地震による火災を防げ! 横浜市が7月から新改築時の不燃推進条例を実施!
ココがキニナル!
横浜市が新築・改築する際に防火性の強い建物にするよう推進する条例を制定したけど内容は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
東日本大震災がきっかけで市の防災戦略を見直し。5区1140haについて燃えにくい建物を新改築する際、最大で300万円の補助金を出す
ライター:はまれぽ編集部
地震火災減少に期待
横浜市は神奈川区など5区、計約1140ha(1140万平方メートル、横浜スタジアム435個分)、建物の新築や改築を行う際に耐火性能の高い「準耐火建物」以上にするよう義務付ける「不燃化推進地域」に指定した。
2014(平成26)年12月に施行された「横浜市不燃化推進地域における建物等の不燃化の推進に関する条例(=不燃化推進条例)」に基づくもので、2015年7月1日から規制を適用する。
規制が適用される地域
対象となるのは神奈川区、西区、中区、南区、磯子区の5区で、木造住宅が比較的密集している地域。
各区の町丁目の数と面積
条例が制定されるきっかけや、具体的な内容はどうか。横浜市都市整備局防災まちづくり推進室防災まちづくり推進課の甲賀伸啓(こうが・のぶひろ)課長に聞いた。
取材対応してくれた甲賀課長
甲賀課長によると、条例の制定は2011(平成23)年の東日本大震災がきっかけだという。
横浜市は地震による火災被害を軽減することを目的に2012(平成24)年10月に「横浜市地震被害想定」を公表した。それによると、関東で東日本大震災クラスの地震が発生した際に横浜市内で全壊または焼失する建物は11万2000棟、死者は3260人という試算が出た。
大規模地震が発生した際の被害想定
この想定に対し、市では公表から10年後の2022年度までに市民と建物の被害を想定から半減する目標を掲げており、条例はその一環。
条例が対象地域において最低限の基準とした「準耐火建築物」とは、同課によると木造住宅の場合は梁(はり)や柱、外壁、天井といった箇所を石膏(せっこう)ボードなどの不燃材料で覆い、窓などの開口部に網入りガラスをはじめとする防火設備を設けた建物とのこと。
「防火構造」と呼ばれる木造建築物が「外部からの火を最低30分防ぐ」としているのに対し「準耐火建築物」は「外部からの火を最低45分以上防ぐ」「ほかの部屋や外部へは最低45分以上燃え広がらない」構造を持つのが特徴。
これまでの規制と新たな規制の違い
市の試算では、従来の防火構造に比べると1平方メートル当たりの建築費が2~3万円上がる。
市ではこれまでにも新築や耐火性能を強化する設計・工事や老朽化した建物を除却する費用のうち3分の2を補助(上限300万円)しているが、補助率を4分の3に引き上げる。補助額の上限は変わらない。
補助率も変更となる
条例が適用されるのは2015年7月1日着工分からで、業者が「準耐火建築物」以上ではない設計を行った場合は建築許可が出ないため、工事に着手できない。
また、一見しただけでは分かりにくいが、基準通りの図面を作成しても、実際の工事に際して業者が故意に「準耐火建築物」以上でない施工をしたり、建主が適切な図面に基づいて施工しようとする業者に対して「準耐火建築物」以上でない施工をするよう指示した場合には、最大50万円の罰金が科せられる。
甲賀課長は「基準はあくまでも新築や改築をする際に適用になるもので『従来の建築物が条例違反になるから建て替えてください』というものでない。市民の命や財産を守るための制度なので、理解し、活用してほしい」と話している。
取材を終えて
東日本大震災から4年が経とうとしている。
誰しもが忘れてはいないだろうが、取材を通じ、いつ来るかも分からない天災に対する備えが必要だということ改めて気づかされる。
該当する地域で、条件が合う方は、ぜひ活用してみてはいかがだろうか。
―終わり―
横浜市防災まちづくり推進課
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