赤い京急の電車に「白い電車」が登場!? その理由と最後の1本を追いかけた
ココがキニナル!
2017年12月に突如出現して乗客やファンを驚かせた「白い京急電車」。その電車が再び京急線を走るとのこと。白い電車やファンの様子は?(はまれぽ編集部のキニナル)
ライター:はまれぽ編集部
白い電車とは?
京急といえば赤。赤い電車が走る同線に、2017(平成29)年12月に白い電車が突如現れ、乗客やファンを驚かせた。
この白い電車の正体は京急新1000形の17次車で、車両を新製する時の塗装の都合で白い部分が残っていた。
新1000形17次車は、京急電鉄としては11年ぶりに車体全面を塗装した車両。2006(平成18)年に塗装を省略した新1000形6次車が登場して以来、同形はボディにカラーフィルムを貼ることで、赤地に白い帯の京急カラーを表現していた。
ボディ下部と上部にだけカラーフィルムを貼ったタイプの新1000形
このため、ボディ全面に赤と白のカラーフィルムを貼った車両でも、ドアや窓の縁などの細部は銀色のステンレス地が露出している。
カラーフィルムを貼った車両(左)と従来の全面塗装車両
それを今回、京急らしさをより強調するために、全面塗装を復活させる運びとなった。
通常、鉄道車両は車両メーカーで全ての工程を完了させて、鉄道会社に引き渡される。しかしこの新1000形は、一部の車両は金沢文庫駅~金沢八景駅間にある総合車両製作所(横浜市金沢区)で車体を竣工させた後、京急側で塗装を完了させる工程になっている。
塗装の仕上げは、京急久里浜駅近くの京急ファインテック久里浜事業所で行われるため、総合車両製作所から久里浜事業所へは塗装が未完了のまま、京急線を移動する。
したがって総合車両製作所から京急久里浜駅の間は、走行時間はわずか1時間程度ながら白い車体のまま走ることになった、というわけだ。
総合車両製作所最寄りの金沢文庫駅から、京急久里浜駅へ(Googlemapより)
しかしこの工程で塗装される編成は3本のみとのことで、目撃できるチャンスは3回しかない。そのラストの1本が、2018(平成30)年3月29日に走るとの情報を聞きつけ、最後の「白い電車」を追いかけた。
白い電車を追いかけて
総合車両製作所ヘの引込み線が延びている京急金沢八景駅に着いてみると、すでにホーム北側に多くのファンが待機している。
春休みのせいか、ファンの人出は多い
彼らに話を聞いてみると、白い電車は数日前から総合車両製作所の構内で目撃されており、そろそろ京急久里浜へ移動するのではないか・・・と噂されていたとのこと。京急ファンの少年コモリ君などは「月曜日から毎日見に来ていた」と話してくれた。
京急電車の車窓からも見える総合車両製作所
そうこうしているうちに、総合車両製作所からいよいよ白い電車が動き出し、午前10時16分ごろ金沢八景駅4番線に到着。白いボディを乗客の間近に見せてくれた。
京急の線路へ進入
ゆっくりとホームへ入ってくる
珍しい電車に「何事か?」と見つめるお客さんも
見慣れない電車にホームにいた皆さんは興味津々。電車好きの息子さんが友達から情報を聞き、ホームで待っていたというH.Kさん親子もカメラを向け、真新しいボディに見入っていた。
大喜びで写真を撮る息子さん。いい思い出になりそうです
ところで白い電車といっても、客用ドアの下部や乗務員室ドアなどの一部は赤色となっている。これはこれでオシャレで、このままお客さんを乗せて走ってもよさそうだと思ったが、なぜこのような塗り分けになったのか。
紅白の配色が絶妙でおめでたい感じもする
京急電鉄に理由を聞いてみると、ドアなどの一部の部品は総合車両製作所で個別に赤色に塗装しているのでこのような外観になったとのこと。京急ファインテックでは、ボディの赤のみを塗装するというわけだ。
この後、窓まわりを除いて赤色に塗られる予定
白い電車は金沢八景駅で数分停車すると、方向を変えて金沢文庫駅まで走り、一旦車庫に移動。
赤いテールライトを光らせて金沢文庫駅へ
その後、午前10時40分ごろに金沢文庫駅1番線に到着し、折り返す形で京急久里浜方面へ。白い電車は南へ走り去っていった。
金沢文庫駅でも注目を集めていた
「リラックマのイチゴお祝い号」もやってきた
普通から快特まで全ての種別が停まる金沢八景駅も通過
さようなら、白い電車
撮影していたファンによれば、この後京急久里浜駅に一旦停車して京急ファインテック久里浜事業所に入場するとのこと。ここでボディの塗装を仕上げ、普段見慣れた紅白のカラーリングで営業運転に従事することになるのだろう。
すでに塗装を完了して営業運転中の元白い電車。1200番台の車体番号が目印
最後の白い電車の車体番号は、三崎口方面から1217、1218、1219、1220、1221、1222、1223、1224の8両編成。もしこの番号の電車に出会ったら、春の風のように鮮やかな印象を残した白いボディを思い起こしてほしい。
京急創立120周年のサプライズのひとつ、白い電車が走った最後の1日は、沿線の子どもファンによい春休みのプレゼントになったようだ。
3回だけの、サプライズトレインだった
―終わり―
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よっぴいさん
2018年03月30日 21時01分
白い電車…都営線5300型で十分では。
kazさん
2018年03月30日 21時01分
私もなぜ鉄道車両メーカー側で最後まで塗装せずに納車するのかちょっと不思議だったのですが、他のニュースサイトによると「工程上の都合」だそうです。ここから先は想像ですが、昨年末から3編成分が次々と納車されたらしいので、メーカー側の車両塗装ブースでは白だけ塗って引き渡す事で年度内納車を間に合わせた、なんて事かなと思ってます。
sakuyamaさん
2018年03月30日 18時12分
なぜ、金沢八景側で塗りが完成し終わらないの?コスト??それが分からないよー。