男性長寿日本一の青葉区、その理由は?
ココがキニナル!
青葉区は男性の長寿日本一らしいので、理由を知りたいです。(おたんりさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
住環境や区民のライフスタイルなど複数の要因が関係していると思われる。筆者の思う独断的最大要因は、青葉区には「お金持ちが多い」ということ。
ライター:吉田 忍
住環境を見てみる
●公園数230は、18区中1位。
●街路樹数、1万5,519本。これも18区で最も多い。
●農業戸数は511戸で、都筑区に次いで2番目で、お米の作付面積は1位。
1周600メートルのウォーキングコースにも紹介されている美しが丘公園
大きな道にはおよそすべて街路樹が植わっている
利便性が高い住宅街だが、緑化率も高い。街路樹が整備された道を見ていると散歩したくなるが、青葉区は実は坂が多い街。日常的にアップダウンのある道を歩くのは、健康には良さそうである。
意外と農業も多く営まれており、青葉区には野菜などの直売所が多い。新鮮な作物が容易に手に入るのも恵まれた環境。
駅から少し離れると畑も多い
農協の直売所「ハマッ子」。この日は幻の「はま梨」もあった
●就業者のうち43.8%が東京へ通勤している。
これはものすごい数字である。およそ2人に1人は東京に勤めているのだ。「青葉都民」と揶揄されるのもうなずける。
東急田園都市線は首都圏で平成23年度大手民鉄16社の混雑率の実績では、3番目に混む路線 。 青葉区から都心へは、およそ40分かかる。相当なストレスになり疲れると思うのだが、通勤が逆に適度な運動となり健康面にプラスの作用があるのかもしれない。
心の健康…離婚率など
●1人暮らし高齢者数は4,753人で、18区中12番目と少ない方。
●離婚件数割合(離婚件数÷総人口)が0.18で、横浜市全体の0.21に比べて低い。
●「標準化死亡比(SMR)」によると、青葉区の男性の自殺は56.8ポイント(全国を100とする)と約半数。
家族がいて深刻な悩みが少ないことが長寿に関わっているようだ。
青葉区の公園でゲートボールを楽しんでいらっしゃった方々に、男性長寿の理由を伺ったところ、「青葉区はね、奥さんが旦那さんを大事にするからよ」と教えていただいた。
みなさん青葉区にお住まいになっている。ゲートボールは元気に週4回
調べてみたらデータにも表れていて、離婚によって独身となった男性は10歳も平均寿命が短いのだそう。家族、特に奥さんの存在が男性の寿命には大きくかかわっていたのだ。
ちなみに、日本一離婚率が高いのは沖縄県だが、沖縄県の都道府県別男性平均寿命は78.64歳で全国25位。しかし、女性の平均寿命は、沖縄県が86.88歳で全国1位。
男は1人では生きていけない生き物なのだというのは、男の私には容易に想像できるが、女性は逆なのだろうか? 女性のご意見を聞いてみたい。
青葉区の生活水準の高さ
●青葉区の世帯収入(2人以上の世帯)の平均は1,042万円(2004年度)。全国平均は690万円、横浜市平均は758万円。
●納税者1人あたりの個人住民税額(県民税・市民税)の平均は33万8,354円で、18区中1位。横浜市平均は24万8,970円。
●私立中学進学率がなんと28%、横浜市平均は16.7%。
●乗用車保有台数、89,705台で、18区中1位。
●犬の登録頭数、1万5,981頭も横浜市でトップ。
●被生活保護世帯割合1.27%は、横浜市全体での3.11%の半分以下で18区中、最も低い。
寿町ドヤ街を有する中区の男性平均寿命は76.3歳で、神奈川県内で最も低く全国でもかなり下位になる。身も蓋もない話だが、お金があれば先進医療も受けられるし、有料老人ホームにも入れる。長寿の沙汰も金次第ということか。
最後に市区町村別平均寿命の上位30市区町村をご紹介する。
2位は隣の川崎市麻生区。青葉区は女性も全国7位、都市部としては全国トップである
*厚生労働省・統計調査結果
この表を見ると、男性は東京と神奈川が圧倒している。一方、女性については神奈川の4地区を除くと、ほとんどが都市部ではなさそうだ。不思議だが、男女の生物学的な違いや人生観が関与しているように思う。
取材を終えて
青葉区の男性長寿日本一は、住民の健康に対する意識の高さや、住環境、そして医療機関の充実といった様々な要因が影響しているようだが、その基礎は経済的な余裕がもたらしているように感じた。
市区町村別平均寿命は5年毎に集計されており、来年また新しいデータが公表される。青葉区は1位の座を維持しているだろうか?僅差で2位だった川崎市麻生区、そして横浜市内の上位だった他の区は…?
私もできれば長生きしたいものだと思う。お金持ちになることも、酒を減らすこともできそうにないが、せめて、カミさんには毎日頭を下げて追い出されないように努めることにしよう。
しかし、青葉区の男性平均寿命1位の81.7歳も、実は女性で最も平均寿命が短い東京都奥多摩町の82.8歳に及ばないのである。男は悲しいのだ。
― 終わり ―
*平均寿命とは、ある人口集団の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の者が死亡する確率や平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表した生命表において、0歳の平均余命のこと。
生命表諸関数の定義
http://www1.mhlw.go.jp/toukei/h11-ablif_8/sanko-1.html
*厚生労働省平成17年度 市町村別生命表の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/ckts05/index.html
*青葉区が考える青葉区「長寿」の要因
http://www.city.yokohama.lg.jp/aoba/25houdou/index2008-44.html
mdさん
2018年01月26日 21時31分
老人ホームが多いので高齢者の割合が高いのでは?
pastaさん
2012年10月15日 20時33分
記事全体の感想でなく申し訳ないのですが、青葉区の年間世帯収入ですが平成21年(2009年)の調査では約820万だそうです。まぁそれでも横浜市平均よりは高いです(汗)下記URL参照願います↓http://www.city.yokohama.lg.jp/ex/stat/ward/aoba.html恐らく、大企業にお勤めだった高給取り団塊世代の定年退職が多かった5年間なんでしょうかね…次回の調査が2014年の模様なのでその際のデータに期待ですね、世帯収入が低下していても長寿が保たれていれば新しい見解もできるでしょうしね。でも、kazam1205さんのおっしゃる通り、若い世代の定着が大事になってくると私も思います。
kazam1205さん
2012年10月13日 10時49分
自分は青葉区(ほとんど川崎市麻生区との境)の住民ですが、金持ちが多いのは確かですね…。個人的には、どちらが先かと言われれば、住民としてそういうな地域環境を作り出す力を持った人が、結果としてお金持ちになっているというような気もします。とはいえ、逆に高齢化は地域の大きな問題でもあります。いくら元気とはいえ、やはりお年寄りはお年寄り。10年20年というスパンで見れば、この地域に先がないのは明らかですね。今後は、以下に若い世代の定着を図れるかが鍵と思います。