横浜が好まれる本当の理由とは

「住みたい街ランキングに回答いただく際、回答者の方は『実際に住む』という、現実的な観点から街を見ています。その時、人気の理由として上位にあがっているものは、交通の利便性が高いこと。東京方面へ通勤・通学するにも便利だし、箱根や湘南などのリゾートへも近いという抜群のアクセスの良さ、というのが一番なんです」
　

こんな資料を手に編集長は説明してくれた

「次に、多様性に富んだ商業施設を有していること。多様というのは、デパートもある、少し足をのばせばショッピングモールもある、昔ながらの商店街も残っている、といった点です」

街（駅）によっては、駅前のターミナルはやたら栄えていて大規模な商業施設もあるけれど、そこから先は何もない、というところもある。横浜の場合は、元町のような文化的な装いを残している商店街もありつつ、大規模商業施設も用意されているところが魅力、と言える。
　

リクルート発行の雑誌の前で、編集長にポーズをつけてもらう

そういう意味で、当アンケートに回答する方が考えている「横浜」とは、海がキレイで、夜景が素敵で・・・というイメージのエリアというよりは、交通アクセスの優れた横浜駅周辺、または鉄道沿線ということになりそうだ。

お二人にお礼を言って別れを告げた帰り道、では生粋のハマっこ（というのも定義が難しいのだが）、は「横浜」をどこからどこまでとイメージしているのだろう？　とキニナり、生まれも育ちも横浜という人の声を聞いてみた。

都筑区生まれで現在は中区に暮らす20代の女性は「私にとって『横浜』というと、横浜駅界わい、山下公園、中華街、元町、本牧、港の見える丘公園あたり。生まれた都筑区は、横浜というより港北ニュータウンですね」との回答。
　

港北エリアは横浜エリアとは別

生まれも育ちも港北区という40代の男性は、「あんまり考えたことないけど、『横浜』って言ったら、横浜市全般のことを思い浮かべるけどな。テレビなんか見ていると、みなとみらいだとか、山下公園、元町あたりをいうみたいだけど・・・」と答えてくれた。

逆に、外から見た「横浜」はどうだろう。生まれも育ちも北海道で、この春、港北区日吉に引っ越してきたという30代の男性は、「横浜というと『海と観覧車』という勝手なイメージがあったけど、実際に来てみたらそれは桜木町とか、みなとみらいのことだった」という。
　

「横浜」というとこういったイメージだろうか

どこからどこまでを「横浜」とイメージするかは、本当に人ぞれぞれである。

どの街であろうと、「住めば都」という言葉もあるくらいだけど、こうした街ランキング上位にランクされることの多いのが横浜（駅）。編集長が言うように、交通の利便性、多様な商業施設の充実といった理由ももちろん大切な要素だと思う。でも、それ以上の「何か」が、ここにはあると、筆者はいつも思っている。



取材を終えて

池本編集長と西村さんのやりとりを聞いていると、とてもリズミカルで心地よかった。お二人とも激務なはずなのに、そんな雰囲気は一切出さずに、ユーモアを交えながら楽しくお話してくださった。

「街」に対するパブリックイメージとはどこから来るのだろうかということについて、今回の取材ではいろいろと考えた。インターネット、本、雑誌からの影響は、もちろん大きいと思うが、それだけではないと思う。この辺のところを、ちょっと勉強してみたいと思う。


―終わり―