逗子にある京急初代快速特急「デハ601号」の今後は?
ココがキニナル!
京急本社移転にあわせてデハ230形の復元が展示に向けて進んでいますが、逗子にある初代快速特急車デハ601号を復元して一緒に展示してほしい。京急に聞いてみて!(すかたんさん)
はまれぽ調査結果!
京急によるとデハ230形以外の展示は考えていない。現在「デハ601保存会」によって定期的に車内の清掃活動などを行っており、修繕の予定はない
ライター:はまれぽ編集部
創立120周年の記念事業のメインとして「京急グループ本社ビル」が2019年秋、みなとみらい地区に移転してくる。なんでもビル1階にはこれまで活躍してきた車両や、運転体験ができるシミュレーターなど、京急マニアにはたまらないミュージアムまで併設されるのだそう。
着々と建設中の京急本社新社屋
駅名看板を「京急かぁまたたたたーっ駅」に変えてしまった「北斗の拳35周年×京急120周年記念キャンペーン」など、いつもぶっ飛んだ企画でファンの心をわしづかみにしてくれる京急大好き・はまれぽ的にもこれはウキウキ・ワクワク。
そして、すかんたんさんの「キニナル」投稿にも興味津々。
京急本社のミュージアムに飾ってほしいと願わせてしまうデハ601とはどんな車両?
まずはデハ601に会いに行ってみた!
JR東逗子駅にある第一運動公園へ
JR東逗子駅からバスに揺られて約5分、逗子警察署停留所から徒歩5分ほど。
JR横須賀線の踏切を越えたらすぐ見えてくる公園
ここが第一運動公園。道路越しに見えるのはまさに京急電鉄のシンボル、赤いボディに白いラインの車両!
緑の木陰からチラリとこちらを見ているかのよう
あの方が、デハ601号なのだろうか? さっそく駆け寄ってみる。
今も乗客を待っているようなお尻
デハ600形との感動の再会!
あれっ? この子知ってる?
そう、はるか昔、おばあちゃんと一緒に揺られ、そして親戚を訪ねて三浦海岸に海水浴に行くために何度も乗車し、揺られたあの子である。
お恥ずかしながら、はまれぽ編集部吉田おばはんは、ばりっばりのアラフィフである! しかし、おばはんにだってかわいい、かわいい子どものころはあったのだ。この子は、その頃のおばはん吉田を知っているのである。
あああ・・・なんだろう。この胸を高ぶらせる初恋の人との再会のような切なさは(うるせーよ<笑>)!
幼き頃に散々お世話になったのは600形だったのだ!
そう、この子こそ、京浜急行電鉄から1956(昭和31)年にデビューした600形(当初は700形)のデハ601号。懐かしいわけである。引退の1984(昭和59)年というから、 アラフィフ吉田、まさに利用していた時期がドンピシャ。
三浦海岸や三崎口が近付くと、もうすぐ海が近いことを感じさせてくれた大きな窓。これは今の京急の車両にはない、当時ならではの作りだ。
先頭車両の正面を、顔に見立ててしまうことはないだろうか? 正面2枚の窓は、作られた当時、とても流行った車両のデザインだったのだが、そのせいか、とても大きなくりくりおめめに見えてしまう。
なんてかわいいの!
大きな瞳に見つめられているような正面ビュー
当時の名残りがそのまま残る車内へ!
午前9時から午後4時までは、車内に入れるというので、早速入ってみる。
まだ窓が手動で開けられたあの頃のまま
なんだか泣ける。当時は窓を手動で開けることって普通だったよなあ。
おそらく引退直前に飾られた中刷り広告
ヨーグルトと言えばブルガリアだと刷り込みがあるのは、このポスターのせいだったのだ。
ちなみに左側の路線図は2016(平成28)年5月14日に「デハ601保存会」の皆さんが取り付けたレプリカ。ただし本物の当時の路線図のカラーコピーだそうで、大変貴重なもの。
そして今はおっさんの、かつての少年たちが憧れた運転席!
今はもう誰も座ることのない運転席
昭和の時代には卒業時に学校の校庭の木の下に、タイムカプセルを埋める風習があったものだ。何人の小学生が「電車の運転手になりたい!」と書いただろう。
いやいや、今は誰も運転することのないデハ601号だけれど、今も幼い少年たちがこの席に座って運転手を夢見ているかもしれない。今も静かに将来の運転手を育てているのかもしれない。
そんな想像とノスタルジーに浸れる。
出発進行~!
「デハ601保存会」の清掃と、逗子市の修繕で保たれる車両
雨風にさらされて一見放置されているように見えるが、住民の方などによると、実は「あれ? 塗装された!」と思うこともあるそう。
雨風の影響が随所に・・・
修繕や塗装は、逗子市の予算で不定期に行われているのでご安心あれ。とはいえ前回は2013(平成25)年度とのことなので、そろそろ塗り直してほしい気もしなくはない。
ところどころ繕われた座席
更に「デハ601保存会」なる市民の皆さんの集まりによって車内清掃が月に一度(毎月第二土曜日)に行われ、車内は清潔に保たれていた。
デハ601号を華々しい場所においてあげてほしい!
感動の再会に、お節介焼きのアラフィフは「ああ、デハ601号ちゃんを華々しい場所に飾ってあげてほしい!」と熱烈に思い、京急に鼻息荒く問い合わせてみた。
残念ながら現在、新社屋にはデハ230形以外の展示は考えていないとのこと。
誰もいないホームで静かに乗客を待っている
デハ601号がこの場所に連れてこられたのは、1984(昭和59)年7月27日。引退後、すぐである。これまでどれだけの月日が流れただろう。
すぐ隣を意気揚々と元気に横須賀線が通り抜けていくのを、羨ましそうに見つめているように感じたのは妄想かもしれないが、ぜひ一度、華やかな場所に展示してほしいデハ601号なのであった。
取材を終えて
第一運動公園という、子どもたちの集う場所にありながら、神奈川在住経験のあるアラフィフの心を郷愁でかき乱すデハ601号。
新しい京急本社に展示されなくても、その素朴な佇まいと、懐かしい雰囲気を感じに東逗子へ行ってみるのもいいだろう。
見学をする人が多ければ、きっと今後の展示も続いていくに違いない。
ー終わりー
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MXILEさん
2018年09月09日 11時56分
廃電車をこうしてキレイにオブジェとして維持して、なおかつ中にも入れるっていうのは素晴らしいです。
最近はバス廃車を置いた公園なども見なくなりましたしね。
京急LOVEさん
2018年08月31日 21時14分
ちなみに、出発進行~!って叫んでどこを押しても、この電車は走らないの知らない鉄オタコメントがあるのが残念。見に行ったことないんじゃね?「ここからスタート!」は、どこを触ったら動くのか見に行って、実際に動かしてくれ。こういう鉄オタがいちばんうぜー。取り上げてもらっただけでもこっちはうれしいけどね。
ここからスタート!さん
2018年08月31日 11時42分
赤い持ち手のついた紐を引っ張る写真に「出発進行~!」って素敵なキャプションがついてますが、その紐は車掌弁(非常ブレーキ弁)です。 引っ張ると非常ブレーキ掛かって電車止まります……。出発も進行もできないです……。 こんどでんしゃの作文をするときは、どれがどんなやくわりの道具なのか調べてみると、もっとすてきな作文になると思います。ぜひそうしてくださいね。