川崎市初の「地下駅」に一足早く潜入! 京急産業道路駅の地下化で何が変わるの?
ココがキニナル!
京急大師線の地下化事業の今後は?京急川崎~東門前間の地下化中止の詳細もキニナル!(ナチュラルマンさん/ユースケさん)
はまれぽ調査結果!
京急大師線全線の地下化事業は莫大な事業費用がかかるため事業を中止し、川崎大師駅から小島新田間の地下化事業は継続することに。その第1期計画である小島新田から東門前駅間の地下化が3月3日に完了する!
ライター:はまれぽ編集部
2016(平成28)年にお伝えした「京浜急行大師線の地下化事業の進捗状況」から約3年、ついに大師線の一部が地下化する。対象となるのは小島新田駅~東門前駅の延長約1.2km区間。それに伴って、川崎市初の地下駅「産業道路駅」が誕生する。2006(平成18)年2月に着手し、約13年かけて地下化を実現した。
車と鉄道が交差する光景はまさに「産業道路駅」の名を表していた
京急大師線の連続立体交差事業は、大師線全線をほぼ地下化することにより、東京大師横浜線(産業道路)をはじめとする計14ヶ所の踏切を除去し、道路交通の円滑化や踏切事故解消、地域の一体化を促進するために1993年度よりスタートした事業。
しかし、予算の関係で京急川崎駅~川崎大師駅までの延長約2.9kmを事業中止し、小島新田~川崎大師駅(鈴木町すり付け)間を1期①区間と②区間に分けて、段階的に整備することとなった。今後は東門前駅から川崎大師駅間(鈴木町すり付け)の地下化工事に着手予定。
1期①区間の事業費は約642億円(画像:川崎市資料/クリックして拡大)
産業道路駅は2019年3月2日の終電後に線路の切り替え工事を行い、3月3日より地下運行を開始。午前10時ごろに切り替え工事が終了し、道路上の遮断機や一時停止の道路標識など、踏切に関する設備が取り払われて立体交差が完了となる。レールなどは1日で取り外すことはできないため、順次対応していくそうだ。
同駅に隣接する産業道路第1踏切は、一日約2万5000台の車が通過する道路。今回の地下化で産業道路第1・第2踏切、東門前第3踏切の3ヶ所が除去されることで、渋滞の緩和や踏切事故の防止が見込まれるという。
産業道路第1第2踏切。これがなくなる!
東門前第3踏切も除去され、スムーズに通れるように
今回はまれぽは、倍率15倍以上の申し込みがあった京急大師線「地下トンネル開通イベント」に参加。一足早く地下に潜り、川崎市初の地下駅を見学してきたので、その様子をお伝えする。
行ってきます!
川崎市初の地下駅
地下ホームは、現在のホームから約13メートル下に新設。階段のほかにも改札階からエスカレーターやエレベーターが設置されていたので、ご年配の方や子ども連れでも安心して利用できそう。
階段も幅が広い
そしてこちらが地下ホームの様子。真上からは既存のレール上を走る大師線の音が聞こえ、まるで秘密基地のような空間。壁もレールも電車線もすべて新しく、とても美しい地下駅だ。
ホームの長さは約77メートルと短く、端から端まで見渡せる
上り方面へ向かう線路は暫定の工事桁となっており、緩やかな上り坂になっている。
東門前駅へ向かう線路
暫定工事桁の下には、将来的に地下化する東門前駅への直結軌道を先行して敷設し、1期②区間の地下切替時の軌道敷設を省略。地下化後も列車運行をスムーズに行えるよう工夫したという。
クリックして拡大(画像:川崎市資料)
下り方面の線路は緩やかなカーブを描いており、産業道路第1・第2踏切を越えて地上へ出る。
小島新田へ向かう線路
地下ホームには自然換気用の開口部を設置し、換気設備機器の削減も可能となった。
下り方面に近い天井部分に大きな開口部がある
鉄道の動脈でもある電車線(車両に電力を供給する架線)は、線路の切り替え工事後に順次「合成電車線」に変更していくという。地下化工事を行った上下線の電車線を同時に変更しなければならないため、切り替え工事と同時に行うことはできないそうだ。
当分の間、通常の電車線のみで運行する
合成電車線とは京急独自の架線方式で、通常のトロリー線(パンタグラフを通して給電する接触電線)上に補助トロリー線を縦に加え二重にした構造。2本のトロリー線を一体化し合成したもので、電気的および機械的な原因により断線する防止対策として考案された。
この架線方式による責任事故は30年以上0件!
ホームの壁には薄いグリーンをベースとしたガラスが埋め込まれており、要塞のような窮屈さは感じず、どこか清々しさも感じるデザイン。
京急電鉄の広報に確認すると、「地上にできる新駅舎が、ガラスを使ったデザインになる予定であり、地下のホームのデザインもそちらに合わせた形になります」とのこと。
短いホームながらも、計算されたレイアウトで窮屈さを感じないのが印象的だった。
見学に来た利用者の声
電車が大好きという4歳と5歳の兄弟は、お母さんと一緒に今回の見学会に参加。京急が大好きで、年末には鉄道BIG4を見に「京急鉄道フェア」にも行ったのだとか。
「昔、小島新田駅を利用していたこともあるので、大師線が地下を走ると思うと不思議な気持ちです。馴染みの駅の名前が変わってしまうのは少し寂しいですね」とお母さん。息子さんたちは、「すごく楽しい!」と真新しい地下駅を元気に走り回っていた。
京急大好き兄弟!
専門用語満載の鉄道話をしていた川崎市在住の親子にも感想をうかがう。
「ホームが短いこと、東門前駅までの暫定工事桁が印象的な地下駅です。川崎市がほとんどの事業費を出して取り組んでいることにも驚きました」とお父さん。
「とても綺麗な駅だと思います!」
ほかの参加者からも「綺麗な駅だね」という言葉が聞こえてきた。これからこの新しいレール上に京急車両が走ると思うとワクワクしてくるし、何十年か後には東門前駅と川崎大師駅も地下駅になると思うと不思議でならない。
取材を終えて
実際に産業道路駅前を歩いてみて、今回除去される踏切がなくなれば交通渋滞の緩和や地域住民の暮らしやすさの向上に繋がることを実感した。無事に切り替え工事が完了し、約13年の長い道のりが報われることを願いたい。
レールに躓いてしまったベビーカー
1月25日には京急電鉄より駅名変更の発表がされたばかり。産業道路駅は、2020年3月から「大師橋駅」へと変わるため、地下駅としての産業道路駅は約1年で終わりを告げることとなる。地域住民にとっては変化の多い1年になりそうだ。
この光景もあと1ヶ月で終わり
ー終わりー
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ナチュラルマンさん
2019年01月28日 15時03分
取材ありがとうございました。地下化されたら電気軌道時代の面影か減りますね。線路跡の一部は緑道になるといいなあ…と思っています。小島新田より先に線路が続いていたり、小島新田から味の素の工場引込線までレールが3本あった時代があったそうです。味の素の原料を国鉄?神奈川臨海鉄道?の貨物で京急大師線に乗り入れて運んだとか。そういった歴史のモニュメントも置いてくれたら嬉しいですね。
トロロさん
2019年01月28日 12時39分
バブル期に市営地下鉄の延長案から、みなとみらい線の延長を全て蹴っ飛ばしLRTの導入すらも首を縦に振らない本牧村民の反対派は、この記事を見てハンカチを噛んでいるのでしょうか?