横浜市内で暑い区、涼しい区ってあるの?
ココがキニナル!
横浜市内でも暑い区とか涼しい区ってあるのでしょうか?(teto_teto55555さん)/横浜の雪の降りやすさについて、「ここが横浜で一番よく雪が降る場所だ」っていうのを知りたいです。(須々木さん)
はまれぽ調査結果!
気象庁管下の元、気温を観測しているのは中区の横浜地方気象台だけなので、区ごとのデータはない。一般的に、標高の高い緑区などは雪が降りやすい。
ライター:山口 愛愛
1日3回発表している神奈川県の天気予報はここから! (つづき)
では、地域ごとの差がわかるヒントはないのだろうか。
「大雨などの異常気象を監視するアメダス(自動観測通報システム)は神奈川県内に箱根、平塚、海老名など10ヶ所あり、降水量を観測しているんですよ。横浜市内なら、港北区の日吉にもありますね」と永富さん。
これで何かわかるかも。資料にある神奈川県内の年降水量を見せてもらうと、日吉では平年値1571.2mm、横浜(気象台がある中区で観測)は1688.6mmで、昨年の年間降水量も日吉で1374.5mm、横浜1557.0mmとの結果。横浜(中区)の方がやや雨が降りやすいようだ。
直径20cmの筒状になっている雨量計。冬はヒーターが付き、雪を溶かして量を観測
「ます」に雨水がたまるとシーソーが傾き、1回の傾きで0.5mmの雨と計測する
「でも丹沢は横浜と比べると約2倍の雨が降り、箱根はそれ以上ですからね」
確かに、去年の丹沢の降水量は3241.0mm、箱根は4150.5mmもあり、それらと比べると日吉と横浜(中区)の差は大したことないようだ。
山沿いでは風が山にぶつかると上昇気流となって気温が下がり、空気中の水蒸気が雲となるので当然雨が多くなる。
そして、神奈川県の穏やかな気候は箱根の恩恵を受けていた。県西部の丹沢や箱根の山々が大きな壁となり冷たい北風を防ぎ、太平洋側からは温かい空気が流れ込んでくるので温暖な気候が保たれているようだ。
西側、山間の方の降水量が多いことは一目瞭然
「平成23 年(2011年)神奈川県の気象・地震概況」より
「一般的には海が近い海岸近くは気温が低く、海から遠い、県央などの山間は比較的気温が高くなります」(永富さん)
しかし、雨が降っている間は気温が下がるので、県央に近い地域は、ふだんは気温が高く、雨が降ると気温が急に下がるので、温度差が大きく感じられることだろう。
ということは、海沿いの中区や磯子区、金沢区は比較的涼しいということだろうか?
「海沿いなら多少涼しいとは思いますが、アスファルトの照り返しやヒートアイランド現象などもあるので、ビルが多い地域は気温が高くなりがちですね。ビル群より、緑の多いところの方が涼しいでしょう。
雪も一般的には標高の高いところの方が降りやすいので、緑区などが雪の多い地域になると思いますが、その時の風向きによって、吹き溜まりができて局地的に雪が積もることがあるので、周りの環境にもよりますね」(永富さん)
なるほど。雲の流れなどの気象の影響より、その土地の環境や立地条件などが左右するようだ。
横浜の気象の歩みを振り返る
残念ながら今回はエリアごとの特性は見出せない結果となった。しかし、せっかくここまで来たのだから、何か横浜に関するデータがほしい。長期データならおまかせ!ということなので、気温や積雪量のあゆみを振り返ってみよう。
横浜地方気象台での気温の観測は1897年に始まり、この年の年間平均気温は13.8℃だった。では昨年はというと、16.3℃。最も高かった年の年間平均気温は2004(平成16)年の16.9℃であった。2006(平成18)年以降、16℃を下回ったことがなかったのだ。
最高気温にいたっては1962(昭和37)年にいちど37.0℃の驚異的な暑さを記録しているが、それ以外は1978(昭和53)年まで35℃を超えることはなかった。しかし1978(昭和53)年以降は35℃以上を記録した年が19回もあり、人間の平熱を越える36℃以上の気温も4回たたき出していた。ちなみに最低気温は1927(昭和2)年に-8.2℃を記録している。
年ごとの最高気温推移(過去の気象データより作成)
最も最高気温が高かったのは横濱カレーミュージアムや新港パークがオープンした2001(平成13)年の36.9℃だ。まさに横浜はアツイ年だった。
「そんなに暑かったんですね・・・」と記憶を辿る。
熊谷の気象台から横浜に転属となったという永富さんは「でも熊谷と比べればとても過ごしやすいですよ」と笑っていた。
日射の影響を防ぐ構造の「通風筒」。筒の中に温度計と湿度計が入っている
降雪量も確認してみよう。年間降雪量を見てみると、最も高い数値が1984(昭和59)年の109cmでダントツに高い。子どもの頃、大雪にみまわれたことをはっきりと覚えている。
2番目は1969(昭和44)年の56cm。そして、ここ5年間の降雪量は1ケタで、2004年など一度も雪が観測されていない年もある。
レーザーを積雪面に照射して観測する「積雪計」
観測機器やデータを見せていただき、今後の横浜の予想気温をうかがってみた。
「この夏の気温は、『平年並み』が40%、『平年より高い』が40%の確率です。残暑も厳しそうです」
今年の横浜は、残暑も厳しいとのことで、とくに外出するときは帽子の着用や水分補給などの暑さ対策をしっかりやっていきたい。
取材を終えて
永富さんが「観測機器は昔の人の知恵の集まり」というように、機器のアナログ感に驚きもし、感心もした。降水量は筒の中にたまった雨の量を測っていたり、風向は風見鶏の原理だったり、人間の目で空を見ていたり・・・。気象が身近に感じられる取材となった。横浜地方気象台は一般見学できるので興味のある人は足を運んでみてほしい。
― 終わり ―
◆横浜地方気象台
住所/横浜市中区山手町99
電話番号/045-623-5899
http://www.jma-net.go.jp/yokohama/
ポスポスさん
2012年09月27日 09時21分
高台に住んでいますが、冬場の雪が降る時期、坂の下まで降りると雪で家まで上がると雨だったりします。また、その逆もありますね。
ぎるこさん
2012年08月19日 20時12分
磯子区に住んでいて、現在日吉に住んでいます。色々なことを知ることが出来て面白い記事でした。素人的見解で述べますと、磯子区(汐見台付近)は高台なので夏は涼し目で、冬は雪が降りやすい気がします。(港北区日吉との比較ですが・・・。)駅ではつもっていなかった雪が、トンネルを抜けるとうっすら雪がつもっとる!なんてプチ雪国体験も。
takeさん
2012年08月10日 21時20分
題名としては、「横浜気象台の紹介」の方が適切な気がします。質問の答えとしては不十分。単一の取材で終わってしまって残念。もう少しアンテナを張った記事に期待します。雲葉さんがご指摘のとおり、ヒートアイランドに関しては環境創造局が毎年記者発表してますし、降雨に関しても消防局が各区の降水量をリアルタイムでアップしてます。http://www.city.yokohama.lg.jp/shobo/kikikanri/weather/top/fire_rain.html熱帯夜やゲリラ雨が注目されるこの季節、この辺りを充実させた記事の第二弾を望みます。