三ッ沢公園近く、放置された「立ち入り禁止」の巨大鉄橋の正体は?
ココがキニナル!
三ッ沢公園周回道路南側、陸上競技場南側トラック出入り口の裏谷の谷にかかる作りかけのような廃墟のような巨大な陸橋が気になります。近所の人によると宅地造成のためにかけられ放置されているとか(三ッ沢さん)
はまれぽ調査結果!
新興住宅地建設の工事車両のために業者が設置した橋。2001年に橋を道路にする予定になったが、反対意見のため工事は未定、橋は放置されている。
ライター:小方 サダオ
橋の周辺の住民は?
続いて、三ツ沢公園と新興住宅地の間、橋の周辺住民に話を伺うことにした。
回覧板を運んでいた女性に伺うと「あの橋は17年ほど前からあります。あの住宅地ができる前はあそこは山で、住宅地になる話が来たとき、古くからの住人が大勢反対しました」とコメントしてくれた。
住宅地ができる前は山だったという
前出図“新旧の住宅がある場所(緑枠)”内の、橋の近くで比較的新しい家に住む中年男性に伺うと「10数年前、このあたりが数軒まとめて分譲・新築されたときには、この臨時の橋はありました。そこで市や不動産会社に聞くと、正規の橋の建設に関しては『白紙の状態で工事の計画はありません』とのことでした。そこでここに橋は架からないものと思っていたら、入居後『橋を作る』と言ってきたのです」
「市との話し合いに3~4回参加し、『橋を作るならば家の近くから離して作ってほしい』と要望を出しましたが、平行線で進展はありません。しかしこの街には賛成派の人たちもいますので、住人たちが賛成と反対で分裂してしまう状況になる可能性もあり、対立してほしくないです」とのことだった。
橋の建設に反対する住民もいる(コメントの人とは関係ありません)
また古くから住む住人に伺うと「月に1回定例会があり、町内会の人が参加しています。もともとこの橋は作られる予定だったのですが、なかなか市が建設を許可しなかったため、住宅地の業者側が臨時的に作った橋なのです。近くの住民は将来的に橋が出来た際、車が通るたびにガタガタ音がなる橋は嫌だ、といっています」
予定されていた橋の建設に時間がかかっていたので業者側が臨時に作ったという
続いて近くに住む若い女性に伺うと「橋の付近に住む昔の人は、20年ほど前、市は『道路は出来ない。仮設の橋なので撤去する』と言っていたそうです。そこで住民が了承しところ、あとから『道路を建設します』と言ってきたのです。そこで『話しが違う』ということになったそうです」
「新興住宅地の人たちは『道路が出来る』という前提条件で家を買ったそうですが、最初の市の態度があいまいだったため、このようなことになったといえそうです」
橋と距離が近い家もある(コメントの人とは関係ありません)
「以前子どもが橋の上に入り込んだこともあり、危険といえます。また橋の錆が風で舞うので、困っています」という。
立ち入り禁止の橋に子どもが入り込んだことがあったという
さらに近くに住む若い男性に伺うと「最初は『住宅地建設のための仮橋のため撤去する』と言っていましたが、住宅地が完成しても撤去はされず、『道路を建設する』方向で話が進んでいます。将来的には防音壁を設置した橋の形になるようです」
「それよりもまずは約束通り、この錆びた古い橋を撤去してほしいです。地震などで倒れたら市は責任を取ってくれるのでしょうか?」との意見があった。
錆びついた古い橋
最後に橋から離れた場所に古くから住む中年女性に伺うと「あそこは道路になるとは聞いていませんし、もしそうならば反対します。1年ほど前に橋を撤去してほしい、という署名を送りました」と答えてくれた。
新興住宅地の人たちにとっては橋の建設は必要性があり、周辺住民は橋の近くに住んでいない人からでも反対意見があった。 橋の周りの人たちは老朽化した橋の存在が心配で、それ以外の場所に住む人でも、古い住人の中には新興住宅地建設に反対していた人もいて、その住宅地のために作られたので、市道のような形になることに賛成できないのかもしれない。
道路局に話を伺う
最後に道路局建設部橋梁課の大平昭典(おおひら・あきのり)さんに、橋である道路について伺うと「宅地造成時に開発業者が設置した仮設道路は1998(平成10)年からあると聞いております。2000(平成12)年に鎌谷町自治会から市長あてに陳情書をいただいており、鎌谷町から三ツ沢公園外周道路に通じる仮設道路を公道として整備していただきたいとの内容です。このような陳情も踏まえ、市では2001(平成13)年6月に道路整備を実施する方針を決定しております」
道路整備を行う方針という
また、20年ほど前に市が「道路はできない」と説明したということについて伺うと「道路整備の有無についてのお問い合わせが、いつ、どちらの部署に対したものか分かりかねますが、橋梁課では、道路整備の計画がない旨のお話はしておりません」とのことだった。
投稿の橋がある鎌谷町
今後の道路整備予定については「市では、今回の道路整備の件について、これまで住民の方々へ何度かご説明しています。しかし、鎌谷町自治会の中にはご理解を示していない方もいるという状況にあり、今後の工事予定については未定です」と答えてくれた。
地元住民の理解を得てから工事に着手するという
さらに、道路建設の予算は取ってあるのか伺うと「事業に対する地元の方々のご理解が得られた後、工事が進められるよう対応する予定です」という。
また“新興住宅地は橋がないと災害時は危険な地域になっている”ことに関する認識の有無について伺うと「住宅密集市街地のため、狭(きょう)あい道路や階段、袋小路が多く、交通困難な地域と認識しております。また、地元町内会からも要望が寄せられたことから、道路整備を実施する方針を決定しております」とコメントしてくれた。
ただ、整備方針の決定にもかかわらず、整備できない理由については「地元の方々のご理解を得た上で、整備を進めたいと考えております」ということだった。
現状の橋の危険性について伺うと「そのまま放置しておくと、劣化・腐食などの現象が起こると思うが、現段階では目視で確認しており、そういった状況は見られません。そのため、現在の状況は、危険な状態ではないと認識しています」とのこと。
山の上に開発された「サンクタス横濱三ツ沢公園」
また、開発する際は、道路建設の予定だったのか伺うと「開発に伴い、橋梁課で道路整備を行う予定はありませんでした」という。
反対意見があるため工事予定は未定
最後に、オリックス不動産株式会社の担当者に投稿の橋に関して伺うと「古い話で資料などなく、確かなことは分かりません」とコメントをくれた。
取材を終えて
市では2001(平成13)年に自治会からの陳情書を受けて道路整備を決定したという。しかし、そもそも住宅地建設の時点で必要性があったわけだから、その時に橋を道路として整備しておけば、臨時の橋を長い間放置する状態にはならなかったのではないだろうか。
長期間立ちつづける「臨時の橋」
―終わり―
ysk35さん
2022年07月17日 09時55分
「市道三ツ沢第398号線道路」として建設が始まりましたね。①398号線が認定され、391号線の計画が廃止されました(下記PDFのP8参照)https://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/katsudo/r3/R03kentodou.files/r3-3t-sig028.pdf
はま娘さん
2016年07月29日 22時44分
地域住民のものです。この橋が何十年も出来なくてとても不便しています。うちには高齢の母がいるのですが、近くにある病院へ行く場合、徒歩で使える迂回路は長く急な坂道なため、高齢の足ではとても登れません。仕方なく車で通院もするにも、橋がないことで遠回りをして何倍も時間をかけて通う必要があります。橋の目の前に住んでいる反対派住民は、市としての建設計画が決定後に移り住んできたにも関わらず「自宅の目の前への建設は反対。ただし別の場所への建設は認める」と。後出しじゃんけんにも程があります。今回の記事で、少しでも事態が動くことを切に願います。もう問題の先送りも、うんざりです。
NKD45さん
2016年06月19日 22時40分
橋の下の住民にとっては何のメリットも無く、新興住宅地の住民の中でも賛成派と反対派に別れる。総合的には防災のため橋を建設した方が良いのだろうが、住民のエゴむき出しで話が進まないだろうから、このまま放置状態が続くと思う。