引っ越してすぐはDだと思ってた、というTの高校生
 

引っ越してきたあと周囲にTと言われてTとなり、今は高校の友達がDと言っているのを聞くと違和感があるという。
 


こちらは本当はTだと知っているがDと言っている中島さん20歳。家族もD派
 

「どっちでも好きなほうで読んでいいんじゃないかな」と爽やかな笑顔で答えてくれた中島さんはバイクで颯爽と去っていった。

そのほかD派には「ふだんはDで言うほうがしっくりくるが、ちゃんと住所を説明する場合はTで言っているかも。ただ、実際には町名の長津田みなみ台を省略して「みなみ台」ということが多いから長津田を口にすることがあまりない。どっちでもいいね(笑)」とうなずく女性2人(30代居住10年以上)も。また、この日仕事で初めて長津田に来たという都内在住の女性もDであった。

一方、T派の声には次のようなものがあった。
 


どれも興味深い話である
 


面白いポスターの存在を知らせてくれた好青年に感謝
 

このほか「Tのほうが言いやすい」と声をそろえる4月から高校生の15歳5人組は、うち2人が「正式にはDでしょ」と言うので正式にはTだと話すと驚いていた。
比較するために関内と都内でも聞いてみた。

関内では11人中Dが8人(内、愛知・大阪在住各1人を含む)でTは0人。残りの3人は「ながった(14歳女性関内付近在住)」「ちょうつでん(20歳男性金沢八景在住)」「おっしゃった(20歳男性六浦在住)」という深読み回答であった。

都内で聞いてみると14人中Tが5人、Dが9人であった。Tからは「部活の試合で行ったことあるから知ってた(15歳女性目黒区在住)」「それ以外どう読むの? Dは言いにくい(15歳女性目黒区)」といった声も聞けた。

結果として長津田駅前はT率67%だったのに対し、都内はD率64%、関内は深読みを除くと100%D。やはり長津田外部ではDのほうが多数派となった。



全国の「津田」事情



この結果には「津田梅子」のような人名や「津田沼」といったほかの地名が影響しているのかもしれない。そこで「地名辞典オンライン」で全国の「津田」を含む地名を探してみたのが以下の表である。Tは黄色、Dは白、「づた」と読む町は緑色である。
 


表1 *クリックで拡大
 


表2 クリックで拡大
 

全国に「津田」が入った町名は68。「上下や東西南北」などがついた、もとは同じ町名と思われるものもあるがそれはTとDどちらにもあるのでそのまま数えると、Dが50でTが18。約74%がDで発音されることが分かった。

こうしたD率の高さが長津田の外におけるD率の高さに比例しているのかもしれない。

というわけで歴史的にはT、統計的には長津田周辺ではT、しかし域外ではDが多数派となる傾向が明らかになったといえるだろう。



取材を終えて



図書館で資料を探していたら、地名事典がいろいろあったので引いてみた。

すると『コンサイス日本地名事典』はTだったが『日本歴史地名大系』『大日本地名辞書』『日本地図地名事典』ではDとなっていた。『コンサイス』は2007年発行なので、情報社会の発達によって公式の呼称が普及したのかもしれない。
 


『日本歴史地名大系』には「津田郷」という記述もあった *クリックで拡大
 

それから、関内での深読み回答にあった「ながった」だが「ながつた」に促音便が起こって「ながった」となるのは不思議じゃない。案外そんな時代もあったかもしれないと思ったりもした。

何はともあれ、葛飾北斎に感謝である。


―終わり―
 
参考資料
『横浜の町名』横浜市市民局総務部住居表示編/横浜市市民局総務部住居表示/1996
『大日本地誌大系10 新編武蔵風土記稿第4巻』蘆田伊人編/雄山閣発行/1996
『横浜・緑区 歴史の舞台を歩く』相沢雅雄著/昭和書院/1991
『緑地名案内』相沢雅雄編・発行/2003
『わが町の昔と今 第6巻緑区編』岩田忠利著/2003
『長津田歴史探訪マップ』長津田宿の歴史を活かしたまちづくり研究会・横浜緑市役所区政推進課企画調整係編・発行/2006
『JR横浜線・根岸線 街と駅の1世紀』生田誠著/彩流社/2014
『てんてん─日本語究極の謎に迫る』山口謠司著/角川学芸出版/2012
『国語表現と音韻現象』遠藤邦基著/新典社/1989
『字典かな─出典明記─改訂版』笠間影印叢刊刊行会編/笠間書院/1972
『コンサイス日本地名事典〈第5版〉』三省堂編修所編・谷岡武雄監修/三省堂/2007
『日本歴史地名大系第14巻 神奈川県の地名』下中邦彦編/平凡社/1984
『増補 大日本地名辞書 坂東』吉田東伍著/冨山房/1903
『日本地図地名事典』三省堂編修所編/三省堂1991
 

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  • 町田市にある野津田も"のづた"と読みますね。

  • 大変おもしろい記事でした、読んでるうちに思い出しましたが小学生の頃、校歌の歌詞だったと思いますがDじゃなくTだと…そう教えられた気がします、必然的にここの卒業生はTがあたりまえになりますね。私自信、地元長津田で商売しております、これからお客様との会話の中でそれとなく調査してみたいと思います。

  • 「ながつた」だと認識はしていますが、職場や家庭では「ながつだ」と発音しています。間違いというよりも、使い分けのような感覚でしょうか。

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