近くなのに遠い･･･大倉山駅　

近隣に住むAさん。「大倉山に抜けられると便利かもしれないが･･･」

「新羽橋を通って自宅に戻ってくることが多く、そのまま大倉山方面に抜けられるとありがたいですが、それよりも大倉山駅前の混雑がひどくて車で行く気になりません。
駅前の通りは信号もなく、横の細い道からバイクや人が飛び出てきて危ない思いをしたこともありますし、バスも通るのでとくに夕方はすごく混んでいます。
太尾堤から入れるようになったら、よけいに混雑してクレームが増えるのではないでしょうか？」

おや？よほど不便に感じているかと思ったら、駅前の混雑を回避するためには仕方ないといった意見だ。この意見は規制のヒントになっているのかもしれない。

ということで、この地域を管轄している港北警察署に規制に至った実情を取材してみよう。

交通規制は住民の声を反映したものだった

太尾新道沿いにある港北警察署の交通課にお話をうかがった

―太尾堤は、ほとんどの時間が新羽方面から大倉山方面に抜けられないようになっていますが、住民の方から不便との声はありませんか？

「今のところ、交通課の方にはきていないですね。太尾堤の交通規制は、交通量の調査や住民の方の意見もいただいて何度か改正しています。普通車なら進入禁止ではなく、時間帯によって通れるので、その間を利用しているのではないでしょうか」

―どのような経緯で、時間帯によって3方面からの進入を禁止としているのでしょうか？

「この地域は学校が密集していて通学路になっているのですが、昔は小学生も多く（昭和46年頃は大綱小学校の児童が増え、隣接地に分校も作った。その分校が移動し、現在の太尾小学校となるなど、小学校・児童が増え続けている時代があった。）開拓され住宅も増えるので、車の交通量も増える一方です。
昔、残念ながら小学生のお子さんが通学の途中に交通事故で亡くなられたこともあり、大倉山駅前の交通量を減らす方向に話がすすんだと聞いています。住人、商店街、学校の意見も参考にして改正されています」

―太尾堤が終日通行できるようになると、どんなことが考えられますか？

「現在も駅前は道幅が狭く交通量が多いので、さらなる混雑が予想され、混乱することも考えられます。大型トラックは太尾堤が通れても、東横線のガードがあるので駅前を通れないですし、住人の方から通行できるようにしてほしいとの声もあがっていません。ですから、駅前の交通混乱を避けるために、しばらくは現状の時間帯による進入禁止が続くと思います」

なるほど。そんな経緯があったとは･･･。どうやら交通の混乱を避け、安全性を重視しての対策であるようだ。

では、大倉山駅前の状況を調べてみよう。
　

17時過ぎ大倉山駅前の様子。車の渋滞が起きていた

太尾堤からの進入が許される17時過ぎに足を運んでみた。昼間は静かだったが、車と駅を利用する通行人でごった返している。

41系統の鶴見駅西口行きの市営バスが通ると、すれ違うのもやっと。違法駐車がいるとそれだけで片側通行になり、混みあっている。
この通りは信号がないので、横の路地から車が出てくるとどちらが先に行くか見合い、ちょっとした渋滞になってしまう。
　

15分の間に、車道を走って駅に急ぐ女子高生と中学生らしき少年を目撃
　

両方向からの車で混雑。歩行者もタイミングを見計らうのが難しい

この現状を見てみると、取材当初との見解と違い、13時～17時までの規制を18時くらいまでに延ばしてもいいのではないかと思うほどだった。
太尾堤の規制をしても、遠まわりをしてくれば同じ道に出ることになる。近隣の住人がなるべく車を使わないように工夫することも必要かもしれない。

取材を終えて