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鎌倉に残る西洋館「長谷子ども会館」が閉館! 今後建物はどうなるの?

ココがキニナル!

2018(平成30)年4月で閉館した長谷子ども会館。閉館理由や建物の今後は?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

耐震性の問題で閉館するが、明治の希少な洋館建築として、保存を前提に工事が進められる見込み

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ライター:はまれぽ編集部

築110年の西洋館

鎌倉市長谷にある市の施設「長谷子ども会館」が、2018(平成30)年4月28日をもって閉館した。

実はこの建物は「旧諸戸邸(きゅうもろとてい)」とも呼ばれ、もとは明治時代に建てられた、現存する数少ない洋館建築でもある。
 


長谷の閑静な住宅地の一角にある

 
建物は1908(明治41)年に、株式の仲買いで財をなした福島浪蔵(ふくしま・なみぞう)氏の別邸として建てられた。1921(大正10)年に三重県桑名市の富豪、二代目諸戸清六(もろと・せいろく)氏の所有となり、以後諸戸家の鎌倉での別邸として使われた。設計者は不明だが、当時は現存する洋館部に加え、和風の住居部も備えた邸宅だったようだ。
 


洋館側面の様子。関東大震災にも耐えた数少ない建物

 
その後1980(昭和55)年に諸戸家から鎌倉市に譲渡され、以後長谷子ども会館として、子ども向けのイベントなどに使用されてきた。

建物は木造二階建て。バルコニーを設けたギリシャ風のスタイルが特徴的で、柱やドアまわりには見事な装飾がほどこされて、華麗さを醸し出している。
 


正面玄関の様子

 


柱や入口上部など、いたるところに装飾がなされ見どころは多い

 


側面の窓の造形はいかにも西洋館といった風情

 
明治から昭和初期にかけて、保養地として上流階級に人気の土地だった鎌倉。旧華頂宮邸(きゅうかちょうのみやてい)や、今は鎌倉文学館となっている旧前田候爵邸などの洋風建築が現存しているが、この長谷こども会館はその中でも最古の歴史を持ち、建築様式もほかに類を見ない希少なものだ。

しかし、2017(平成29)年には台風の被害を受け、2018年1月に行われた耐震診断で、「大規模地震で倒壊、崩落する危険性が高い」と診断されたことから、鎌倉市は児童の安全に配慮して閉館を決めたという。
 
 
 
解体されてしまうのか
 
耐震性が脆弱であるがゆえの閉館ということで、今後解体されるのか否かについて鎌倉市に伺ったところ、「解体はせず、建物は保存していく方針です」との回答をいただいた。

建物は国の登録有形文化財かつ鎌倉市の景観重要建築物に指定されており、文化財としての価値が高いという。まだ具体的な工事計画やどんな施設にするかはこれから協議していく段階だが、引き続き鎌倉の名建築として活用していく方針だそうだ。
 


今後、保存のための取り組みがなされる

 
これまでは子どものための施設ということで、観光客の内部見学などはできなかったが、耐震補強がなされて安全性が確保されれば、明治時代の洋館建築をより詳しく見て学べる施設になるかもしれない。
 


老朽化して読みづらい解説板。建物に合わせてリニューアルされるといいが

 
 
―終わり―
 
 

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  • 長谷の隣町に住んでいました。最後に出てきた解説板がまだ綺麗だったころ小学生で、学校帰りによく遊びに来ていました。たしか入口から廊下をはさんで通りに面した側が洋館建築の残っている棟で、山側が増築した木造棟(プレイルーム)でした。私は静かに遊ぶのが好きな変わった子供だったので洋館側で遊ぶことが多く、ギリシア風の太い大黒柱や暖炉(おもちゃ置き場にされていましたが…)をよく憶えています。タイル張りの床も他の自治会館等とはまったく違い、子供心にこんな立派な建物をどうして保存しないのかな?とは思っていました。耐震性の問題とは聞いていましたが、この界隈は住宅地としての需要も高いので、安易に解体売却されないかと心配していました。幼い頃の思い出の場所が、しっかり保存され観光客の方々にも内部を見てもらえるようになればうれしいです。

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