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いぼに効く!?神奈川区神大寺にある「塩嘗(しおなめ)地蔵」って?

いぼに効く!?神奈川区神大寺にある「塩嘗(しおなめ)地蔵」って?

ココがキニナル!

神奈川区神大寺に塩嘗地蔵なる物があるそうです。詳しい事が解らないので調べてみてください!!!(ジー様さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

昔の八王子街道沿いに安置されており、足腰の不調やイボ、病気やケガの平癒に御利益があると言い伝えられている。

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ライター:はまれぽ編集部

神奈川区神大寺(かんだいじ)に「塩嘗地蔵(しおなめじぞう)」と呼ばれる地蔵尊があるという。塩を嘗めているお地蔵さんってことだろうか?
 


こんな感じ?

 
どんなお地蔵さんなのか、どんな謂(いわ)れがあるのかキニナル! ということで、東急東横線反町駅からバスに乗って塩嘗地蔵がある神大寺へ。
 

市営バス「神奈川土木事務所前」から徒歩3分ほど

 
 
 

住宅地の中に「塩嘗地蔵尊」を発見!


 
地図を頼りに住宅地の中を歩く。
 


キャベツ畑が広がる住宅地を進むと・・・


それらしき御堂が見えてきた!

 
塩嘗地蔵は住宅地のど真ん中に姿を現した。バスが走る大通りから離れた場所にあるので、「たまたま歩いていたら発見した」ということもなさそう。
 


雪が積もっている!?

 
遠くから見ると、まるで雪が積もっているかのように見える。あれは塩なのか、もしくは季節はずれの雪なのか・・・(5月22日取材/25℃)。
 
 
山盛りの塩でした
 
ええ、雪が積もっているわけじゃないのは分かっておりました。でも、ここまで塩が山積みになっているなんて、想像できますか?
 


お地蔵さんの体も隠れてしまうほど

 
4体あるお地蔵さんの前には、これでもかというほど塩が盛られており、塩の山の隣には当分困らないくらいの塩袋が積まれている。
 


お供えの方法に決まりはない?

 
そして、もっと驚いたのはお地蔵さんのお顔。目も鼻も口もなく、のっぺりとしているのだ。謎が多すぎる・・・。
 


もともとこういうお顔なのだろうか・・・

 
御堂の中には、「お地蔵さんの頭に塩をのせぬ様に」という注意書きや、今から30年以上前の「御堂新築」に関する資料も残されていた。
 


そんなに古い注意書きではなさそう

 
しかし肝心の塩嘗地蔵ついては説明がなく、どういった謂れがあるのかは不明。ちょうど庭仕事をしていた近所の方がいたので、話を聞いてみることに。
 
 
足腰や膝の不調が治る説
 
塩嘗地蔵のすぐ近くに住んでいる男性は、「私は戦後にここ(神大寺)へ来たけど、その時から塩嘗地蔵さんはあったよ。足腰や膝が悪い人がここで自分の悪い所に塩を塗りつけて、治ったら塩を供えにお礼参りをしていたと聞いたことがある。ここは昔、八王子往還(旧八王子街道)だったから、いろんな人が通りすがらに手を合わせていったよ」と話す。
 


昔はデコボコした道だったそう

 
「以前はお地蔵さんの体も見えていたけど、お供えの仕方を知らない人が増えて、塩を山積みにして帰っちゃうんだ」と、塩が山積みになっている理由も話してくれた。

聞けば、謂れについては諸説あるとのこと。調べてみると、塩嘗地蔵について地域の小学校に「古くからの言い伝え」として語り継いでいる資料が残っていた。
 
 
いぼを治す御利益説
 
一説には、塩嘗地蔵には「いぼを治す」御利益があるという伝説もある。

横浜市立南神大寺小学校の『五周年記念誌』には、「近くに住む人たちが、いぼなどのできものができると塩嘗地蔵の石をあてるとなおるといいえ伝え、なおると、塩を献じたという。いまでは石がくずれて目も口も無いのっぺりとした姿となり碑文もわからない」と書かれていた。

横浜市立南神大寺小学校が編纂した『神大寺三十話』にも同様に、今よりもずっと昔、食べ物が悪いためにいぼや汗疹、吹き出物などに苦しむ貧しい子どもたちが、塩嘗地蔵に「どうか、いぼをとって下さい。とっていただけたら、塩をたくさんお礼に持ってまいります」とお参りをする昔話が伝えられている。

顔が崩れてしまうほどに塩が供えられたということは、それほど多くの人が塩嘗地蔵に助けを求めたとも考えられる。
 

 
また、横浜市立神橋小学校の創立100周年記念に作られた資料集『かみはし』には、「神大寺に塩なめ地蔵とよばれる地蔵堂があります。昔から、この地蔵をおまいりするとけがや、病気がなおるというので、遠くからお参りにくる人も多かったそうです。ある時、神大寺村(かんだいじむら)の若者が神奈川町で車にはねられたとき、けがひとつしませんでした。これも、日ごろ塩なめ地蔵におまいりしているためだったということです。それから、おまいりにくる人々も、いっそう増えたそうです。けがや病気がなおったときは、塩を地蔵におそなえしてお礼まいりすることになっています」と書かれていた。

いぼだけでなく、病気や怪我を平癒するという言い伝えもあり、この地をわざわざ訪れる人もいたと推測できる。
 
 
旅の安全を祈願して奉納した説
 
戦前からこの地に住んでいる地元の女性に話を聞くと、「塩嘗地蔵さんは物心ついた時からここにあったわ。ここには昔『神大寺』というお寺があったみたいで、その頃からあったんじゃないかしら。もう何百年も前の話だから分からないけどね。ここは旧八王子街道だから、この道を通って旅をする人が旅の安全を願って塩をお供えしていたって父から聞いたことがある」と話してくれた。

鎌倉の光触寺(こうそくじ)本堂前の地蔵堂に安置されている「石蔵地蔵菩薩坐像」にも、「塩嘗地蔵」の逸話が残されており、一説によれば、塩嘗地蔵は街道沿いに建立されているところが多く、旅の安全を願って塩を奉納することがあるという。
 


幕は定期的に奉納されているそう

 
さまざまな言い伝えがあるが、長年この地を見守り、多くの人の心の支えとなったことに違いはない。もしこの地を訪れることがある際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。
 
 
 

取材を終えて


 
まだ塩が高価だった時代、今ほどたくさんの塩を供えることは難しかったはず。建立された年代は不詳だが、とても長い年月をかけてお地蔵さんの顔は今のような姿になったのかもしれない。
そう思うと、のっぺりとしたお地蔵さんが慈悲深いお顔に見えてくるのは筆者だけだろうか。
 
 
ー終わりー
 
 
参考資料
◇『五周年記念誌』横浜市立南神大寺小学校五周年記念委員会
◇『神大寺三十話』
◇『神奈川区の今と昔』
◇『かみはし 創立百周年記念社会科資料集』
◇『わが町かながわ50選 散歩道ガイド ’07』

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