「川崎アプローチ線」計画は今後どうなる?
ココがキニナル!
かつて川崎駅と八丁畷駅付近とを結ぶ線路があり、そこを復活させて旅客線化する「川崎アプローチ線」の計画が何年か前に再浮上したのですが、この計画は今どうなっているのでしょう。(雲葉さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
川崎アプローチ線の計画は現在検討中で、実現するとしても10年以上先になるらしい。廃線になった貨物線跡地は用地候補になっている。
ライター:吉澤 由美子
川崎アプローチ線の概略
まず最初に「川崎アプローチ線については実現できるかどうかも含めた検討が始まっていますが、具体的な内容はまだありませんし、もし実現するとしてもかなり先の話になることをご理解ください」と河合さん。
河合さんと齋藤さん
川崎アプローチ線は、現在、20年くらい先を見越して、作成している総合都市交通計画の骨子案に位置付けられているが、もし整備を行うと決まったとしても実現は最低でも10年以上先になる見通しだとか。
川崎アプローチ線について、川崎市臨海部国際戦略室のページでは「川崎アプローチ線は、浜川崎~川崎新町間は南武支線の改良、川崎新町~川崎間は路線の新設を行う」と記載されている。
現在の南武支線は尻手駅から川崎駅を経由せずに八丁畷駅、川崎新町駅、浜川崎駅に向かう。そのため南武支線の乗客が川崎駅に行きたい場合、尻手駅で南武線に乗り換えなければならない。
臨海部の現況道路網及び鉄道網図
※画像:川崎市臨海部国際戦略室
この南武支線を川崎駅にダイレクトにつなぐことで利便性を図る計画が川崎アプローチ線だ。川崎駅とつながれば、臨海部から東京や横浜方面に移動するのもかなり楽になる。
現在、臨海部を含め周辺市街地から川崎駅へのアクセスにはバスが多く利用されている。それもあって、川崎駅へバスが集中しており、慢性的に交通渋滞が発生している箇所がある。南武支線を川崎駅につなぐことは、渋滞の緩和といった問題にも役立つ。
川崎市総合都市交通計画(骨子案)にあったバス利用率
※画像:川崎市まちづくり局
しかも、南武支線を川崎駅とつなぐ用地は、冒頭に紹介した南武線の貨物用線路跡が使えるのだ。ちなみに、この跡地は現在のところあくまでも川崎アプローチ線の有力な候補地ということらしい。
川崎アプローチ線の検討は2000(平成12)年に出された国土交通省の「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」からはじまった。
この計画策定は、運輸省のホームページ等を活用して、一般の利用者や住民等の意見を幅広く募り、これを有識者による審議会の議論に反映したもの。
鉄道が東京圏における社会経済活動を支える基幹的かつ必須の交通機関であるとの認識の下に、21世紀における東京圏の姿を展望しつつ、新たな東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本的な計画だ。
国土交通省の基本計画に付図された東京圏鉄道網図
※画像:国土交通省
その中に、「川崎アプローチ線は、浜川崎~川崎新町間は南武線の改良、川崎新町~川崎間は路線の新設を行う」と書かれている。
運輸政策審議会答申第18号では、「目標年次までに整備を推進すべき路線(開業、または整備開始)」と「今後整備について検討すべき路線」があり、川崎アプローチ線は後者とされている。
目標年次は、2015(平成27)年なので、それまでに検討をはじめることが望ましいといったスタンス。実際に整備が行われるかどうかはまだ未定だ。
川崎アプローチ線の検討はどこまで進んでる?
目標年次2015年といえばもうすぐ。
この川崎アプローチ線は市の総合計画である「川崎再生フロンティアプラン」に位置付けられており、現在は、鉄道計画の基礎的な調査を行っている。
「川崎再生フロンティアプラン」に掲載されていた主要鉄道整備計画図
※画像:川崎市創業企画局
具体的には、建設や運行にかかる事業費用とそれに伴う収支採算性、事業主体のあり方などの課題について調査・検討を進めており、新駅については、周辺の土地利用状況や、利用客数がどのくらい見込めるかなどの研究が行われる予定だ。
JR東日本は、南武支線を使っている貨物もあることや川崎駅にいくつもの路線が集まっていることからダイヤ調整が難しく、また川崎アプローチ線に集客が見込めるか不安視していることもありやや消極的だ。
さらに、用地候補の貨物廃線跡地は、川崎市が所有している部分もあるが民有地もある。
こうしたいくつかの問題点についても、その解決に向けた検討や調整が行われている。
川崎市総合都市交通計画(骨子案)記載の将来目指すべき鉄道ネットワーク
※画像:川崎市まちづくり局
検討が続けられ問題点が解決したとしても、実際の計画が動き出すまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
取材を終えて
都市計画は未来の状況を予測しながら、ゆっくりじっくり育んでいくもの。
加えて、特に近年は自治体の財政状況が厳しいこともあって、他事業と重なる時期に整備を行うことが難しくなっており、その調整にも時間がかかる。
このような理由により、川崎アプローチ線は実現するとしてもはまだまだ先になりそうだ。
ところで、川崎市ではJR東日本に南武支線の運転本数を増やしてほしいとお願いしているとのこと。これが実現すれば、周辺の利便性が高まりそうなので、まずはこれに期待したい。
― 終わり―
川崎市総合企画局臨海部国際戦略室
http://www.city.kawasaki.jp/20/20rinkai/home/index.html
川崎臨海部交通ネットワーク 鉄道
http://www.city.kawasaki.jp/20/20rinkai/home/traffic/railway.html
国土交通省
東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について(国土交通省の答申)
http://www.mlit.go.jp/kisha/oldmot/kisha00/koho00/tosin/kotumo/mokuji_.htm
川崎市まちづくり局
http://www.city.kawasaki.jp/50/50kousei/home/plan/sougoutop2.html
川崎市総合都市交通計画(骨子案) 1~7 (PDFファイル;3117KB)
川崎市総合都市交通計画(骨子案) 8~10 (PDFファイル;2690KB)があります。
川崎再生フロンティアプラン
http://www.city.kawasaki.jp/20/20kityo/home/sougoukeikaku/
YOSIさん
2016年07月24日 19時02分
南武線の八丁畷駅から浜川崎の先を延長して羽田空港へ乗り上げるという案はあるのですか?
とがでんさん
2013年05月10日 13時15分
通勤で南武支線を使用していますが、川崎経由にしたら、南武線方面への行くのにかえって遠回りになるのでアプローチ線構想には反対です。並行して川崎駅発着のバスがあるので、それを利用すればいいと思う。それよりも川崎新町―浜川崎間に新駅をつくってほしい。
まるーべりさん
2013年05月06日 13時11分
京急線を利用して、八丁畷で乗り換えればいい、と思う。